買収と防衛

企業買収と企業防衛マニュアル

第1章

企業買収と企業防衛序論

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第1

買収と防衛

M&A(エム・アンド・エー)は「Merger & Acquisition」の省略されたもので、一般には「合併と買収」と訳されます。会社の合併とか、株式の買占めが代表的な行為です。
これには、買収の対象とされた会社(対象会社)の経営者の意思に反して行われる敵対的なもの(第2章)と、対象会社の経営者との合意の下に行われる友好的なもの(第3章)があります。
しかし、当然のことながら、株式の買占めによる会社の乗っ取りという敵対的な買収が世間の耳目を集める代表的な行為です。買収者のみならず、対象会社の経営者や従業員などの関係者にとっても問題が深刻であるからです。
対象会社の株式を買い占める行為以外にも買収の方法はあります。ある会社が欲しいと思ったときに、その会社を手に入れる方法は株式を購入する方法だけでしょうか。これは買収という用語の定義に関係してきますが、対象会社の経営者と歩調を合わせて友好的に行う買収を含めますと、買収の方法はかなりたくさんになります。この観点から合併もM&Aの中に含まれているのです。
具体的には、対象会社の株式の購入以外に、営業(事業)の譲受け、合併、株式交換、共同株式移転、会社分割などの企業組織再編行為、新たな株式の発行、引受けなどの形式でも、買収は行われます。また、株式を取得する行為以外では、新株予約権、新株予約権付社債などを発行、取得する行為にも目を向けなければなりません。これらのことは、対象会社の経営者との合意の下に行われる友好的買収(第3章)で多く問題になります。
法律は、買収とか防衛とかのために特に規定を用意していることはありません。株式の売買とか、会社の合併のように普通に法律に規定されている行為を、行為者が、買収や防衛の意図で利用することによって、買収なり、防衛なりの目的が達成されるのです。

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