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無期転換ルールと雇止め -2018年問題-

2017.12.25

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「無期転換ルール」とは、一般に、「パートタイマー」、「アルバイト」、「契約社員」などと呼称されている人(以下「有期契約労働者」といいます。)の有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、有期契約労働者から雇用者に対する申し込みにより、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」といいます。)に転換されるというものです(労働契約法第18条1項)。なお、契約期間に定めのある場合は、各会社における名称にかかわらず、すべて「無期転換ルール」の対象となります。

この無期転換ルールは、契約期間の満了により契約を打ち切られてしまうことへの有期契約労働者の不安を解消し、また、契約期間が有期であることによる不合理な労働条件を是正することを目的に、平成24年8月に成立した改正労働契約法(平成25年4月1日施行)により制定された新たなルールです。

無期転換ルールの要件と効果

今回は、この無期転換ルールについて説明したいと思います。

1.要件

(1)同一使用者との間で有期労働契約を更新して通算5年の契約期間を超えること
(2)現に締結している有期労働契約期間内に、労働者が無期転換の申し込みをすること

2.効果

(1)使用者は無期転換に同意したとみなされる。転換を拒絶した場合、解雇扱いとなり、正社員の解雇と同様の法理に服する(労働契約法第16条)。

~労働契約法第16条~
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(2)原則、有期契約の労働条件と同一となる。
つまり、無期転換ルールによっても、いわゆる「正社員」に自動的になれるわけではなく、あくまでも、有期契約が無期契約になるという効果が生じるだけで、労働条件は、原則として直前の有期契約の労働条件と同一となります。そのため、「無期契約社員」という新しい身分の人たちが生まれるということを意味しています。

もっとも、個別の合意、就業規則及び労働協約による「別段の定め」がある場合は異なる労働条件を定めることが可能です。この「別段の定め」については、後に詳しく述べます。

2018年問題とは

有期労働契約は、雇用の調整に便利であること、一般的に低賃金であることから、使用者にとって使い勝手のいい雇用形態です。 それが、有期労働者が無期転換ルールを行使して無期労働者になると、使用者にとって、有期労働者を雇用するメリットが低くなってしまいます。 そこで、使用者が、有期労働者の契約期間が改正法施行後5年を超える2018年4月1日より前に、有期労働者の雇止め(使用者が、労働者との有期労働契約を更新せずに、契約期間の満了をもって労働者を退職させること)を行い、有期労働者の無期転換を阻止することが懸念されています。 これが2018年問題といわれているものです。

2015年にJILPT(独立行政法人労働政策研究・研修機構の呼称。同機構は、厚生労働省が所管する独立行政法人であり、労働に関する総合的な調査研究、研修事業等を行っている。)により行われた調査では、パートタイム契約労働者を雇用している企業2,656社のうち、26.9%の会社が無期転換ルールに対する対応方針は未定・わからないと答えています。

このような無期転換ルールに対する対応方針が決まっていない会社は、無期転換労働者にどのような労働条件を定めるにせよ、無期転換労働者が担当する業務を想定しながら、無期労働契約への転換が本格化する前に、就業規則などの整備を行うことが重要となります。

使用者側の対応

では、この無期転換ルールに関して、具体的に、使用者側はどのような対応をとればいいのでしょうか。

1.やってはいけないこと

有期労働者が無期労働者になることを阻止するためといっても、以下のことをしてはいけません。

  • 無期転換の申込期間を就業規則等で制限すること
  • 事前に無期転換申込権を行使しないとの約束(事前放棄)をさせること
  • 使用者が無期転換を回避するために雇止めをすること(他に客観的かつ合理的な理由がある雇止めは許容されます)

2.就業規則の見直し

労働契約法第18条1項の規定による無期労働契約への転換は期間の定めのみを変更するものですが、「別段の定め」がある場合、無期転換労働者の条件を個別に設定することが可能です。

そこで、使用者としては、「別段の定め」として、有期労働者や正社員に適用される就業規則とは別に、無期転換労働者に適用される就業規則を準備しておくことが重要です。その際、有期労働者や正社員との業務内容等の違いに応じて、適切な労働条件を設定しなければ、いずれ処遇に対する不公平感を生み出し、職場の一体感を損なう等の問題が発生するおそれがありますので、有期労働者と正社員との関係も考慮して、無期転換労働者の位置づけを明確にすることが求められます。

また、今回の無期転換制度への対応を、持続的な人材戦略を構築する好機として積極的に捉える視点も重要になってきます。
もっとも、いかなる条件設定も許されるわけではなく、労働者保護の観点から一定の制約が課されますので、実際に就業規則を見直す際は、弁護士に相談することをお勧めします。

3.無期転換ルールへの対応の必要性

最後に、無期転換ルールへの対応の必要性を簡単にご確認いただくためのフローチャートを載せますので、あなたの会社の状況を確認しておきましょう(厚生労働省:有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブックから引用)。

このトピックス記事執筆の弁護士

森下 慎也

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