(1)
任意整理とは、倒産状態にある会社の再建や清算を、裁判所の関与なしに行うことをいいます。裁判所が関与する「法的」整理に対する用語として「任意」整理、「私的」整理などという呼称がされます。
任意整理の特徴は、債権者との合意によって、会社の再建ないし清算を進めていくという点にあります。
すなわち任意整理を実質的に分析すれば、倒産会社と債権者との個別の和解契約、示談契約の集合体によって、会社の清算、再建といった効果が生み出されることになるのです。
任意整理の特徴は、債権者との合意によって、会社の再建ないし清算を進めていくという点にあります。
すなわち任意整理を実質的に分析すれば、倒産会社と債権者との個別の和解契約、示談契約の集合体によって、会社の清算、再建といった効果が生み出されることになるのです。
(2)
いかなる場合に任意整理を行うか
(イ)
任意整理のメリット
任意整理は裁判所を通さない手続きですから、法的整理の場合に裁判所に対して支払う予納金が不要になります。このため費用面においては任意整理のほうが優れているといえるでしょう。ただし、破産の少額管財手続が利用できる場合については、予納金額が20万円まで引き下げられたため、清算型任意整理を行う上での費用面のメリットはほとんど存在しなくなっています。
任意整理の実質は、再建や清算を目的とした各債権者との個別の和解、示談の集合体ですから、債権者の合意さえ得られれば、再建や整理の手続、内容を自由に決定することができます。このため、手続等が法定されている法的整理の場合よりも柔軟な解決が図りやすく、それによって倒産企業の意向を整理の内容に反映させやすいというメリットが存在します。
手続完了までの時間的コストについて、債権者の数が少なかったり、また債権者の協力が得られることが明らかな場合には、任意整理のほうが迅速であるといったメリットも有しています。
法的整理を申し立てる場合、その事実が周知されることで、会社の信用力を低下するということは往々にして存在しますが、任意整理の場合は、そのような危険性は相対的に低いといえます。
任意整理の実質は、再建や清算を目的とした各債権者との個別の和解、示談の集合体ですから、債権者の合意さえ得られれば、再建や整理の手続、内容を自由に決定することができます。このため、手続等が法定されている法的整理の場合よりも柔軟な解決が図りやすく、それによって倒産企業の意向を整理の内容に反映させやすいというメリットが存在します。
手続完了までの時間的コストについて、債権者の数が少なかったり、また債権者の協力が得られることが明らかな場合には、任意整理のほうが迅速であるといったメリットも有しています。
法的整理を申し立てる場合、その事実が周知されることで、会社の信用力を低下するということは往々にして存在しますが、任意整理の場合は、そのような危険性は相対的に低いといえます。
(ロ)
任意整理のデメリット
任意整理は、裁判所の関与なく手続が進められるため、一部の債権者に対する抜け駆け的整理を許したり、倒産会社の関係者、縁故者に有利な整理が行われるというリスクが存在します。
債権者間の不平等は、他の債権者の同意を得るに当たって大きな阻害要因となりますし、不平等であることを秘して任意整理を断行した場合、不利益を受けた債権者から、後に任意整理の無効を主張されたり、さらには一部の債権者に対する抜け駆け的整理が詐害行為であるとして、その取消しを請求されたりする事態も生じかねません。
任意整理は各債権者との和解ないし示談の集合体ですから、債権者が多数存在する場合や、任意整理に非協力的な債権者がいる場合には(例えば再建型任意整理の場面で破産手続の選択を主張する債権者など)、任意整理が長期化することが予測されます。債権者の同意が得られなければ、結局は法的整理に移行せざるを得なくなるため、それまでの手続的、時間的なコストが無駄になってしまう危険性も存在します。
法的整理の場合には手続や内容が法定され、また手続が開始されれば何らかの結果が得ることができますが、任意整理においては、手続にどの程度の時間を要するか、最終的に任意整理がまとまるかどうかということについて、かなりの不確定要素を含んでいるのです。
法的整理には、担保権の実行中止や消滅請求、否認権の行使等、再建や整理を行うための強力な制度や権限が創設されていますが、任意整理を行う場合はこれらの規定を利用することはできません。
債権者間の不平等は、他の債権者の同意を得るに当たって大きな阻害要因となりますし、不平等であることを秘して任意整理を断行した場合、不利益を受けた債権者から、後に任意整理の無効を主張されたり、さらには一部の債権者に対する抜け駆け的整理が詐害行為であるとして、その取消しを請求されたりする事態も生じかねません。
任意整理は各債権者との和解ないし示談の集合体ですから、債権者が多数存在する場合や、任意整理に非協力的な債権者がいる場合には(例えば再建型任意整理の場面で破産手続の選択を主張する債権者など)、任意整理が長期化することが予測されます。債権者の同意が得られなければ、結局は法的整理に移行せざるを得なくなるため、それまでの手続的、時間的なコストが無駄になってしまう危険性も存在します。
法的整理の場合には手続や内容が法定され、また手続が開始されれば何らかの結果が得ることができますが、任意整理においては、手続にどの程度の時間を要するか、最終的に任意整理がまとまるかどうかということについて、かなりの不確定要素を含んでいるのです。
法的整理には、担保権の実行中止や消滅請求、否認権の行使等、再建や整理を行うための強力な制度や権限が創設されていますが、任意整理を行う場合はこれらの規定を利用することはできません。
(3)
再建型と清算型
法的整理の場合、再建型、清算型、いずれもその根拠となる法律や各種の規定によって、手続の進行や関係者の権限、義務が規定されています。
任意整理の場合も、会社の再建を目的とする場合と会社の清算を目的とする場合と大きく2分されます。
再建型の任意整理は、債務の一部免除や弁済期の繰り延べを受けつつ、再建計画に従った事業の継続と弁済の実行を行うという流れをとり、清算型の任意整理は、会社の財産を全て換価して弁済を行うという流れをとるのが一般的です。
任意整理の手続を規制する特別の法規は存在しないため、任意整理をすすめるにあたって法的なトラブルが発生した場合には、民法等の一般的な法律によって対処していくこととなります。
なお、再建型の任意整理に関しては、平成13年9月、有識者で構成される「私的整理に関するガイドライン研究会」によって「私的整理に関するガイドライン」が公表されましたが、このガイドラインには法規範性や罰則は存在せず、再建型任意整理を行う上での一つの例といった位置づけになります。
結局は任意整理の手続、内容は、倒産会社の意向や選任された代理人の裁量によって大きく左右されるもので、債権者との合意内容もケースバイケースで大きく異なってくるのです。
以下では、再建型の任意整理、清算型の任意整理、それぞれのモデルケースについて説明していくこととします。
任意整理の場合も、会社の再建を目的とする場合と会社の清算を目的とする場合と大きく2分されます。
再建型の任意整理は、債務の一部免除や弁済期の繰り延べを受けつつ、再建計画に従った事業の継続と弁済の実行を行うという流れをとり、清算型の任意整理は、会社の財産を全て換価して弁済を行うという流れをとるのが一般的です。
任意整理の手続を規制する特別の法規は存在しないため、任意整理をすすめるにあたって法的なトラブルが発生した場合には、民法等の一般的な法律によって対処していくこととなります。
なお、再建型の任意整理に関しては、平成13年9月、有識者で構成される「私的整理に関するガイドライン研究会」によって「私的整理に関するガイドライン」が公表されましたが、このガイドラインには法規範性や罰則は存在せず、再建型任意整理を行う上での一つの例といった位置づけになります。
結局は任意整理の手続、内容は、倒産会社の意向や選任された代理人の裁量によって大きく左右されるもので、債権者との合意内容もケースバイケースで大きく異なってくるのです。
以下では、再建型の任意整理、清算型の任意整理、それぞれのモデルケースについて説明していくこととします。
任意整理とは