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破産、民事再生、任意整理、会社更生

会社の倒産・再建手続の選択に関する考慮要素

第1 はじめに

 コロナウイルス感染症の流行に伴い、企業が相次いで「倒産」する事態が生じております。
 このように、現代社会において、企業が「倒産」することは決して珍しいことではありません。
 ただ、一口に「倒産」といっても、法律上の概念としては多種多様であるため、今回は、企業における「倒産」「再建手続」について分かりやすく解説いたします。

第2 倒産・再建手続とは

1 倒産

 「倒産」とは、一般的に会社が経済的に破綻した状態を示す言葉として広く知られているかと思います。
 倒産処理方法のうち、裁判所の手続による倒産手続としては、「清算型」「再建型」の二種類の処理方法があり、「清算型」としては破産・特別清算手続が、「再建型」としては会社更生・民事再生手続があります。
 また、裁判所の手続によらない倒産手続としては、任意整理という処理方法があります。

2 破産・特別清算

⑴ 破産

 破産(手続)とは、「債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する」手続をいいます(破産法第2条第1項)。
 破産手続は、「債務者が支払不能にあるとき」「債務者が支払を停止したとき」(破産法第15条1項、2項)に申し立てることができ、裁判所の決定により開始されます。

⑵ 特別清算

 特別清算とは、株式会社の清算手続について、債権者の保護のために裁判所の関与を強めた会社法上の手続をいいます(会社法第510条ないし第574条、第879条ないし第902条)。
 特別清算手続は、「清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること」「債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。…)の疑いがあること」という事由があると認めるときに、申立てにより開始されます(会社法第510条1号、2号)。
 ただし、「特別清算の手続の費用の予納がないとき」「特別清算によっても清算を結了する見込みがないことが明らかであるとき」「特別清算によることが債権者の一般の利益に反することが明らかであるとき」「不当な目的で特別清算開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものであないとき」には、特別清算手続は開始されません(会社法第514条1号ないし4号)。
 そして、特別清算を進めるためには、債権者の3分の2以上の同意が得られることが必要となります。
 したがいまして、「債権者が親会社や取引先など少数に限られ、特別清算に同意している場合」「債権者である金融機関が特別清算に同意している場合」においては、特別清算手続を利用されることをお勧めします。

⑶ 破産と特別清算の比較

破産特別清算
利用できる会社法人・個人問わず株式会社のみ
手続開始要件支払不能もしくは債務超過債務超過の疑いがあること
手続を行う者破産管財人清算人
債権者の同意の有無不要必要

3 再建手続(会社更生・民事再生)

⑴ 会社更生

 会社更生とは、「窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図る」手続をいいます(会社更生法第1条)。
 会社更生手続は、「破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合」(会社更生法第17条1項1号)または「弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合」(同条同項2号)に手続開始の申立てが認められます。
 そして、会社更生法は、株式会社のみを対象としており、大企業での利用を想定して作られた法律です。
 そのため、倒産をする企業が相当に大規模な株式会社であり、担保権者を手続の中に組み込んで再建を図ることを希望する場合には、会社更生手続を利用されることをお勧めします。

⑵ 民事再生

 民事再生とは、「経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする」手続をいいます(民事再生法第1条)。
 民事再生は、会社が「破産の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」または「債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき」のいずれかに該当する場合に申し立てることができます(民事再生法第21条)。
 そして、民事再生においては、経営陣が引き続き経営を行うのが原則です。
 したがいまして、企業の経営者自身が今後も継続して事業を行いたいとお考えの場合には、民事再生手続を利用されることをお勧めします。

⑶ 会社更生と民事再生の比較

会社更生民事再生
利用できる会社株式会社のみ法人・個人問わず
担保権の扱い更生手続開始決定後は、実行できない(会社更生法第50条1項)担保権は別除権とされ、原則として再生手続と関係なく、実行できる。
管財人の選任管財人が置かれ、経営権や財産の処分権を持つ。原則必要ない(例外的に再生管財人が選任されることもある)
株主の扱い100%減資が前提であり、既存株主は権利を失う。原則、株主の権利は維持される。

 他の相違点(経営者の継続の有無、時間と費用)の詳細については、過去のトピックス記事(「会社更生」2018.08.06)をご参照ください。

4 任意整理

 任意整理(私的整理)とは、法律上の手続によらないで債務者、債権者等の利害関係人の合意を基礎として行われる倒産処理手続をいいます。  任意整理手続の長所は、法律上の手続によらずに当事者の合意に基づき、簡易かつ迅速に債務者の財産が清算され、予納金等の費用に充てる金銭を配当原資に充てられる点にあります。
 一方、短所は、裁判所や破産管財人等の第三者による監督がないため、手続が不透明で債権者間の不公平などが生じやすいこと、債権者の一部が任意整理に反対する場合に当該債権者の参加を強制する方法を欠く点などにあります。
 裁判所を介さずに債権者と直接和解交渉をし、今後の返済計画を話し合いで決めていきたいとお考えの企業につきましては、任意整理手続を利用されることをお勧めします。

第3 結語

 このように、会社が倒産もしくは再建手続を実施する場合にいずれの手段を選択すべきかについては、極めて専門的で多岐に亘る視点からの法的判断が必要となり、その選択を誤ると多くの利害関係人に不利益が生ずるおそれがあるため、慎重に決すべき重大な判断事項であるといえます。
 当グループでは、たくさんの顧問企業を抱えており、会社の倒産や再建手続に関する豊富な経験とノウハウを有しておりますので、最高の対策・解決策をご提供することができます。
 詳しいお話をお聞きになりたい方は、お気軽に弁護士法人朝日中央綜合法律事務所の弁護士にご相談下さい。

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