株主、株式会社による訴訟参加

株主代表訴訟マニュアル

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株主、株式会社による訴訟参加

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どのような場合に、株主、株式会社は役員等の責任追及の訴えに訴訟参加することができるか。また、この訴訟参加の制度の趣旨は何か。

訴訟参加の要件

取締役等の責任を追及する訴えに対しては、原則として株主又は株式会社は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、訴訟参加することができます(会社法849条1項本文)。株式会社が責任追及の訴えを提起した場合には株主が、株主が株主代表訴訟を提起した場合は株式会社又は他の株主が訴訟に参加することが認められます。
もっとも、例外的に、訴訟参加することが不当に当該訴訟を遅延させる場合や、裁判所の負担を著しく大きくさせる場合には、訴訟に参加することは認められません(同条項ただし書)。

訴訟参加制度の趣旨

法が上記のとおり訴訟参加を広く認めた趣旨は、原被告間で馴合訴訟を展開することを防止しようという点にあります。すなわち、役員等の責任追及の訴えを株式会社が提起した場合又は株主が株主代表訴訟を提起した場合において、原被告間で馴合訴訟をして原告敗訴となったときは、既判力が及ぶ株式会社は当然のこととして他の株主にも敗訴の不利益が及びます。
もちろん、株式会社や他の株主は、こうした馴合訴訟に対しては、株式会社の権利を詐害する目的が原被告間にあったことを立証して、再審の訴えを提起できます(会社法853条1項)。しかし、そうした迂遠な方法をとるまでもなく、事前に馴合訴訟を防止して、株式会社の不利益を防ぐことを訴訟参加は目的としています。
この訴訟参加を容易にならしめようという制度が、訴訟告知(会社法849条4項)です。

株式会社の被告取締役等側への補助参加

株式会社が被告取締役等の側へ補助参加するには、監査役(監査役設置株式会社の場合。委員会設置株式会社では、監査委員)全員の同意が必要です(会社法849条3項)。
平成17年改正前商法のもとでは、株主代表訴訟において特に株式会社が被告取締役側に補助参加できるかどうかが解釈上の問題として争われていました。
この問題に関し、最決平13.1.30民集55巻1号30頁は、平成13年12月改正前商法の下での事案に関するものですが、取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対して提起された株主代表訴訟では、株式会社は特段の事情がないかぎり取締役を補助するため訴訟に参加することが許されるとしていました。
会社法は、この最高裁決定のような限定を設けないものとし、かつ、補助参加の利益(民事訴訟法42条)も不要として、上記の問題を立法的に解決しました。