共有の法律関係の基礎知識

共有不動産の共有関係解決マニュアル

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共有の法律関係の基礎知識

集合写真
(1)

共有物の使用についての法律関係

(イ)
各共有者は共有物の全部について、 持分に応じた使用をすることができます (民法第249条)。
したがって、「共有持分の価格が過半数を超える者が、共有物を単独で占有する他の共有者に対して、当然にその明渡しを請求することができるものではない」(最判昭和41.5.19)、「共有者の一部の者が、共有者の協議に基づかないで共有物を第三者に使用貸しした場合に、それを承認しなかった他の共有者は、当該第三者に対して、当然にはその明渡しを請求できない」(最判昭和63.5.20)とされています。
もっとも、「不動産の共有者の一人が単独で占有していることにより持分に応じた使用が妨げられている他の共有者は、占有している者に対して、持分割合に応じて専有部分に係る地代相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求できる」(最判平12.4.7)とされています。
(ロ)
各共有者は、 合意によって共有物の具体的使用方法を決めることができ、共有物の具体的使用方法について合意をした場合には、 その合意に拘束されることとなります。
(2)

共有物の保存、 管理、 変更についての法律関係

(イ)
共有物の保存行為は、 各共有者が単独ですることができます (民法第252条但書)。 共有物について必要な修理をする等は保存行為にあたります。 また、 共有物を不法に占有している者に対する共有物の返還請求等も保存行為にあたります。
(ロ)
共有物の管理に関する事項は、 共有者がその持分の価格に従いその過半数でこれを決定することができます (民法第252条本文)。 共有物の管理に関する事項とは、 共有物をいかに利用、 改良すべきかに関する事項を意味します。
また、共有物を目的とする賃貸借契約の解除や、共有物を目的とする賃貸借契約の締結は、共有物の管理行為に当たるとされます(解除について、最判昭39.2.25・契約締結について、最判昭39.1.23)。
但し、共有物を目的物とする賃貸借契約の締結については、「共有建物につき借地借家法の適用を受ける賃貸借契約を締結する場合には、その期間が民法六○二条所定の期間を超えないときであっても、共有持分権の過半数によって決することが不当とはいえない事情があるときを除き、共有者全員の同意が必要である」(東京地判平14.11.25)とする判例も存在しており、常に共有者がその持分の価格に従いその過半数で賃貸借契約の締結を決定することができるわけではない点については注意が必要です。
(ハ)
共有物の変更は、 共有者全員の同意を必要とします (民法第251条)。 共有物の変更とは、例えば、田畑を宅地に変更する等共有物を物理的に変形させる行為をいいます。
したがって、例えば、共有者の一人が勝手に田畑を宅地に変更しようとした場合、他の共有者は妨害排除請求権の行使として、工事の差止めを求めることもできます。
なお、共有物の変更には処分も含まれますので、共有物を売却する場合にも、共有者全員の同意が必要となります。
(3)

共有物の管理費の負担についての法律関係

共有物の管理費用、 公租公課等の負担は、 持分に応じて各共有者が負担しなければなりません (民法第253条第1項)。
(4)

共有物の賃料の帰属についての法律関係

共有物から生じる賃料は、 各共有者の持分割合に応じて、各共有者に帰属します。
したがって、例えば、共有持分権者の一人が勝手に共有物を第三者に賃貸したとしても、他の共有持分権者は、自己の持分割合に応じた賃料を収受することができます。