譲渡制限株式を譲渡したものの会社の承認が得られないという場合、会社や指定買受人と承認(及び株式買取)請求者との間で、売買価格について争いが生じることが度々あります。 協議が整わない場合は、 裁判所に対し、 売買価格の決定を求めることになり、会社の資産状態その他一切の事情を斟酌して価格が決定されます。
実務上用いられる主な算定方式としては、 配当還元方式、 収益還元方式、 類似会社比準方式、 純資産価額方式があります。
配当還元方式は、 将来の各事業年度に期待される一株当たりの予測配当金額を一定の資本還元率で割り、 元本である株式の現在の価格を算出するものです。 会社経営に参加しない株主にとっては、 配当額がその株価を決定する一番の要因であることから、 一般投資株主の場合には、 ある意味最も適した決定方法と言えます。
しかし、 この方式には、 将来の配当額の予測及び配当還元率の算定が困難であるという欠点があります。 又、 利益を配当せずに内部留保に回し、 あるいは株主である取締役に対する報酬に上乗せして支払っている会社については、 将来の配当予測は事実上不可能と考えられます。 したがって、 配当還元方式を使えるのは、 現に配当を実施している会社に限られます。
収益還元方式とは、 将来の各事業年度に期待される法人税課税後の一株当たり予想純利益を一定の資本還元率で割り、 元本である株式の現在の価格を算出するものです。
配当還元方式と異なり、 収益還元方式は会社の内部留保を算定の基準に加える点で一般投資株主ではなく、 支配株主の保有株式に適した算定方法であると言えます。 もっともこの方式にも、 将来の収益を予想することが困難であるという欠点があります。
類似会社比準方式とは、 当該評価株式に取引相場があればどの程度の価格になるかを、 類似性の高い上場会社あるいは上場業種の株式相場の平均と比較して、 特定の算式により算出する方法です。
上場を予定している株式の場合、 かつ市場に類似業種が存在する場合には、 非常に合理的な算定方式と言えます。 しかしながら、 この方式は類似業種の会社が存在しない場合は使えませんし、 株価算定の対象たる会社が、 規模が相当小さい場合には、 上場会社を算定の基準とすることの合理性に疑問が生じます。
純資産価額方式とは、 会社の貸借対照表上の総資産額から総負債額を差し引いた額、 すなわち純資産を会社の発行済株式数で割って求められる金額を一株当たりの株価とする方式です。
この方式は、 株の売買を株主の会社に対する持分の譲渡と考える方式であり同族会社の株式の評価に適するとされています。 しかしながら株の価格を会社財産の清算としてとらえ、 会社の解散を前提とする考え方であるとして批判があります。
純資産価額方式で算定する前提として、 簿価によるか、 時価によるかの問題が生じますが、 一般的には時価によるべきとされています。