手続の全体の流れ

非上場株式換価、評価マニュアル

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手続の全体の流れ

集合写真
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買受人の探査

非上場株式には、公開マーケットが存在しませんので、適切な株式買受希望者を個別に探査する必要があり、広い角度で多方面から最適の買手情報を集めることが重要です。
次に、買受希望者との売買交渉が必要となりますが、このような交渉の前提として秘密保持契約等を締結するのが一般です。
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譲渡承認請求、買受人指定請求

譲渡制限付き株式を譲渡しようとする株主は、会社に対し、特定の買受人への譲渡を承認するか否かの請求、及び承認しない場合には他に買受人を指定するよう請求を行います。
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会社が譲渡を承認する場合

会社が譲渡を承認するか否かの決定をするには株主総会(取締役会設置会社は取締役会。但し、定款で承認権者を定めることもできます)の決議によります(会社法139条1項)。
会社が譲渡を承認した場合、譲渡しようとする株主は、当初の買受人と株式売買手続をしていくことになります。この場合譲渡株式の価値を裏付ける説得力ある評価資料を迅速に作成することが有利に交渉をすすめるために不可欠です。売主が少数株主の場合、評価資料の入手のため法律手続を取る必要のある場合も少くありません。また会社の所有する特許権などの簿外資産の評価等各種資産の評価のノウハウも重要です。
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会社が譲渡を承認しない場合

取締役会等の承認権者が株式の譲渡を承認しない場合、会社は譲渡承認請求の日から2週間以内(定款で短縮可)に譲渡不承認通知をする必要があります(会社法139条2項、145条1号)。この期間内に譲渡不承認通知をしなければ、原則として会社は譲渡を承認したものとみなされます(会社法145条1号)。譲渡不承認の場合、会社自身が買い取るのが原則ですが、他の買受人を指定することもできます。また、定款をもって、予め買受人が定められている場合には、その者が指定買受人となります。
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会社または指定買受人の買取通知

会社が買受人となる場合、会社は譲渡不承認通知の日から40日以内(定款で短縮可)に株主総会の特別決議による承認を受け、かつ、譲渡承認請求株主に対し買取通知をしなければなりません(会社法140条2項、141条1項、145条2号)。
会社が他の買受人を指定した場合、指定買受人は、譲渡不承認通知の日から10日以内(定款で短縮可)に譲渡承認請求株主に対し、買取通知をしなければなりません(会社法142条、145条2号)。買取通知をするときには、会社または指定買受人は、その会社の帳簿上の純資産額を元にして計算した額を法務局に供託して、供託を証する書面を譲渡承認請求株主に交付する必要があります(会社法141条2項、142条2項)。
これらの手続を怠ると、会社が譲渡を承認したものとみなされます(会社法145条)。
また、譲渡承認請求株主は、会社または指定買受人から買取通知を受けた相手方の承諾を得なければ、譲渡承認請求を撤回することができなくなります(会社法143条)。
一方、株券発行会社の場合、会社または指定買受人から供託を証する書面の交付を受けた譲渡承認請求株主は、交付を受けた日から1週間以内に株券を法務局に供託し、供託した旨を会社または指定買受人に通知しなければなりません(会社法141条3項、142条3項)。
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売買価格決定手続

譲渡承認請求株主と会社または指定買受人との間で、売買価格の協議が調わない場合、当事者は会社または指定買受人がした買取通知の日から20日以内に裁判所に対し、売買価格の決定を請求することができます(会社法144条2項、7項)。
裁判所は、当事者双方の意見を聴取した上で、譲渡承認請求の時における「会社の資産状態その他一切の事情」を考慮して、適正な譲渡価額を決定します(会社法144条3項、7項)。
したがって、譲渡人は、自己の希望する価格での譲渡を実現するために自己の価額が理論上根拠のある金額であることを積極的に裁判所に立証していくことが必要となります。このためには、説得力のある正しい主張を行い、また権威ある株価鑑定書、意見書を作成し、資料として提出することなどが必要です。
尚、当事者において上記期間内に売買価格の協議がととのわず、裁判所に対する売買価格決定の申立もしなかったときは、会社の帳簿上の純資産額を元にして計算した額(供託額)が売買価格となります(会社法144条5項、7項)。