第1
							
							
									4
								
								判例
										(9)
									
									東京高裁 昭59.10.30決定( 事件番号:昭59(ラ)399号 )
											(イ)
										
										
											事案の概要
対象会社甲社と売主との間で貸金返還訴訟が係属しているところ、売主は自己の持株のうち20万2,334株を同社に代物弁済として提供し、右事件を和解で解決する前提として別に所有する2000株につき本商事非訟を申請し、株価の決定を求める。
									対象会社甲社と売主との間で貸金返還訴訟が係属しているところ、売主は自己の持株のうち20万2,334株を同社に代物弁済として提供し、右事件を和解で解決する前提として別に所有する2000株につき本商事非訟を申請し、株価の決定を求める。
											(ロ)
										
										
											対象企業の特性
											
											
												
													
											
											
											
												
													
											
											
										
									
														(業種)
													
													
														印刷業
													
												
														(規模)
													
													
														昭和24年設立
資本金1億2,000万円
発行済株式総数240万株
昭和57年12月31日現在の資産(簿価)は、23億4,651万円、
負債(同)は21億4,163万円。
												資本金1億2,000万円
発行済株式総数240万株
昭和57年12月31日現在の資産(簿価)は、23億4,651万円、
負債(同)は21億4,163万円。
											(ハ)
										
										
											株主構成
売主は少なくとも20万4334株(8.5%)を所有しているようであるが、本件で売買の対象となる株式は2000株(0.08%)。
									売主は少なくとも20万4334株(8.5%)を所有しているようであるが、本件で売買の対象となる株式は2000株(0.08%)。
											(ニ)
										
										
											採用された算定方式
											
											
												
													
											
											
											
												
													
											
											
										
									
														イ.
													
													
														純資産方式:ロ.類似業種比準方式=1:1
尚、イ.は保有関係会社株式は簿価で、不動産は時価で評価。
												尚、イ.は保有関係会社株式は簿価で、不動産は時価で評価。
														ロ.
													
													
														は類似業種比準方式については、財産評価基本通達に基づき指定係数70%を採用。
上記の観点から算定した価格はイ.266円、ロ.41円となり、結論として両者の平均額の153円
												上記の観点から算定した価格はイ.266円、ロ.41円となり、結論として両者の平均額の153円
											(ホ)
										
										
											算定方式採用理由・要旨
										
									
												・
											
											
												対象会社の資本金、資産額、負債額、売主が価格決定を求める動機等の事情から純資産方式と類似業種比準方式の併用とした原決定は、対象会社が事業継続をする会社であるから、単純に純資産方式に拠ることは相当でないことからも相当。
											
										
												・
											
											
												対象企業が有する関連会社株式は、同会社の業績が必ずしも良好でなく、同社株式の時価について簿価純資産方式で評価したからといって不当ではない。
											
										
												・
											
											
												対象企業の配当が零であり、将来の配当の予測も困難であるから、本件株式の評価に当たり類似業種比準方式における配当額を零としたものを基準の一つとすることは不当とは言えない。
											
										
												・
											
											
												類似業種比準方式における通達の指定係数70%は適当。本件においてこれを85%に変更すべき特段の事情はない。売主と当初の買受希望者との間で1株当たり500円の売買予約が成立していたとしても、非上場株式については取引市場における需要供給の関係は考慮することができず、偶然の事例にすぎないのであって、本件株式の価格の算定に当たり考慮することはできない。
											
										
										(10)
									
									京都地裁 昭62.5.18決定( 事件番号:昭60(ヒ)62号 )
											(イ)
										
										
											事案の概要
創業家間の内紛に伴い、対象会社甲社及び指定買受人(対象企業の関連会社かつ株主)の元取締役であり、両社代表取締役の実子である売主が持株110株の譲渡承認請求。なお、売主は右請求の約4か月にも買受人に対しその所有する115株を売却している(1株43万5,225円)。
									創業家間の内紛に伴い、対象会社甲社及び指定買受人(対象企業の関連会社かつ株主)の元取締役であり、両社代表取締役の実子である売主が持株110株の譲渡承認請求。なお、売主は右請求の約4か月にも買受人に対しその所有する115株を売却している(1株43万5,225円)。
											(ロ)
										
										
											対象企業の特性
											
											
												
													
											
											
											
												
													
											
											
											
												
													
											
											
										
									
														(業種)
													
													
														各種織物製造販売
													
												
														(規模)
													
													
														最終貸借対照表による純資産額は5億245万円。
発行済株式総数1000株。
												発行済株式総数1000株。
														(その他)
													
													
														京都西陣織物業界の業況が長期低落傾向にある中で昭和59年7月までは独自の好業績を挙げる。
しかし、その後の内紛により業績に顕著な影響
(但し、立直りが困難と断ずる程、深刻ではない)。
												しかし、その後の内紛により業績に顕著な影響
(但し、立直りが困難と断ずる程、深刻ではない)。
											(ハ)
										
										
											株主構成
創業一族及び指定買受人(関連会社)で100%を有する。
売主は対象企業及び指定買受人の元取締役で対象企業の株式22.5%を所有していたが、うち11.5%は既に指定買受人に任意で譲渡済み。本件売買価格の決定の対象となる株式は11%。
									創業一族及び指定買受人(関連会社)で100%を有する。
売主は対象企業及び指定買受人の元取締役で対象企業の株式22.5%を所有していたが、うち11.5%は既に指定買受人に任意で譲渡済み。本件売買価格の決定の対象となる株式は11%。
											(ニ)
										
										
											採用された算定方式
											
											
												
													
											
											
										
									
														イ.
													
													
														(簿価)純資産方式:ロ.類似業種比準方式:ハ.収益還元方式:ニ.配当還元方式=2:1:1:1
尚、イ.は51万8,388円、ロ.は41万7,140円、ハ.は34万8,286円、ニ.は14万186円で結論は38万8,500円
															
																
														
														
														
															
																
														
														
													
												尚、イ.は51万8,388円、ロ.は41万7,140円、ハ.は34万8,286円、ニ.は14万186円で結論は38万8,500円
																	・
																
																
																	対象企業は同族閉鎖会社であり、当事者双方は経営支配株主といえること、昭和60年5月に当事者間で1株43万5,225円とする売買が成立したことがあることからすると、純:類:収:配の割合を2:1:1:1とした加重平均値を基準とするのが相当。
																
															
																	・
																
																
																	鑑定人は本件株式の価格は営業の一部の譲渡と考えられ、帳簿価格による純資産方式のみが適当とし、かつ市場性欠如による減価率20%を減ずべきとするが、継続中の企業の資産の価額は必ずしも企業価値を表示するものではないから、本件において他の方式を排斥するのは適切でなく、また市場性がないとして算定した価額から更に減価するのは、もともと市場価格のない株式の評価をするに当たっては理由がないし、減価率の数値の根拠も不明というほかない。
																
															
非上場株式の譲渡手続と株式の評価