遺産分割は、 総遺産を相続分に応じて分割するものですから、 各相続人が分割によって得た遺産を換価したときに、 その換価額が相続分と等しくなってはじめて各 相続人の公平が図られることになります。 このため、 個々の遺産の客観的価値 (時 価) をなるべく早く把握することが、 話し合いによる遺産分割をスムーズにすすめ るポイントとなります。
もっとも、 当事者間の合意による遺産分割協議においては、 遺産の評価額を明 らかにせずに分割することも可能です。 また、 遺産の客観的価値にこだわらずに、 主観的価値を考慮して遺産の評価を行うことも許されます。 しかし、 通常、 個々の 遺産の客観的価値に基づかずに共同相続人間で遺産分割の話し合いをスムーズにす すめることは困難です。 また、 仮に個々の遺産の客観的価値に基づかずに遺産分割 の話し合いをすすめられる場合であっても、 後日に紛争の余地を残さないためには、 分割協議の前提として遺産の客観的評価を明らかにしておくことが望ましいと言え ます。
評価額の確定が問題になる財産には、 (a)不動産、 (b)貸付金、 (c)非上場会社の 株式等があります。
不動産については、 一般に路線価を基準に相続人間で話し合って、 評価額についてコンセンサスを得られるように努力し、 どうしてもコンセンサスが得られな いときは、 不動産鑑定士に鑑定を依頼する必要があります。 ただし、 鑑定には費 用もかかりますので、 鑑定費用が無駄にならないようにするため、 前もって全相 続人から当該鑑定士の鑑定にしたがう旨の念書を取り、 そのうえで当該鑑定人に 正式に鑑定を依頼するという方法をとるのがより安全確実です。
尚、 念書の作成をしようとする場合、 どの鑑定士に鑑定を依頼するかについて 相続人間で意見が対立する場合があります。 このような場合は、 何らかの公平な ルールを取り決める必要があります。 例えば、 甲、 乙両鑑定士に鑑定意見書を作 成してもらい、 両方の意見価格平均値を当該不動産の評価額とする等のルールで す。
貸付金については、 債務者に十分な資力がない場合や親族に対する貸付金について評価額が問題となります。 これらの場合、 結局のところ、 回収の見込みにつ いて相続人の認識が一致しなければ、 当該貸付金の評価額は確定しないというこ とになります。
非上場会社の株式には市場価格がないため、 株式の評価額を算定することは仲々困難です。 非上場会社の株式の評価方法としては、 次のような算定基準があります。
このうち、 どの方法をとるかはケースバイケースであり、 結局のところ、 会社の実態に応じて各方式を組み合わせて評価するのが一般的です。