会社分割の知識16|会社分割の税務実務ー分割当事会社の法人税の取扱い2

企業法務ガイド|会社分割

第3編

会社分割の税務実務

第2

分割当事会社の法人税の取扱い

3

純資産の部の取扱い

(1)
適格分社型分割の場合
適格分社型分割の場合、分割法人は分割承継法人へ簿価で資産負債を移転し、その対価として分割承継法人から分割承継法人の株式をその簿価相当額で取得します。したがって、分割法人の純資産の部に変動はありません。
分割承継法人においては、分割法人から移転を受けた資産負債を簿価で計上するため、簿価純資産価額相当額が増加します。分割承継法人が資本金の額として計上しなかった増加簿価純資産額は、資本金の額以外の資本金等の額として計上されます。
(2)
非適格分社型分割の場合
非適格分社型分割の場合、分割法人は分割承継法人へ時価で資産負債を移転するため、譲渡損益額を計上しなければならず、その譲渡損益相当額が純資産の部の利益積立金額から増減します。
分割承継法人においては、分割法人から移転を受けた資産負債を時価で計上するため、時価純資産価額相当額が増加します。分割承継法人が資本金の額として計上しなかった時価純資産価額相当額は、資本金の額以外の資本金等の額として計上されます。
(3)
適格分割型分割の場合
適格分割型分割の場合には、分割法人から分割承継法人へ簿価で資産負債の移転を行うとともに、利益積立金額の移転も行われます。したがって、分割法人が決定した減少資本金額、移転する利益積立金額相当額(分割前利益積立金額×移転する資産負債の簿価純資産額÷分割法人の分割前簿価純資産額、により計算した金額)、及びその残額である資本金の額以外の資本金等の額の合計額が分割法人の純資産の部から減少します。
分割承継法人においては、分割法人から移転を受けた資産負債の純資産価額のうち、分割承継法人が会社法の規定により資本金として定めた金額が増加資本金額となります。利益積立金額は分割法人が減少させた金額をそのまま引継ぎ、移転を受けた純資産価額の残りの価額が資本金の額以外の資本金等の増加額となります。
(4)
非適格分割型分割の場合
非適格分割型分割の場合には、分割法人は分割承継法人へ時価で資産負債の移転を行います。適格分割型分割と違い、利益積立金額の引継ぎは行いません。分割法人の純資産の金額は、移転をした資産負債に係る譲渡損益相当額が増減し、時価純資産価額相当額が減少することになります。資本金の減少額は会社の任意です。ただし、簿価純資産価額のうち移転事業に係る資産負債の簿価純資産価額の占める割合に応じた資本金等の額を減少させなければなりません。
分割承継法人においては、分割法人の資産負債を時価により受け入れることになります。したがって、分割承継法人の純資産の部は、受け入れた資産負債の時価純資産価額相当額が増加します。分割承継法人が会社法の規定により決定した増加資本金額以外の金額が、資本金以外の資本金等の額の増加額となります。

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