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成年後見

被保佐人になった後の生活1

2018.12.03

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前回は、成年被後見人になった後の生活がどのようになるのかをご説明いたしましたが、今回は、被保佐人となった後の生活についてご説明いたします。 (今回も、保佐人が付された方=被保佐人のことを、「本人」とお呼びします)

1 同意権と取消権

保佐人は、本人のした一定の行為に対して「同意権」を有しています。

そして、本人が保佐人の同意なく行った一定の行為については、保佐人はこれを取り消すことが出来ます(「取消権」といいます。民法13条4項)。反対に、保佐人は、同意なく本人が行ったことを後から同意することもできます(「追認権」といいます)。保佐人が一度追認した行為は、後から取り消すことはできません(民法122条)。

2 同意権・取消権の範囲

注意が必要なことは、保佐人の同意権・取消権の範囲は、成年後見人の取消権の範囲と大きく異なるという点です。 成年後見人の取消権の範囲は、「日常生活に関する行為以外の広範な法律行為」に及んでいました。一方で、保佐人の同意権・取消権は、「民法13条1項各号所定の行為+同意権拡張の審判を行った行為」についてのみ及びます。

このように、保佐人の権限が成年後見人に比べて狭められているのは、被保佐人である本人が成年被後見人と比較して事理弁識能力の低下が軽微であるため、1人で有効に出来ない行為をなるべく少なくして、本人の意思を尊重しよう、という考えに基づきます。

保佐人の同意権・取消権の範囲は以下のとおりです。いずれも、重要な財産に関する行為であり、本人の財産、ひいては生活に大きく影響を及ぼす法律行為が挙げられています。

⑴ 「元本を領収し、又は利用すること」(1号)

預貯金の払い戻しや利息を定めて貸付をすること、貸金の返済を受けること、などが含まれます。 貸金の返済を受けることは本人に有利であり同意なしに有効とすべき様にも思えますが、返済を受けると利息を請求できなくなるデメリットがあるため、同意が必要とされています。

⑵ 「借財又は保証をすること」(2号)

お金を借りたり、他人の借金の保証人になったりすることです。 いずれも、本人が大きな債務を負い本人の財産に大きな影響を及ぼす可能性が高い行為です。

⑶ 「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」(3号)

本人の不動産を売ること、不動産賃貸借契約を解除すること、不動産に抵当権を設定することのほか、株式の購入など元本が保証されない取引を含みます。 何が「重要な財産」に当たるかは、本人の財産状況等によって様々です。

⑷ 「訴訟行為をすること」(4号)

本人が原告として行う訴訟行為をさし、被告として訴えられた際に応訴したり、人事訴訟(夫婦や親子等の関係についての争い)をすることは保佐人の同意が不要です。

⑸ 「贈与、和解又は仲裁合意をすること」(5号)

和解は、紛争が終結するので良いことの様にも思えますが、本人に不利な条件で和解させられることがないように、同意権の対象となっています。 なお、贈与をうけることは含まれません。

⑹ 「相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること」(6号)

放棄はもちろん、遺産の中に膨大な借金があるのに相続を承認してしまう場合などは本人に不利益となる可能性がありますので、同意権の対象となっています。

⑺ 「贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること」(7号)

負担付贈与(遺贈)は、贈与(遺贈)という利益を受けるだけでなく、負担という義務をも負わなければならないため、これを受けるかどうかは慎重に判断すべきであり同意権の対象となります。

⑻ 「新築、改築、増築又は大修繕をすること」(8号)

建物を1つ建てたり改築するには、多くのお金がかかりますので、本人の財産状況を考え同意権の対象となっています。

⑼ 「第602条に定める期間を超える賃貸借をすること」(9号)

 

民法602条は、被保佐人のような制限行為能力者がする賃貸借は、以下の期間を超えることが出来ないとしています。

     
  • 土地:5年(樹木の栽植又は伐採を目的とする山林は10年)
  •  
  • 建物:3年
  •  
  • 動産:6か月

⑽ 同意権の拡張の審判(13条2項)を受けた行為

 

上記13条1項各号以外の行為についても、この行為については本人の能力的に一人でさせるには不安があるので、同意権を付与して、勝手にやってしまったら取り消せるようにしておきたい、と考えた場合、同意が必要な行為を増やすことが出来ます。

ただし、日常生活に関する行為については、同意権の対象にはできません。本人の意思、自己決定権を尊重するためです。

3 同意に代わる家庭裁判所の許可

保佐人が、本人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしてくれないような場合、家庭裁判所は本人の請求により、家庭裁判所は同意に代わる許可を与えることができます(13条3項)。 たとえば、本人の利益となるバリアフリーのために自宅を改築しようとするのに、保佐人が同意をしないような場合などがあるでしょう。

次回は、保佐人のその他の権限・義務についてご説明いたします

このトピックス記事執筆の弁護士

kusanagi

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