第4
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家事調停委員とは
法律は、「家事調停委員は、弁護士となる資格を有する者、・・・家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者の中から、最高裁判所が任命する。ただし、特に必要がある場合においては、年齢四十年以上七十年未満の者であることを要しない。」と規定しています(民事調停委員及び家事調停委員規則1条)。したがって、家事調停委員とは、いわゆる有識者である民間人の中から選任された者です。
具体的には、専門的知識経験を有している者として、弁護士、大学の教授、元公務員等が、豊富な社会生活経験を有している者として、定年後のサラリーマン、主婦等が家事調停委員として選任されています。
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第三者の参加
(1)
法律上の規定
家事審判規則は、「調停の結果について利害関係を有する者は、家庭裁判所の許可を受けて、調停手続に参加することができる。」と規定しています。したがって、家事調停の結果に利害関係を有している者であれば、家庭裁判所の許可を受けることにより、家事調停に参加することができます。
(2)
利害関係
「利害関係」には、調停の結果について、直接的又は間接的に法律上の利害関係を有する場合のみならず、直接的又は間接的に事実上の利害関係を有する場合も含まれます。
(3)
強制参加
家事審判法は、「家庭裁判所は、相当と認めるときは、調停の結果について利害関係を有する者を調停手続に参加させることができる。」と規定しています(家事審判法12条、20条)。したがって、自ら家事調停への参加を望んでいない場合であっても、家庭裁判所より、家事調停に参加するよう命じられることもあります。
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罰則等
(1)
罰則の種類
家事審判法は、下記(イ)及び(ロ)の場合に罰則を科しています。
(イ)
家事調停の呼出しを受けたのにもかかわらず、裁判所に出頭しない場合
(ロ)
履行命令に違反した場合
したがって、家事調停の当事者となった場合で、(イ)家事調停の呼出し、及び(ロ)履行命令に違反したときには、原則として罰則が科せられます。
(2)
呼出に応じない場合
家事審判法上の規定
(イ)
家事審判法上の規定
家事審判法は、「家庭裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、これを5万円以下の過料に処する。」と規定しています(家事審判法27条)。
したがって、家事調停に「正当な事由」なく出頭しなかった場合には、5万円以下の過料を科せられる可能性があります。
家事審判法は、「家庭裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、これを5万円以下の過料に処する。」と規定しています(家事審判法27条)。
したがって、家事調停に「正当な事由」なく出頭しなかった場合には、5万円以下の過料を科せられる可能性があります。
(ロ)
「正当な事由」
上記(イ)の「正当な事由」が認められる場合は、ケースバイケースになりますが、重病であり裁判所に出頭できる状態でない場合等は「正当な事由」が認められますが、単に多忙である等では「正当な事由」は認められません。
上記(イ)の「正当な事由」が認められる場合は、ケースバイケースになりますが、重病であり裁判所に出頭できる状態でない場合等は「正当な事由」が認められますが、単に多忙である等では「正当な事由」は認められません。
(3)
履行命令に違反した場合
(イ)
家事審判法条の規定
家事審判法は、「当事者又は参加人が正当な事由がなく、履行命令に従わないときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。」と規定しています(家事審判法28条1項)。
したがって、家庭裁判所の履行命令に違反した場合には、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。
家事審判法は、「当事者又は参加人が正当な事由がなく、履行命令に従わないときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。」と規定しています(家事審判法28条1項)。
したがって、家庭裁判所の履行命令に違反した場合には、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。
(ロ)
「正当な事由」
上記(イ)の「正当な事由」が認められるか否かは、ケースバイケースになりますが、客観的に見て履行命令に違反することが、やむを得ないと認められる場合には、「正当な事由」が認められます。
もっとも、上記正当な事由が認められることは非常に稀なケースに限られます。
上記(イ)の「正当な事由」が認められるか否かは、ケースバイケースになりますが、客観的に見て履行命令に違反することが、やむを得ないと認められる場合には、「正当な事由」が認められます。
もっとも、上記正当な事由が認められることは非常に稀なケースに限られます。
(4)
家事調停委員による秘密保持
(イ)
家事審判法上の規定
家事審判法は、「家事調停委員又はこれらの職に在った者が正当な事由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しています(家事審判法31条)。
すなわち、家事審判法は、家事調停委員に対する罰則を設けることにより、家事調停手続において話した個人の秘密が外部に漏れることを防止しています。
また、家事調停委員は、家庭裁判所より適切な人材として選定された者であることからしても、家事調停で話した秘密が、家事調停委員より外部に漏れることは基本的にありません。
家事審判法は、「家事調停委員又はこれらの職に在った者が正当な事由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しています(家事審判法31条)。
すなわち、家事審判法は、家事調停委員に対する罰則を設けることにより、家事調停手続において話した個人の秘密が外部に漏れることを防止しています。
また、家事調停委員は、家庭裁判所より適切な人材として選定された者であることからしても、家事調停で話した秘密が、家事調停委員より外部に漏れることは基本的にありません。
(ロ)
家事調停委員が人の秘密を漏らした場合
上記(イ)の規定にもかかわらず、家事調停委員が紛争当事者の秘密を外部に漏らした場合には、その被害者は、秘密を漏らした家事調停委員に対して、民事責任、場合によっては刑事責任を追及することができます。
上記(イ)の規定にもかかわらず、家事調停委員が紛争当事者の秘密を外部に漏らした場合には、その被害者は、秘密を漏らした家事調停委員に対して、民事責任、場合によっては刑事責任を追及することができます。
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