調停の知識12|家事調停の出頭等、申立後の手続き等

調停ガイド

第4

家事調停

3

家事調停の出頭等

(1)

期日変更の可否

重要な用事のため、指定された期日に家事調停に出頭することができない場合には、期日変更申請書を作成し、それを家庭裁判所に提出することになります。
そして、調停委員会が、家事調停の期日の変更がやむを得ない場合であると判断したときには、期日は変更されます。
期日変更申請書の作成及び提出については、紛争の担当の裁判所書記官又は各家庭裁判所の家事手続案内に相談して下さい。
(2)

代理人による出頭の可否

家事調停においては、原則として、紛争の当事者が出頭すべきものですが、やむを得ない事由により、家事調停の期日に出頭することができない場合には、家庭裁判所の許可を受けて、代わりの者に出頭させることができます。
やむを得ない事由としては、紛争当事者の病気、近親者の重病、葬式等が当たります。
代わりに出頭してもらう人としては、本来は弁護士がなることが望ましいのですが、紛争当事者の配偶者、兄弟等でも可能です。
(3)

出頭が困難な場合

(イ)
「裁判所外の適当な場所」での手続
家事事件手続法は、「調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。」と規定しています(家事事件手続法265条)。
「事件の実情」とは、ケースバイケースですが、家庭裁判所から遠い地域に複数の紛争関係者がいる場合、当事者が病気等により裁判所に出頭することが困難である場合等が、当たると考えられます。 「適当な場所」とは、ケースバイケースですが、一方当事者の自宅、公民館等の公的施設などで家事調停が行われることがあります。
(ロ)
音声の送受信による通話の方法による手続
家事事件手続法は、調停委員会は、「当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話することができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。」と規定しています(家事事件手続法260条1項6号、同法54条1項)。 「その他相当と認める」か否かについては、当該調停の担当の調停委員会にもよりますが、比較的広い解釈のもと判断されているように感じられます。
「音声の送受信による通話の方法」としては、いわゆる電話会議システム(民事訴訟法170条3項参照)やテレビ会議システム(民事訴訟法204条参照)が利用されています。
4

申立後の手続等

(1)

手続の概要

(イ)
紛争当事者間の話合い
家事調停においても、民事調停と同様に、紛争当事者間で紛争に関しての話合いを進め、紛争の解決を図ります。
この話合いで、紛争が解決した場合には、その時点で家事調停は終了します。
(ロ)
各種調査
紛争の解決のために、専門家の判断を要する場合には、調停委員会が、官庁・公署に対して資料や調査を依頼することがあります。
(ハ)
調停案
調停委員会は、紛争当事者の各々の言い分を聞き、紛争について十分に把握できた時には、多くの場合、紛争の適切な解決案として調停案を作成して当事者に示します。
そして、当事者がその調停案に合意した場合には、調停調書が作成され、家事調停は終了します。
一方、当事者がその調停案で合意に至らないときには、調停案の修正を図り、再度当事者に示します。もっとも、紛争当事者間に合意の見込みがないような場合には、家事調停は不成立となり、家事調停は終了します。
(2)

当事者間の話合方式

家事調停の当事者間には、感情的対立が激しく、相手方を目の前にしては冷静に話合いをすることができない場合が多々あります。
そのため、調停委員会は、初めは、申立人から紛争に関する言い分を聞き、その間、相手方は待合室で待っていることになります(待合室も当事者ごとに分かれています)。
そして、調停委員会は申立人の言い分を聞き終わると、次に、もう一方当事者の言い分を聞くことになります。
以上のように、家事調停においては、基本的には、紛争の相手方を目の前にして話合いをすることはなく、各々調停委員会に言い分を話すという、話合いの方式が採られています。
(3)

調停開始の日時

家事調停の申立がなされると、その紛争に関しての調停委員会が組織されます(原則として、裁判官1名と家事調停委員2名から構成されます)。
この調停委員会が、家事調停を行う日を決定し、紛争の当事者それぞれに、紛争当事者の氏名、調停が行われる期日・場所、出頭義務が記載された調停期日呼出状を送付します。
したがって、家事調停は、この調停期日呼出状に記載された日時に行われます。
(4)

要する日数

家事調停は、約1か月に1回のペースで行われます。
そして、家事調停を2回程度行うことにより約7割の紛争が終了し、6回程度行うことにより約9割が終了しています。
したがって、通常、家事調停は、2か月から6か月の間で終了しています。
(5)

公開の有無

家事事件手続法は、「家事事件の手続は、公開しない。」と規定しています(家事事件手続法33条本文)。
そのため、原則として、家事調停の期日や記録等は原則として第三者に公開されません。
ただし、例外的に、第三者が当該事件との利害関係を疎明した場合、記録等の閲覧謄写等をすることが認められています(家事事件手続法254条)。
(6)

第三者が調停に立ち会える場合

家事事件手続法は、「裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。」と規定しています(家事事件手続法33条但書)。
「相当と認める者」とは、ケースバイケースになりますが、家事調停に非常に密接に関係している者、当事者の精神的な支えである者等が当たります。
したがって、当事者である息子が冷静に話し合いを行うために、両親の存在が必要であるような場合には、家庭裁判所より、両親の家事調停への立会が許される可能性があります。
(7)

当時者死亡後の手続

家事調停の当事者が死亡した場合、事件類型によってその後の手続が異なります。
詳しくは、家事手続案内又は弁護士等に相談して下さい。

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