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ようこそ弁護士法人朝日中央綜合法律事務所へ
1976年個人事務所として出発した当事務所はその後パートナーシップによる事務所として展開を遂げ、1987年には法律・税務・財務のトータルファーム朝日中央綜合法律事務所に改組いたしました。
さらに2003年には弁護士法改正、税理士法改正による弁護士法人制度、税理士法人制度の発足に伴い、弁護士法人朝日中央綜合法律事務所、税理士法人朝日中央綜合事務所を中心事務所とする朝日中央グループに発展改組。東京、大阪の2拠点で業務展開。
弁護士法人朝日中央綜合法律事務所はその後、札幌、横浜、福岡、名古屋各事務所を開設し、そして今日現在まで日本全国6拠点に事務所を構え、全国のご依頼人のご相談に対応して圧倒的な実績をあげております。
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民事訴訟はどのような紛争を対象とする訴訟か
民事訴訟は、当事者の民事関係や商事関係や労働関係などに紛争対立があって裁判所に判決に よる解決を求める手続です。具体的には、
・金銭請求、契約の履行、損害賠償、差止め、不動産の明渡
など民事関係の紛争、
・株主総会、取締役責任、商取引、M&A紛争
など商事関係の紛争、
・解雇無効、未払賃金、残業代、配転、降格
など労働関係の紛争
などが対象となります。
訴訟には、民事訴訟の他に、婚姻や親子、養子関係を対象とする人事訴訟、行政処分の効力を 争う行政事件訴訟、犯罪の罪責を問う刑事訴訟があります。
それぞれの訴訟は、民事訴訟が民事訴訟法、人事訴訟が人事訴訟法、行政事件訴訟が行政事件 訴訟法、刑事訴訟が刑事訴訟法という手続法で審理される独立した手続となっています。
民事訴訟は、民事訴訟法という手続法で審理される訴訟ですが、民事訴訟法は弁論主義という 特別に特色ある制度を採用しているため、民事訴訟は訴訟の中でもたいへん特色の濃い訴訟と なっています。
弁論主義の詳しいことは「民事訴訟における弁論主義」をご覧ください。
民事訴訟の他の民事裁判
民事裁判には民事訴訟の他、
1 人事訴訟
①婚姻に関するもの
②親子関係に関するもの
③養子縁組に関するもの
2 審判
(1)家事審判
①相続に関するもの(遺産分割など)
②成年後見に関するもの
③親子、監護に関するもの(親権者変更など)
④婚姻費用、養育費用などに関するもの
⑤その他
(2)労働審判
3 非訟
(1)商事非訟
(2)家事非訟
(3)登記、供託
などがあります。
これらの民事裁判は、それぞれ裁判の対象が民事訴訟と異なり、また民事訴訟が民事訴訟法という手続法で審理されるのに対し、人事訴訟が人事訴訟法、家事審判が家事事件手続法、労働審判が労働審判法、商事非訟、登記、供託非訟が非訟事件手続法、家事非訟が家事事件手続法という手続法でそれぞれ審理される他、裁判所の判断の形式が民事訴訟が判決であるのに対し、審判や非訟では、審判や決定という形式であったり、民事訴訟が弁論主義を採用するのに対し、職権探知を採用するなど、民事訴訟とは大きく異なります。このように民事訴訟は民事裁判の中で非常に大きな特色を持つ裁判です。
民事訴訟における弁論主義
我国の民事訴訟では、弁論主義という制度が採用されています。弁論主義とは、裁判所が判断の基礎とする事実は、原則として当事者が主張したものに限られるという制度です。裁判官は、当事者が主張していない事実を自ら探し出して判断することはできません。
したがって民事訴訟は、「裁判官が真実をすべて調べてくれる場」ではなく、当事者が示した主張と証拠を素材として進められる手続になります。つまり民事訴訟では、裁判は口頭弁論や準備書面、証拠調べのすべてを当事者の責任で進められねばなりません。
弁論主義の対極をなす制度が職権探知主義という制度です。この制度では、裁判官は当事者の主張の有無にかかわらず、自ら事実と証拠を探し出し判断します。
我国の民事訴訟制度は弁論主義を採用しています。
1 弁論主義の3つの柱
弁論主義は、抽象的な理念ではなく、実務では主に次の三つの形で現れます。これらを理解していないと、「なぜ負けたのか分からない」という結果になりがちです。
(1) 主張しない事実は判断されない
民事訴訟では、たとえ実際に起きていた事実であっても、当事者が主張しなければ、裁判所はそれを判断の材料にできません。裁判官が記録や雰囲気から「分かっていそう」に見えても、主張として出ていなければ、原則として存在しないものとして扱われます。
(2)争いのない事実はそのまま前提になる
当事者双方が争わない事実については、裁判所はその事実が真実であるものとして判断を進めます。これが、いわゆる自白や擬制自白の効果につながります。特に被告側が十分な反論をしないまま手続が進むと、後になって事実関係を争うことが難しくなる場合があります。
(3) 証拠は原則として当事者が出す
裁判所が判断に使う証拠も、原則として当事者が提出したものに限られます。裁判官が職権で証拠を集めることは例外的であり、基本的には期待できません。そのため、「主張した事実を、どの証拠で支えるのか」を当事者自身が考える必要があります。
2 主要事実・間接事実の考え方
弁論主義を実務で理解するうえで重要なのが、主要事実と間接事実という考え方です。主要事実とは、請求や抗弁が認められるために法律上必要とされる事実をいいます。例えば、契約に基づく請求であれば、契約の成立や内容といった点が主要事実になります。
これに対し、間接事実とは、主要事実の存在を推認させるための事実です。直接「契約が成立した」と示す証拠がなくても、やり取りの経過や行動状況といった間接事実を積み重ねることで、主要事実の存在を裏付けていきます。実務では、どこまでを主要事実として主張し、どこからを間接事実で補強するかという整理が極めて重要になります。ここを意識できるかどうかが、準備書面や証拠の組み立て方に大きな差を生みます。
3 裁判所はどこまで関与できるのか
弁論主義のもとでは、裁判所は当事者が提出した主張や証拠を前提に判断を行いますが、まったく関与しないわけではありません。その代表が釈明権です。釈明権とは、裁判官が当事者に対し、主張の意味や趣旨を確認したり、不明確な点について説明を求めたりする権限をいいます。ただし、釈明はあくまで主張を明確にするためのものであり、裁判所が新たな主張を補ってくれる制度ではありません。
また、民事訴訟では、原則として職権探知は認められていません。裁判所が当事者に代わって事実を調べたり、証拠を探したりすることは例外的です。
4 弁論主義で負けないための実務的注意点
弁論主義を理解していないと、実務では思わぬ形で不利になります。特に多いのが、「言わなくても分かるだろう」「裁判官なら気づいてくれるはずだ」という思い込みです。民事裁判では、主張されていない事実は、原則として存在しないものとして扱われます。
本人訴訟では、感情的な経緯や不満は詳しく述べているものの、法律上必要な事実が整理されていないケースが少なくありません。その結果、裁判官としては判断の前提を置くことができず、結論として請求が認められないことがあります。弁論主義のもとでは、何が争点で、どの事実を、どの証拠で支えるのかを明示することが不可欠です。この点を意識できるかどうかが、結果に大きな差を生みます。
民事訴訟の手続と流れ
1 訴提起
民事訴訟は、当事者の一方(原告)が裁判所に対して「裁判による判断を求める」ことによって始まります。この最初の行為を訴えの提起(訴提起)といいます。民事訴訟は、裁判所が自動的に事件を扱う制度ではなく、当事者の申立てがあって初めて開始される点に特徴があります。
(1) 訴状の提出とその役割
訴えは、訴状と呼ばれる書面を裁判所に提出することによって提起します。訴状には、原告・被告の氏名や住所、請求の内容、請求に至る理由などを記載します。
とくに重要なのは、請求の内容(請求の趣旨)と、その理由(請求の原因)です。裁判所は、訴状に記載された事項を前提として審理を進めるため、ここが不明確だと、後の主張や証拠の整理にも支障が生じます。
(2)どの裁判所に訴えるか(管轄)
訴状は、どの裁判所に提出してもよいわけではありません。事件の内容や金額などに応じて、法律で定められた裁判所に提出する必要があります。
請求金額が小さい場合には簡易裁判所、それを超える場合には地方裁判所になります。
(3)訴え提起に伴う費用
訴状を提出する際には、訴え提起手数料を納める必要があります。これは、訴状に収入印紙を貼付する方法で支払います。手数料の額は、請求金額などに応じて定められいます。
(4)訴え提起の法的な効果
訴えを提起すると、単に裁判が始まるだけでなく、法律上の重要な効果が生じます。代表的なものとして、事件が裁判所に係属すること、同一の事件について重ねて訴えることが制限されることなどが挙げられます。
また、場合によっては、訴え提起によって時効の完成が猶予されたり、更新されたりすることがあります。権利を守るために訴訟を選択する場面では、このような法的効果を意識することが重要です。
2 口頭弁論と証拠調べ
訴えが提起されると、次に進むのが「口頭弁論」と「証拠調べ」の段階です。この段階では、当事者双方が自分の主張を述べ、それを裏付ける証拠を提出し、裁判所が事実関係を整理していきます。民事訴訟の中核となるのが、この工程です。
口頭弁論や証拠調べは、一度で終わるものではなく、複数回の期日を重ねながら進行するのが通常です。
(1)口頭弁論とは何をする場か
口頭弁論とは、裁判所の期日において、当事者が主張を明らかにし、裁判所がそれを確認する手続です。もっとも、実務では、実際に長時間話し続ける場面は多くありません。
多くの場合、当事者はあらかじめ提出した書面の内容を前提に、「その主張を維持する」という形で口頭弁論が進められます。口頭弁論は、当事者の主張を裁判所の正式な審理対象として確定させる場と理解するとよいでしょう。
(2)準備書面のやり取り
口頭弁論と並行して重要なのが、準備書面の提出です。準備書面とは、当事者が自分の主張や反論を整理して書面で提出するものです。
実務では、期日と期日の間に準備書面を提出し合い、その内容を踏まえて次の期日が開かれる、という流れが繰り返されます。裁判の実質的な攻防は、準備書面を通じて行われることが多く、訴訟の帰趨を左右する重要な書面です。
(3)争点整理の意味
裁判が進むにつれて、裁判所は「何が争いで、何が争いでないか」を整理していきます。これを「争点整理」といいます。
争点整理では、当事者双方の主張を踏まえ、裁判所が判断すべきポイントを絞り込みます。争点が整理されることで、無関係な主張や証拠の提出が避けられ、審理が効率化されます。
この段階で、主張や証拠の出し方を誤ると、不利な判断につながるおそれがあるため、実務上は慎重な対応が求められます。
(4)証拠調べの全体像
争点が整理された後、または並行して行われるのが証拠調べです。証拠調べとは、主張が事実として認められるかどうかを判断するために、証拠を調べる手続です。
証拠には、書類(書証)、証人の証言、人の尋問、鑑定などがあります。どの証拠を、どの順番で提出するかは、訴訟戦略上重要な判断となります。
裁判所は、提出された証拠を踏まえて、どの事実を認定するかを検討します。
3 判決
口頭弁論と証拠調べが尽くされると、裁判所は審理を終結し、最終的な判断として判決を言い渡します。判決は、当事者の主張と証拠を踏まえ、裁判所が事実関係と法律関係を判断した結論であり、民事訴訟における一つの到達点です。
判決が出るまでには、審理終結から一定の期間が置かれるのが通常であり、即日に結論が示されることは多くありません。
(1)判決に至るまでの流れ
裁判所は、当事者双方の主張と提出された証拠をもとに、どの事実を認定するかを判断します。そのうえで、認定した事実に法律を当てはめ、請求が認められるかどうかを検討します。
審理が終結すると、裁判所は「判決を言い渡す期日」を指定し、その期日に判決が宣告されます。実務では、当事者が法廷に出頭せず、後日、判決書が送達される形で結果を知ることも少なくありません。
(2)判決書の構成と読み方
判決は、判決書という書面によって示されます。判決書には、主文、理由などが記載されます。
主文には、「原告の請求を認める」「原告の請求を棄却する」といった結論が端的に記載されます。実務上は、まず主文を確認することで、勝訴か敗訴かが分かります。
理由の部分には、裁判所がどのような事実を認定し、どのような考え方で結論に至ったのかが記載されます。理由を読むことで、なぜその結論になったのかを理解することができます。
(3)勝訴・敗訴の意味
原告の請求が全部または一部認められた場合、原告は勝訴したことになります。一方、請求が認められなかった場合には敗訴となります。
もっとも、判決で勝訴したからといって、直ちに相手方が任意に義務を果たすとは限りません。また、敗訴した場合でも、必ずしもそれで全てが終わるわけではなく、上訴という手段が残されていることもあります。
判決は、紛争に一つの区切りを与えるものですが、その後の対応を見据えて内容を正確に把握することが重要です。
(4)判決と強制執行との関係
金銭の支払いなどを命じる判決が確定しても、相手方が任意に履行しない場合があります。そのような場合には、強制執行という手続を利用して、判決の内容を実現することになります。
ただし、強制執行を行うためには、判決が確定していることが原則として必要です。判決が出た段階では、まだ上訴の可能性が残されているため、直ちに執行できるとは限りません。
判決後にどのような手続きを取るべきかは、事案の内容や相手方の対応によって異なるため、慎重な判断が求められます。
4 上訴
第一審の判決に不服がある場合には、その判決を争うために上訴を行うことができます。上訴とは、上級の裁判所に対して、原判決の見直しを求める手続です。民事訴訟では、判決が出たからといって直ちに全てが確定するわけではなく、一定の条件のもとで上訴の道が用意されています。
ただし、上訴は自動的に行われるものではなく、定められた期間内に適切な手続きを取る必要があります。
(1)控訴と上告の違い
民事訴訟における上訴には、主に控訴と上告があります。第一審の判決に対して行うのが控訴であり、控訴審の判決に対して行うのが上告です。
控訴審では、第一審の判断について、事実認定や法律判断の当否が改めて審理されます。そのため、第一審とは異なる結論が出ることもあります。
一方、上告審では、原則として事実関係の見直しは行われず、法律の解釈や手続上の問題が中心となります。すべての事件で上告が認められるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。
(2)上訴をするかどうかの判断
上訴は、判決に不満があるからといって、必ず行うべきものではありません。上訴には、時間や費用がかかり、結果として原判決が維持される可能性もあります。
そのため、上訴を検討する際には、判決内容を正確に理解したうえで、見直しが期待できる点がどこにあるのかを冷静に検討することが重要です。とくに、事実認定の問題なのか、法律解釈の問題なのかによって、上訴の見通しは大きく異なります。
(3)上訴に伴う時間と費用
上訴を行うと、訴訟はさらに長期化します。控訴審だけでも数か月から1年以上かかることがあり、上告まで進むと、さらに時間を要する場合もあります。
また、上訴に際しては、追加の手数料や弁護士費用が発生します。経済的・時間的な負担を踏まえたうえで、上訴によって得られる利益とリスクを比較検討することが必要です。
上訴は、紛争解決の最終局面に向けた重要な判断となるため、慎重な対応が求められます。
民事訴訟と示談交渉
民事紛争は、いきなり民事訴訟を提起することは一般的ではなく、実務上
弁護士間示談交渉→民事訴訟
という流れが一般的です。
弁護士間示談交渉が不成立の場合にはそのまま訴訟に移行するため、弁護士は常に訴訟を視野に入れて交渉を行います。示談交渉は単なる話し合いではなく準訴訟的業務です。示談交渉では
① 事実関係の整理
② 証拠収集・証拠保全
を的確に押さえたうえ行う必要があります。これはそのまま訴状の構造となります。
交渉中の発言は証拠化される可能性があります。
したがって、不利な事実認定につながる発言を絶対にしないよう留意する必要があります。
示談成立は和解契約(民法695条)です。
したがって
- 契約として拘束力
- 既存の権利関係の確定
の効力があります。
ただし、執行力はないため、支払いが履行されない場合は再度訴訟が必要です。
そのため実務では
- 公正証書
- 即決和解(民訴275条)
が利用されます。
民事訴訟と民事調停
調停は、裁判所が関与しながら、当事者同士の話合いによって紛争の解決を図る制度です。民事訴訟が、裁判官による法的判断によって結論を示す手続であるのに対し、調停は、当事者の合意によって、柔軟な解決を目指す手続です。
調停は裁判所で行われ、裁判官や調停委員が関与するため、一定の公的性格を備えています。その結果、当事者だけでは整理が難しい争点についても、第三者の関与を通じて冷静な話合いが行われやすくなります。
民事訴訟との関係で見ると、調停はしばしば「訴訟の前段階」として利用されます。いきなり訴訟を起こすのではなく、まずは調停によって解決を試みることが望ましい場合があります。特に、当事者間に継続的な関係がある紛争や、金銭以外の条件調整が重要となる紛争では、調停が適しているケースも少なくありません。
一方で、調停は合意による解決を前提とする制度であるため、当事者の一方が話合いに応じない場合や、譲歩の余地が全くない場合には、不成立となります。この点は、裁判所が一方的に結論を示す民事訴訟との決定的な違いです。
また、調停では、法律上の権利義務だけでなく、当事者の事情や感情、将来の関係性といった、訴訟では判断の対象としにくい要素も考慮されることがあります。そのため、法的には有利な立場にある場合でも、一定の譲歩を求められる場面が生じ得ます。
このように、調停は民事訴訟と比べて柔軟な制度である一方、必ずしも法的に最も有利な結果が得られるとは限らないという側面もあります。調停を選択するかどうかは、法的な勝敗だけでなく、早期解決や関係維持といった要素も含めて、総合的に検討する必要があります。
調停のメリットとして挙げられるのが、柔軟な解決が可能であることです。民事訴訟では、法律上の権利義務を前提に、請求が認められるか否かという形で判断が示されます。一方、調停では、法的な正解が一つに定まらない場合であっても、当事者の事情や希望を踏まえた解決が模索されます。たとえば、金銭の支払いに関しても、支払時期や方法を調整したり、金銭以外の条件を組み合わせたりするなど、訴訟では実現しにくい解決が成立することがあります。
迅速性も調停のメリットとして挙げることができます。民事訴訟は、主張や証拠の提出を重ねながら進むため、一定の期間を要するのが通常です。それに対し、調停は比較的早い段階で期日が設けられ、短期間で解決に至るケースも少なくありません。早期解決を重視する当事者にとって、調停は現実的な選択肢となり得ます。
また、調停は訴訟と比べて、心理的な負担が小さいと感じられる場合があります。裁判で争うことに強い抵抗感を持つ人にとって、話合いを基本とする調停は、制度として受け入れやすい側面があります。特に、感情的な対立が強い紛争では、第三者が関与する場で冷静な話合いが行われること自体に意味がある場合もあります。
一方で、調停には明確な限界も存在します。最大の制約は、調停が当事者の合意を前提とする制度であるという点です。当事者の一方が話合いに応じない場合や、譲歩の余地が全くない場合には、調停は成立せず、不成立となります。この場合、結局は民事訴訟など、別の手続を選択せざるを得ず、調停に費やした時間と労力は無に帰します。
また、調停では、必ずしも法的に最も有利な結果が得られるとは限りません。調停の場では、法律上の権利関係を前提としつつも、双方の歩み寄りが重視されるため、法的には有利な立場にある当事者であっても、一定の譲歩を求められることがあります。この点を十分に理解しないまま調停に臨むと、「本来はもっと有利な結果が得られたのではないか」という不満が残るおそれもあります。
さらに、調停は一見すると手軽な制度に見えるため、準備が不十分なまま臨んでしまうケースも見受けられます。しかし、調停であっても、争点や条件を整理しないまま話合いを進めると、かえって解決が遠のくことがあります。特に、調停が不成立となった場合には、その後の訴訟を見据えた対応が必要となるため、調停段階から一定の戦略性を持つことが重要になります。
このように、調停は柔軟で迅速な解決が期待できる一方、万能な制度ではありません。調停を選択する際には、メリットだけでなく、その限界やリスクも踏まえたうえで、事案に適した解決方法であるかを慎重に検討する必要があります。調停は「簡単な制度」ではなく、使い方次第で結果が大きく左右される制度であることを理解しておくことが重要です。
民事訴訟と民事保全
民事保全手続は、将来の民事訴訟や民事執行によって権利を実現するために、その前提となる状況を暫定的に確保するための手続です。民事訴訟は、裁判所が当事者間の権利義務について最終的な判断を示す制度ですが、訴えを提起してから判決が確定するまでには、一定の時間がかかります。その間に相手方が財産を処分したり、権利関係を変動させたりすると、たとえ勝訴判決を得ても、実際には権利を回収できない事態が生じ得ます。
このような「時間の経過による不利益」を防ぐために設けられているのが、民事保全手続です。民事保全は、紛争の結論を決めるものではなく、あくまで将来の権利実現を確保するための補助的な制度という位置づけにあります。
民事保全は、民事訴訟とは別個の手続として進められますが、実務上は訴訟と密接に結びついて利用されます。訴訟提起前に保全を行う場合もあれば、訴訟係属中に併せて保全を申し立てる場合もあります。いずれにしても、民事保全は「訴訟で勝つこと」を前提に、その結果が空回りしないようにするための手段です。
重要なのは、民事保全が認められたからといって、それだけで紛争が解決するわけではないという点です。保全はあくまで暫定的な措置であり、最終的には民事訴訟などの本案手続において、権利の存否や内容について判断を受ける必要があります。その意味で、民事保全は「勝つための制度」ではなく、「勝った結果を無意味にしないための制度」と整理することができます。
民事保全手続には、代表的なものとして仮差押えと仮処分があります。仮差押えは、主に金銭の支払いを求める請求を予定している場合に利用される手続で、将来の民事執行に備えて、相手方の財産の処分を制限します。これにより、相手方が財産を隠したり、処分したりすることを防ぐ効果が期待されます。
一方、仮処分は、金銭以外の権利関係について用いられることが多く、たとえば特定の地位や権利状態を現状のまま維持することや、一定の行為を暫定的に命じることを目的とします。どちらの手続を選択すべきかは、最終的に何を実現したいのか、どのような危険を防ぎたいのかによって異なります。
民事保全は、裁判所に対する申立てによって開始されます。訴訟と比べて迅速性が重視されるため、通常は短期間で判断が示されるのが特徴です。その反面、十分な時間をかけた証拠調べが行われるわけではなく、申立人は、限られた資料の中で、権利の存在や保全の必要性を疎明することが求められます。
このように、民事保全はスピードを重視する制度であるため、事実関係や法的構成を簡潔かつ的確に整理することが重要になります。実務では、どの時点で、どの範囲まで保全を求めるかについて、慎重な判断が必要とされます。
民事保全は、相手方の財産や行動を制限する可能性があるため、強力な手段である一方、使い方を誤ると相手方に誤った負担を強いることになります。そのため、申立人に対して担保の提供が求められることが一般で、経済的な負担が生じることがあります。
また、保全が認められた場合でも、その後の訴訟で敗訴すれば、保全によって生じた不利益について問題となることもあり、場合によっては損害賠償義務を負います。そのため、民事保全は「とりあえず使えばよい制度」ではなく、本案との整合性や必要性を十分に検討したうえで利用すべき制度であることを理解しておく必要があります。
民事訴訟での和解
民事訴訟の実務では、すべての事件が判決まで進むわけではありません。むしろ、証拠調べや事実認定が一定程度進んだ段階で、裁判上の和解によって解決する事件の方が多いのが現実です。
裁判上の和解を前向きに検討しやすいのは、事実関係の見通しがある程度立ち、結果の振れ幅が見えてきた場面です。この段階で、裁判所が和解を勧める場面もあります。判決になった場合のリスクや、時間・費用の負担を踏まえると、和解によって早期に区切りをつけることが合理的な場合もあります。
一方で、争点が明確で、ぜひ裁判所の判断を示してもらいたい場合や、前例としての意味が大きい場合には、和解を見送って判決を求める選択にも十分な理由があります。和解を断ること自体が不利になるわけではありません。
重要なのは、「和解に応じるべきかどうか」は、最終的には当事者自身が判断するという点です。裁判所や代理人が意見を述べることはあっても、結論を決めるのは当事者です。和解は、押しつけられるものではなく、選び取るものだと理解しておく必要があります。
裁判上の和解が成立すると、その内容は和解調書として確定します。この和解調書 は、確定判決と同一の効力を持ち、原則として争い直すことはできません。
和解は一時的な合意ではなく、裁判としての最終的な結論です。
和解で定めた内容が守られない場合には、判決と同様に、強制執行の手続きを取ることも可能です。
和解が成立すると、控訴や上告といった不服申立ての道はありません。ここが、判決との決定的な違いです。判決は不服を申し立てることができますが、和解は当事者が合意した以上、不服申立ができません。
この違いを理解したうえで、和解を選ぶのか、判決を求めるのかを考えることが重要です。和解は、判決とは異なる「出口」であり、それぞれに意味と重みがあります。
民事訴訟の勝敗を分ける要点
民事訴訟の勝敗を左右する要点は、「戦略の要点」と「個々の訴訟行為の要点」に分けられます。
「戦略の要点」で判断を誤ると、その後に「個々の訴訟行為の要点」でどれだけ努力しても、勝訴に結びつけることは困難です。
また、「戦略の要点」が適切でも、「個々の訴訟行為の要点」でミスをすると、同様に勝訴を逃すことがあります。
このように、民事訴訟では、戦略と個々の訴訟行為のいずれも重要であり、特に最初の戦略判断がその後の結果を大きく左右します。
1 戦略の要点
(1)裁判所の選択
一般に、訴訟物の価額が140万円を超える事件は、地方裁判所が第一審の管轄裁判所となります。
その場合、問題になるのは、どの地方裁判所に訴えを提起するかという点です。
どの地方裁判所に訴えを起こせるかは、法律上の管轄の定めがあります。
例えば、次のような裁判所に訴えを提起できます。
- 被告の住所地を管轄する地方裁判所
- 財産上の請求について、義務履行地を管轄する地方裁判所
(通常は持参債務の原則により、原告の住所地を管轄する地方裁判所) - 手形・小切手による金銭支払請求であれば、手形・小切手の支払地を管轄する地方裁判所
- 事務所・営業所の業務に関する訴えであれば、その事務所・営業所の所在地を管轄する地方裁判所
- 不法行為に関する訴えであれば、不法行為地を管轄する地方裁判所
- 不動産に関する訴えであれば、不動産所在地を管轄する地方裁判所
- 登記・登録に関する訴えであれば、登記・登録をすべき地を管轄する地方裁判所
- 相続権、遺留分、遺贈などに関する事件であれば、相続開始時の被相続人の住所地を管轄する地方裁判所
また、管轄には併合請求の管轄といって、複数の請求をまとめて提起する場合に、そのうち一つについて管轄があれば、その地方裁判所に提起できるというルールもあります。
このように、一つの事件について、多数の複数の地方裁判所に訴えを提起できることが通常です。
全国には50の地方裁判所がありますが、同じ地方裁判所でも、その実情は大きく異なります。
例えば、東京地方裁判所には民事を担当する裁判官が270名以上いますが、地方の裁判所では裁判官の数が3人というところもあります。これは裁判官の数の違いですが、当然地方裁判所ごとにいろいろ違いがあります。つまり民事訴訟は、どの地方裁判所に訴えても同じではないのです。
そのため、どの地方裁判所に訴えることが、その事件にとって最も有利かの選択は、極めて重要です。
どの裁判所を選ぶかは、まさに戦略上の重要なポイントです。
(2)裁判官の選択
戦略上の要点として、どの裁判官がその事件を担当するかも重要です。
裁判官は一人ひとり、ものの見方や考え方、判断の傾向が異なります。
そのため、同じ事案でも、裁判官が違えば結論が同じになるとは限りません。どんな裁判官でも同じ結論になる他ないようなはっきりした事案であれば格別、難しい事案になればなるほどより適切で有利な判断をしてくれる可能性のある裁判官は誰かを考えることの重要性が増します。
裁判官の傾向は、過去にその裁判官がどのような判決を書いてきたかを調べることで、ある程度把握することができます。
また、訴えを提起した後にどの裁判官が担当するかは、一定のルールに従って機械的に事件が配点されます。
そのため、工夫次第では、避けたい裁判官を避けることや、ある程度の確率で特定の裁判官に担当してもらう方向を目指すことも可能です。
もちろん、必ず希望どおりになるとは限りませんが、少なくとも「この裁判官では不利になる可能性が高い」という裁判官を避けることは、かなりの確度で可能です。
このように、裁判官の選択は、非常に重要な戦略判断となります。
(3)訴訟代理人弁護士の選択
次に重要なのが、訴訟代理人となる弁護士の選択です。
民事裁判は、弁論主義のもとで行われます。
これは、基本的に当事者の主張と、提出した証拠に基づいて裁判所が判断する仕組みです。
裁判所が当事者に代わって積極的に事案を究明し、事案を審理してくれるわけではありません。
そのため、どのような主張を行い、どのような証拠を提出し、どのように訴訟を進めるかが極めて重要になります。
その役割を担うのが訴訟代理人弁護士です。民事訴訟の勝敗は、訴訟代理人弁護士がどれだけ行き届いた訴訟活動を行うかにかかっています。
したがって、どの弁護士に依頼するかは、民事訴訟における戦略上、非常に重要な要点となります。
(4)手続の選択
次に、どの裁判手続を選ぶかという問題があります。
紛争を解決する裁判は、必ずしも民事訴訟だけではありません。
例えば、死因贈与の無効を争う場合、死因贈与が有効か無効かは、地方裁判所で民事訴訟として争うことができます。
その一方で、それは遺産分割の前提問題にもなり得るため、遺産分割審判の中で判断してもらうこともあります。
つまり、
- 民事訴訟で争う
- 遺産分割審判で争う
- まず遺産分割審判を行い、その後に民事訴訟を行う
- 民事訴訟だけで進める
といった選択肢があり得ます。
どの手続を選ぶべきかは、事案全体の状況によって異なります。
しかし、どの手続を選ぶかによって結果や進行が大きく変わるため、これもまた極めて重要な戦略判断となります。
(5)動員と機動の確保
次に、動員と機動の確保という問題があります。
先に述べたとおり、民事訴訟は弁論主義です。
したがって、どれだけ行き届いた訴訟活動を行えるかが、結果に大きく影響します。
そのためには、必要な場面で、必要な対応を、適切なタイミングで行える体制が必要です。
具体的には、必要なだけの数の訴訟代理人弁護士を確保し、しかも、必要なときに必要なだけ機動的に動員できる体制を整えているかが重要になります。
民事訴訟では、この体制の有無が勝敗を左右することがあります。
(6)兵站の確保と遮断
さらに、兵站の確保と遮断も重要な問題です。
民事訴訟は弁論主義であるため、裁判所が当事者のために積極的に事案を究め、審理を進めてくれるわけではありません。裁判所は当事者双方の訴訟代理人弁護士の訴訟活動の結果に対し、判断を下すだけです。民事訴訟の勝敗は、当事者の訴訟代理人弁護士がどれだけ行き届いた十全の訴訟活動を行うかにかかっています。
そのため、訴訟を進めるには相応の費用や人的体制が必要になります。
しかも、地方裁判所だけで終わるとは限らず、高等裁判所、最高裁判所まで見据える必要がある場合が通常です。
そうすると、訴訟を最後まで遂行するために、全体としてどれだけの費用や体制が必要になるのかを見通し、それを確保しているか、すなわち兵站の確保が戦略上非常に重要になります。
これに対し、被告側から見れば、原告側の兵站を維持できなくさせれば、訴訟の中身以前に有利な状況を作ることができます。
逆に、自分の側の兵站を遮断されてしまえば、訴訟活動を十分に行うことができず、不利な立場に追い込まれることになります。
このように、兵站の確保と遮断は民事訴訟において極めて重要です。この兵站の確保と遮断は、一般の民事訴訟においても重要ですが、殊に大規模民事訴訟においては、兵站の確保、遮断は決定的な要点になります。
2 個々の訴訟行為の要点
(1)主張
主張は、民事訴訟における個々の訴訟行為の根幹をなすものです。これまで説明してきたとおり、我国の民事訴訟は弁論主義を採用しております。その帰結として、主張の優劣がその民事訴訟の勝敗に直結するものであることは当然です。ここでいう主張とは、当事者が自己に有利な事実を陳述する行為を指します。
民事訴訟において、事実とは外界の出来事や内心の出来事を指します。また陳述とは、その訴訟手続きの中で、そのような事実を裁判所に対して述べることを意味します。実務上は主として訴状、答弁書、準備書面、口頭弁論期日や弁論準備手続での陳述という形で行われます。
民事訴訟において、主張される事実は、主要事実、間接事実、補助事実に整理されます。主要事実とは、裁判所が一定の法律効果の発生、障害、消滅を認めるために必要な法律要件に該当する具体的事実です。つまり、請求を基礎づける事実や抗弁を基礎づける事実、再抗弁、再々抗弁を基礎づける事実など、その事実が認定されれば、直接に法的結論が動く事実です。例えば、 100万円を貸したから返せと請求する場合、原告が被告に100万円を交付した、それが贈与でなく貸付であった、返済期が到来したなどが、主要事実になります。これに対して被告がもう返したというなら、被告が原告に対して当該債務の弁済として100万を支払ったという事実が抗弁の主要事実になります。つまり、主要事実とは裁判規範に直結する事実です。
間接事実とは、主要事実そのものではないが、そこから主要事実の存否を推認させる事実です。例えば、先述の貸金の例について言えば、主要事実である貸付の合意があったということに対する間接事実は、例えば返済計画についてLINEでやり取りしたとか、返済に関し会話したとか、被告が後日もう少し待ってほしいと返済猶予を求めたというような事実などです。これらは貸付合意そのものではありませんが、経験則上、このような事実があれば、貸付合意があったと推認しやすくなるために、これらが間接事実と呼ばれます。
補助事実とは、主要事実を直接推認させるための事実ではなく、証拠の信用性、証明力に影響を与える事実です。例えば、証人Aが「被告は返すと言っていました」と証言したとすると、この証言の信用力を左右する事実として、証人Aは利害関係のない第三者であるとか、証人Aの供述内容に変遷がなく一貫性があるとかの事情などは、貸付合意があったという主要事実を直接推論する材料というよりは、証人の証言をどこまで信用していくかに関する事実です。これが補助事実です。
裁判官は、主張における事実の陳述に対し、それが主要事実の陳述か、間接事実の陳述か、補助事実の陳述かを区分しながら整理します。したがって主張における事実の陳述に際しては、漫然と事実を並び立てるのではなく、それが主要事実として陳述するものか、間接事実として陳述するものか、補助事実として陳述するものか截然と区別して主張することが重要になります。
主張は、自己に利益な事実の陳述ですが、重要なことは、これらの事実が証拠によって証明されなければならないということです。つまり、証明できる証拠がない事実は、事実として無価値だということです。証拠によって証明される事実でない事実を陳述しても、意味がないということです。それから次に大事なことは、主要事実は裁判規範に直結する事実ですが、その主要事実が裁判規範に直結することについて、最高裁の判例が存在するということが必要だということです。これは、後述の判例のところで述べますが、民事訴訟の勝訴のためにはその事実がその裁判規範に直結するという判例が必要で、判例、殊に最高裁の判例が必要だということです。このような判例の存在しない事実であれば、そのような事実を陳述しても民事訴訟において勝訴につながることは難しいということです。これが非常に大事なことです。更にこの事実の陳述において重要なことは、その事実の陳述が全体として一貫性があること、全体として整合性があること、全体として不自然なものではないことが重要です。全体としての一貫性や整合性や自然な流れのない事実の陳述は、勝訴に結びつきにくいということです。
(2)判例
前に述べましたように、主要事実が当事者の求める裁判規範に直結するためには、最高裁判例が必要です。裁判規範は、民法とか会社法とか具体的な法令の中に存在すると思われるかもしれませんが、民法の条文や会社法の条文そのものは大変抽象的な規定で、その案件における具体的な主要事実の主張に対して、当該裁判規範が適用されるかどうかということまで決まるものではありません。その具体的な案件における具体的な主要事実が裁判規範に直結するためには、最高裁判例が必要で、民事訴訟における勝敗は、この最高裁判例が存在するかどうかによって、結論が左右されることになります。
具体的な例を挙げて述べますと、例えば株式会社Aの代表取締役が、その身分を利用して代表取締役個人の利益のため、自分自身が行っている事業の借入金の保証を会社Aにさせた場合、会社Aのために保証したのではなくて、代表取締役個人のために保証しているわけですから、これは代表取締役として権限の濫用に当たるわけです。その場合の裁判規範としては、民法第93条心裡留保という規定が想定されます。民法第93条第1項によると、「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。」と規定されています。
そうすると、今述べたケースはこの民法第93条第1項に該当して、「相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする」ということで、その保証を無効とすることができるのかどうかということです。これは、この条文だけではわからないわけです。だから勝敗はこのような主要事実についての最高裁判例があるかどうかということに帰着するわけです。結論として、「株式会社の代表取締役が自己の利益のため会社代表者名義でなした法律行為は、相手方が右代表取締役の真意を知り、また知りうべきものであったときには民法第93条但書の規定を類推し、その効を生じないものと解するのが相当である」とする昭和38年9月5日の最高裁判例があり、これによって初めてこの主要事実がこの裁判規範に直結し、保証が無効であるということが言えるわけです。つまりこの最高裁判決によってはじめて保証が無効であるという民事訴訟の勝訴になるわけです。
この判例がなければ、このような主要事実の陳述は、その保証が無効であるという勝訴の結論には直結しないわけです。つまり敗訴するわけです。
このように、最高裁判例の存在が、民事訴訟においては決定的に重要になってくるわけです。最高裁判例がなく、高裁判例、地裁判例という下級審の判例しかない場合、通常下級審判例は複数あり、どの結論が支配的であるかによって勝訴できる確率が変わります。ことほど左様に民事訴訟においては判例が極めて重要で、判例を徹底的に調査してそれを掲載するということが、民事訴訟の勝敗を分ける決定的要点になります。
判例の調査は、以前は判例集を読んで調査していましたけれども、現在はその判例も全て電子情報化されていて、そのような電子情報の調査によって判例検索をすることが一般です。判例集で調査するにしても、電子情報で調査するにしても、判例の調査は必ずしも容易ではなく、重要な判例を見落としたりすることもあるわけです。重要な最高裁判例を見落とした場合、これは民事訴訟の敗訴に直結します。この最高裁判例がこの事案の判例であるということは、一見して分かりにくい場合もあります。それでつい見落としてしまうというようなこともあり得るわけですけれども、こういう見落としは、民事訴訟の敗訴に直結するということになるわけです。
判例調査の重要性については、いくら強調しても強調し足りません。
判例調査は案件によっては、日本の判例には限りません。場合によっては外国の判例を調査する必要があります。これを具体的な例で述べますと、最高裁の平成16年7月1日の判例があります。これはどういう判例かというと、会計帳簿閲覧謄写請求権を違法行為調査だけで閉じずに、譲渡制限株式の適正価格の算定という場面でも正面から認めた最高裁判例です。これは会社法実務の分水嶺になった判決で、非常に重要でかつ有名な判決です。最高裁が、譲渡制限株式の価格算定目的の閲覧請求は特段の事情がない限り閲覧拒絶理由には当たらないという判示をした画期的な判例です。これまで最高裁判例はありませんでした。この事案は、相続人が会社の株式を相続して、遺産分割協議や相続税支払いのための売却に備えて、その株式の時価の適正算定をするために、会計帳簿閲覧を会社に求めたというものです。今まで最高裁の判例はなく、下級審は、このような遺産分割協議や相続税支払いのための売却に備えた株式等の時価の適正算定のための会計帳簿の閲覧謄写は、会社において拒絶できるという結論でした。それに対して最高裁はそれも会計帳簿の閲覧謄写の理由に当たり、拒絶理由に当たらないという判決をしたものです。
これは非常に重要な有名な判決で、今もこの最高裁判例は、ロースクールなどの学生の勉強や研究材料に使われていますし、判例100選にも採用されています。 いろんな学者が論文を書いています。この事件では、相続人の株式等の時価算定のための会計帳簿の閲覧謄写は、閲覧謄写の拒絶理由にあたるということで地裁、高裁ともに請求を棄却されてるわけです。それに対して上告受理申立で最高裁が画期的な判決を出したということですが、この時日本の判例調査では、この主要事実が裁判規範に直結するという最高裁判例はなく、これを否定する下級審判例がたくさんあるということで、そういう結果になっているわけです。当事務所は相続人の訴訟代理人としてこの上告受理申立案件を担当し、アメリカ合衆国の判例を提出しました。日本の会計帳簿の閲覧制度についての法律制度は、アメリカ合衆国法がモデルになっています。そのモデルとなったアメリカ合衆国法では、株式の価格評価のために会計帳簿を閲覧できるという判例があったのです。
当事務所は母法のアメリカ合衆国の判例を調査して、これを陳述しました。当然厖大な調査になるわけですが、とにかくそれでこの最高裁の判例が出たという経過があるわけです。
このように判例の調査は、必ずしも日本の判例を調査したらそれで事済むものではなくて、日本で最高裁の判例がないとか、日本法の判例が否定的な場合とかであれば、これに違う判例を母法の外国法の判例で調査して提出するといったことも、民事訴訟の勝訴のためには非常に重要なことになってくるわけです。
ここに述べましたことで明らかなように、要するに民事訴訟の勝敗を分けるものは判例です。判例が決定的だということです。その当該主要事実がその裁判規範に直結するその判例を探し出せるかどうかが、民事訴訟の勝敗を分けます。それほど重要だということです。
(3)証拠
前に述べたとおり、主張された事実は、証拠によって証明されない限り、裁判所に事実として採用されません。
民事訴訟においては、どれほどもっともらしい主張であっても、それを裏づける証拠がなければ、裁判上の意味を持たないということです。
証拠には、書証、証人尋問、本人尋問、鑑定、検証などがあります。
このうち、最も重要なのは書証です。裁判官は書証中心主義で考え、事実認定の中心は圧倒的に書証です。
書証について注意すべき要点は、単に数多く提出することではなく、争点となる事実を的確に証明できる証拠を、信用性と整合性を保ちながら整理して提出することにあります。
契約の成立を証明したいのであれば契約書、申込書、注文書、合意内容を示すメールなどが中心になりますし、履行を証明したいのであれば納品書、検収書、作業報告書、振込記録などが重要になります。また、未払いを証明したいのであれば請求書、催告書、残高確認書、督促のメールなどが意味を持ちます。要するに、要件事実ごとに、それに最も近い証拠を選ばなければなりません。争点から遠い証拠や、単なる事情説明にとどまる証拠ばかりでは、裁判所は肝心の事実を認定しにくくなります。
実務上、特に評価されやすいのは、紛争になる前に、通常の業務ややり取りの中で自然に作成された文書です。このような文書は作為が入りにくく、信用性が高いと見られやすいからです。これに対し、紛争後に一方当事者が作成したメモや一覧表、説明文などは、補助的な意味はあるとしても、それだけで十分な立証力を持つとはいえません。
書証の真正と信用性にも十分な注意が必要です。その文書がいつ、誰が、どのような経緯で作成したのか、原本があるのか写しなのか、改ざんの疑いはないか、といった点が問題になります。契約書であれば署名押印の有無、メールであれば送受信者、日時、件名、前後の流れ、LINEなどであればアカウントの主体や会話全体の文脈が分かるようにしておく必要があります。
書証は単体で考えるだけでは足りず、全体としてどう組み立てるかという視点も欠かせません。1枚で決定的な意味を持つ証拠がある事件もありますが、多くの事件では、契約書、見積書、注文メール、納品書、請求書、督促メールなどが相互に結びつくことによって、事実全体が認定されます。その意味で、書証は「束」で効くことが多いといえます。ただし、だからといって無秩序に大量提出すればよいわけではありません。重要な証拠、補強のための証拠、背景事情を示す証拠を区別し、争点に沿って整理して提出しなければ、かえって要点が埋もれてしまいます。
書証相互の整合性も勝敗を左右します。日付、金額、名義、やり取りの順序などに食い違いがあると、一つの証拠だけでなく、証拠全体の信用性まで損なわれるおそれがあります。たとえば、請求書の日付と催告書の日付が不自然であったり、契約成立前に履行が始まっているように見えたりすると、裁判所はその経過全体に疑問を持ちます。そこで、提出前に時系列表を作り、各書証がその流れの中に適切に位置づけられるかを確認することが重要になります。訴訟で強いのは、個々の証拠が孤立している場合ではなく、複数の書証が相互に符合し、一つの自然な事実経過を形作っている場合です。
不利な書証の扱いにも慎重さが求められます。自分に不利な文書が存在し、相手方から提出されるおそれがある場合、その意味を限定し、前後関係を示し、誤解を防ぐ補足証拠を用意するなどして、あらかじめ評価の方向を整えておく必要があります。
書証についてもう一つ重要なのは、書証の中に、その提出者の主張をむしろ否定するような矛盾した事情が含まれていることが、実務上決して少なくないということです。そのため、書証を提出する側としては、提出前にその内容を十分に吟味し、その書証の中に自らの主張と矛盾する記載や事情が含まれていないかを慎重に確認する必要があります。他方、相手方としては、そのような矛盾が書証自体の中に表れていることがあるため、提出された書証を注意深く読み込み、その内部に矛盾や不自然さがないかを丁寧に検討することが必要です。
民事訴訟の専門知識
- 1 民事訴訟の手続と流れ
-
1.訴提起
2.口頭弁論と証拠調べ
3.判決
4.上訴
- 2 民事訴訟制度に関連する制度
-
(1)民事保全手続
(2)民事執行手続
- 3 民事訴訟制度以外の紛争処理制度
-
(1)調停
(2)仲裁
- 4 訴の類型
-
(1)給付の訴
(2)確認の訴
(3)形成の訴
- 5 訴の提起と訴訟の開始
-
(1)訴状の提出
(2)訴状の記載事項
(3)訴状の審査
(4)訴状の送達
(5)第一回口頭弁論期日の指定
(6)訴えの提起の効果
























