会社分割の知識12|会社分割の会計実務ー新設分割会社の会計処理

企業法務ガイド|会社分割

第2編

会社分割の会計実務

第2

新設分割の会計処理

1

新設分割会社の会計処理

(1)
概要
新設分割においては、分割会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社(設立会社)に承継させ、その対価を受領します。設立会社は1社になりますが、分割会社は1社でも複数でも構いません。資産及び負債の設立会社への移転の会計処理、新設分割会社が発行していた新株予約権の消滅の会計処理、そして受領した対価を株主へ分配する場合の会計処理の3つが会計処理の対象となります。尚、分割会社が1社の場合を「単独新設分割」、複数の場合を「共同新設分割」といいます。
(2)
分割対価の受領と移転損益の認識
(イ)
単独新設分割の場合
(a)
基本
分割対価を承継財産の帳簿価額で評価するため移転損益は認識しません。
(b)
特殊なケース
(承継させる財産が簿価債務超過で、株式が分割対価に含まれている場合)
対価のうち、設立会社の株式以外の財産の価額部分のみを移転利益として認識し、その他は株式の取得価額とします。債務超過部門の承継なので株式の評価はマイナスとなりますが、資産である株式にマイナスの価額を付すことはできないので、株式の特別勘定としてマイナス相当の負債を計上します。
(ロ)
共同新設分割の場合
承継させる資産・負債の対価の決定は、次の3通りの場合があります。
(a)
その時の時価で算定
設立会社が分割後、分割会社の子会社や関連会社にならない場合
(b)
分割対価の帳簿価額で算定
共通支配下の取引で、分割対価が設立会社の株式以外の財産である場合
(c)
承継させる財産の帳簿価額で算定
共通支配下の取引で、分割対価が設立会社の株式である場合
(3)
新株予約権の扱い
分割会社の新株予約権者に対して、分割会社の新株予約権に代えて設立会社の新株予約権を交付する場合、分割会社の新株予約権は会社分割の効力発生日に消滅することになります。新設分割会社においては、新株予約権の消滅に伴い当該新株予約権の帳簿価額が減少し、当該免除益は課税所得となるため、その税効果調整相当額を控除した部分が利益となります。
(4)
分割対価の株主に対する分配
いわゆる人的分割は、物的分割たる会社分割と、分割会社が分割対価として受領した財産の分配、という2つの取引に分けて考えることになります。分配の方法は剰余金の配当と全部取得条項付種類株式の取得の2通りがあります。
分割型新設分割であって対価の全部が設立会社の株式であり、分割対価の全部を株主に分配する場合には、設立会社の株主資本の各項目について適当な増減額を定めることができる(会社計算規則81条1項)という特別な規定があります。設立会社でそのような会計処理をした場合には、分割会社でもその増減に対応した整合性の取れた処理をすることが求められます。
(5)
分割会社の自己株式の処分
新設分割の場合には、分割会社がその有する自己株式を設立会社に承継させることはできません。

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