38条第2項

定期借家実務マニュアル

第2

定期借家制度 条文解説

集合写真
38条

第2項

本項の趣旨

定期借家の契約締結にあたり、 定期借家契約は契約の更新がなく、 存続期間の満了とともに終了する旨を、 事前に書面を交付して賃借人に説明する義務を賃貸人に課したものです。

本項の内容

定期借家契約成立のためには、更新がない旨の説明を、①契約締結の事前に、②書面をもって、③口頭で、行うことが必要とされています。
①~③のうちいずれかの手続を欠いた場合、更新を拒絶する旨の条項は無効となり(同条3項)、定期借家契約としては契約が成立しなくなります(更新のある通常の賃貸借契約としては成立します。)。
(1)
事前説明
賃貸借契約に更新がないことを確実に認識させるために、契約時や契約後ではなく、「あらかじめ」契約更新がないことを周知させる必要があります。
もっとも、事前説明は、「契約と同一機会であっても、契約締結に時的に先立っていれば、『あらかじめ』に当たる」とされています(東京地判平成24年3月23日判例時報2152号52頁)。
(2)
事前説明書面
事前説明書面の交付がなければ、事前説明を行ったことになりません(要式契約)。
また、事前説明書類は、契約書そのものとは別個独立の書面である必要があります(最判平成24年9月13日民集66巻9号3263頁)。
事前説明書面には、 最低限次の記載が必要となります。
(イ)
建物賃貸借契約の骨子 (賃貸物件の特定、 居住用・営業用の区別、 賃貸人氏名、 賃借人氏名、 契約期間、 賃料)
(ロ)
当該建物賃貸借では、 借地借家法第26条及び同法第28条の規定による契約の更新がないこと
(ハ)
期間が1年以上の定期借家においては、 賃借人が賃貸人から契約期間満了の1年前から6か月前までの間に期間満了により建物賃貸借が終了する旨の通知を受けた場合には、 再契約をしない限り当該賃借建物を明渡さなければならないこと

法文上 「建物の賃貸人は・・・説明しなければならない」 となっています。
実際上は、 不動産仲介業者が上記の事前説明を行うことが多い実情に鑑み、 不動産仲介業者が事前説明を行う場合には、 建物の賃貸人から、 借地借家法第38条第2項の規定による書面を交付して説明する件を委任事項とする委任状を徴しておくことが望ましいといえます。
また、 借地借家法第38条第2項の書面を交付して説明しなければ、 当該賃貸借契約には更新がない旨の定めが無効になります (借地借家法第38条第3項) から、 賃貸人は賃借人からこれらの事前説明書面に基づき、 定期借家であることの説明を受け、 その旨の書面も受領したことを記載した書類をもらっておくことが、 後日、 説明や書面の交付についての争いを防ぐためにも必要です。
定期借家では契約の更新はありませんが、 再契約が繰り返されることはあります。
本項の事前説明は、 再契約の都度必要です。 最初の定期借家契約の時に事前説明したからといって再契約の際これを省略すると再契約後の賃貸借契約は正当事由条項の適用がある普通の建物賃貸借契約になりますので注意を要します。
(3)
口頭説明
書面の交付だけでは足りず、同時に、口頭で書面の内容を説明する必要があります(東京地判平成18年1月23日)。原則としては、書面を交付したその場で、口頭での説明を行うことが必要です。もっとも、電話での説明が口頭説明として認められた事案もあります。