貸家の明渡しの具体的事例

不動産明渡マニュアル

貸家の明渡しの具体的事例

集合写真
事例その1
(1)

事案の概要

(イ)
事実関係
本件土地
大阪市中心部所在の宅地約130坪
権利の負担
種   類
地上建物につき賃借権
賃 借 人
23人 (居住用16名、 営業用7名)
賃   料
居住用1軒当り月額金2万5000円前後
営 業 用
1軒当り月額金6万円前後
期   間
定めなし
土地の特性
交通至便な商業地
本件土地の更地価格
金10億2700万円 (平成4年)
(計算)坪790万円×130坪
(ロ)
明渡しの目的
賃貸人 (本件土地建物の所有者) は、貸家人明渡しの後、同敷地に高層賃貸マンションの建設を計画していました。
(2)

解決の方針

(イ)
できるだけ低い明渡料で解決する。
(ロ)
居住目的の賃借人と営業目的の賃借人を分断して解決していく。
(ハ)
まず、居住目的の賃借人との示談交渉を行い、大部分の示談による明渡しの合意を成立させたのち、営業目的の賃借人と示談交渉をし、交渉期間を2~3か月程度と決めておき、その間に明渡しの合意ができなければ訴訟を行う。
(ニ)
訴訟は、賃借人1名ずつ別々に提起する。
(ホ)
訴訟は、有利な見通しのものから順次判決をとる
(3)

結果

(イ)
弁護士3名が、居住目的の賃借人16名と交渉を開始し、3か月以内に14名と明渡料金20万円~75万円で示談による明渡しの合意が成立。
(ロ)
交渉開始後4か月後に、営業目的の賃借人7名に対し、訴え提起。
(ハ)
訴え提起3か月後に営業目的の賃借人1名と裁判上の和解が成立。
訴え提起7か月後に訴えを提起していなかった居住目的の賃借人2名と示談による明渡しの合意が成立。
(ニ)
訴え提起後約1年6か月後に、営業目的の賃借人7名全員に対し、第1審判決ですべて勝訴。その後、約6か月で明渡完了。
(ホ)
明渡しに要した期間約2年3か月、明渡料合計金4555万円 (更地価額の4.4%)で明渡しが実現。
(4)

成功のポイント

(イ)
複数の弁護士が組織的に交渉、訴訟に従事したこと。
(ロ)
相手方をまとめさせず1軒ずつ別々に交渉したこと。
(ハ)
賃借人との交渉の順序が正しかったこと。
(ニ)
居住目的の賃借人との間で早期から低額の明渡料で示談解決をしたこと。
(このことが営業目的の賃借人に対する勝訴判決に大きく影響している)
(ホ)
賃借人1名ごとに訴訟を提起し、有利な見通しのものから判決をとり、その判決を他の訴訟に有利に利用したこと。

事例その2
(1)

事案の概要

(イ)
事実関係
本 件 土 地
446㎡
本 件 建 物
鉄骨造陸屋根3階建共同住宅 (S49築)
1F~3F各212㎡
借 家 人
15名中12名在室
家   賃
5万3000円~4万6000円
保 証 金
30万円~50万円
(ロ)
明渡しの目的
建替えのために借家人に対し明渡しを要求。
(2)

解決の方針

(イ)
貸主の希望条件 (交渉から6か月間で明渡しを完了してほしい。明渡料は借家人1人につき100万が上限、保証金は全額返還)に沿うべく早急に解決する
(ロ)
100万円以下で明渡しに応じる者から先に示談解決する。
(ハ)
時間的制約があったため、 4名の弁護士が同時に交渉。
(3)

結果

(イ)
平成9年4月中頃から交渉をはじめ、同年10月末に明渡完了 (期間6か月)。
(ロ)
明渡料100万円前後ですべて示談解決。