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会社支配権紛争

会社支配権紛争

2018.03.05

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同族会社における支配権紛争

1.特色について

同族会社は、親族等の身内で会社経営を行うことにより、円滑に経営を行うことができるというメリットがあります。しかし、その反面、一度紛争が生じた場合、紛争の当事者が親子や兄弟間という極めて近しい間柄にあればある程、互いに感情的になり、円満解決からは程遠い、骨肉の争いへと姿を変えていく危険性を孕んでいるといえます。

2.支配権紛争が顕在化する場面

(1)同族会社において支配権紛争が顕在化する場面はいくつがありますが、その一つが、後継者の選任が会社法その他の法律に従ってなされていない場合です。
同族会社においては、例えば取締役の選任という重要な決定事項について、本来であれば株主総会を開催して選任すべきところを、株主総会を開かずに議事録のみの作成で取締役選任の登記を行っている会社が存在しています。また、仮に取締役の選任に際して株主総会を開いていたとしても、その招集手続等に不備があり、株主総会決議自体が無効若しくは取り消されるという場合も有ります。
このような場合にあっては、後継者として一応選任された取締役が周囲から認められている場合には問題が顕在化することはありません。しかし、他に自分が後継者と名乗る取締役(例えば、後継者からみた弟)が出現した場合に、その取締役が、もう一名を取締役の座から引きずり下ろすため、選任の過程等をめぐり訴訟にまで発展する骨肉の争いを繰り広げるということも現実にあります。

(2)また、支配権紛争が顕在化するもう一つ代表的な例が、相続が発生したときです。
例えば、ワンマンで会社を経営していた先代経営者(自社株の全てを保有)が、自ら後継ぎを選ぶことなく逝去した場合に、会社支配権を巡って大きな問題となります。
すなわち、先代経営者の有していた自社株は全てが相続の対象となり、遺産としてその相続人が相続することになります。例えば、相続人が二人いて、そのうちの一人だけが先代と同じ会社で働いており後継者と目されていたような場合には、そこまで問題とはならないでしょう。しかし、相続人の二人ともが先代と同じ会社で働いており、二人とも後継者になりたいと考えていた場合、それぞれ自分が自社株を全て相続したいと考え、遺産分割協議において自社株の取得を巡り、骨肉の争いを繰り広げるということは、決して珍しいことではありません。

3.対策について

前述した(1)の場合には、会社法に則って、適法に取締役を選任することが最も効果的な方法であるといえます。同族会社はどうしても「身内だけだから問題ない」と甘く考えがちな部分がありますが、そのような意識を変え、適切に会社法に則った手続を踏むことを忘れないようにしましょう。

(2)の相続が絡む場合、先代経営者が後継者に確実に自社株を承継させる方法としては、生前に後継者に対して自社株を売却するか、贈与することがあります。この方法であれば、生前に確実に後継者に自社株を承継することが可能です。この方法を取る場合、自社株の評価が低ければあまり問題はありません。しかし、自社株評価が低くない場合、売却の場合には、後継者に相当の資金が必要になりますし、贈与の場合も相当の贈与税がかかってきます。さらに、生前に自社株を移転してしまうと、先代経営者自身が株主として議決権行使をしたり、配当を受領したりすることができなくなるというデメリットもあります。

そこで、相続が絡む場合に、自社株を承継させる最も効果的な対策の一つが遺言書を作成することです。すなわち、先代経営者が有している自社株は、その全てが遺産となります。そして、後継者を決めている場合には、遺言書において、後継者を指定する、すなわち自社株を全て相続させる者を決めておけば、先代経営者の相続が発生した後、遺言書のとおりに後継者に自社株の全てを承継することが可能となります。仮に遺言書がなければ、既に述べたように、先代経営者が有していた自社株については、先代の意向とは関係なく相続人の間で、誰が自社株を承継するか、ひいては誰が後継者となるのかを話し合いで決めなければなりません。しかし、遺言書があれば、そのような相続人間の話し合いは全く必要なくなり、先代経営者の意思どおりに会社を後継者に託すことが可能なのです。

また、遺言書であれば、相続人以外の者にも遺産を承継させることが可能であるため、万が一相続人以外の者を後継者にしたいと考えている場合であっても、その旨の遺言書を作成することで、その思いを実現することが可能となります。但し、遺産の大部分が自社株の場合、後継者以外の相続人については、遺留分に対する配慮が必要となってくるため、注意が必要です。遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹・甥姪を除く)に法律上保障された最低限の取り分であり、遺言によっても排除することができません。そのため、仮に、後継者が遺産の大部分である自社株を承継した場合、他の相続人から後継者に対して遺留分減殺請求があれば、後継者が遺留分に相当する現金の支出を余儀なくされたり、自社株を他の相続人に渡さなければならなくなるという事態も生じることがあります。

そこで、上記以外の自社株を移転する方法として、「信託」を活用することが考えられます。
「信託」とは、財産の所有者(委託者)が信託契約や遺言によって、財産の名義を信託会社等(受託者)に移転して、委託者が定めた目的のために管理や処分などを委託し、その財産から発生する利益を自分自身またはあらかじめ指定しておいた第三者(受益者)が受け取る仕組みのことを指します。信託の目的や期間、受益者、受託者による財産管理・処分等に対する指図をする権利を誰に与えるかなどは信託契約や遺言で基本的に自由に決めることが可能です。

先代経営者が生前に信託契約によって自社株を信託会社等に信託し、先代経営者が存命中は、受益者を先代経営者に指定して、信託会社等に対して議決権行使の指図をする権利も先代経営者が行使できるようにしておきます。
そして、先代経営者に相続が生じた後は、信託契約中で、受益者を「議決権行使の指図をする者」と「それ以外の配当などの利益を受け取る者」に分けて、後継者を「議決権行使の指図をする」受益者に、後継者でない相続人は「それ以外の配当などの利益を受け取る」受益者に指定しておくことで、確実な事業承継を行うとともに、その他の相続人の遺留分にも配慮することが可能となるのです。

4.まとめ

以上のとおり、同族会社の支配権紛争を防ぐためには、上記のような手段が有効ではありますが、専門性の極めて高い事柄であるため、専門家にじっくりと相談して、適切に対応していく必要があるといえます。
当グループでは、会社法に則った会社運営や、遺言書の作成を含めて相続に関する豊富な経験とノウハウを有しておりますので、最高の対策・解決策をご提供することができます。

このトピックス記事執筆の弁護士

三津谷 周平

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