賃料増額請求権の行使は、 まず貸地、 貸家の貸主が借主に賃料増額請求の意思表示をします。 この意思表示は口頭でもかまいませんが、 実務上は、 証拠として用いる際のために内容証明郵便によってすることが望ましいといえます。
借主がこれに応じない場合には貸主は訴えを提起し、 裁判所において賃料の適正額について判断をしてもらうことになります。 借地借家法の制定と同時に民事調停法の一部が改正され、 賃料増額の訴えを提起する場合には、 あらかじめ賃料増額の調停を申し立てるのが原則となりました。(民事調停法24条の2第1項)。
調停手続とは、 裁判官のほか調停委員を加えた調停委員会によって民事上の紛争を話合いで解決しようとする手続です。
東京や大阪の賃料増額の調停では調停委員会に不動産鑑定士が加わるのが通常です。 不動産鑑定士の資格を有する調停委員が当事者から言い分を聞き、 資料を提出させて相当な賃料額の試案を出すのが通常です。 当事者が右試案で合意すれば、 調停が成立することになります。
右試案で調停成立の見込がない場合には、 原則として民事調停法第17条に基づいて、 当事者双方の衡平を考慮して調停に現れた一切の事情を勘案したうえで事件解決に必要な決定 (調停に代る決定) がなされることが多いようです。 この決定に対し、 当事者は異議の申立をすることができますが、 異議のないまま決定が確定する場合もあります。
また, 右試案で調停成立の見込みがない場合,調停手続の中で相当な賃料額の鑑定申請をするか、 調停を不成立にして訴訟を提起するかどちらかを選ぶこともあります。 調停手続で相当な賃料額の鑑定申請をする場合には、 当事者双方が鑑定結果に従う旨の同意書を当事者双方からとるのが一般的です。
調停が不成立になったり、 調停に代わる決定に対する異議申立があれば、 貸主は賃料増額の訴訟を提起することになります。 賃料増額訴訟においては、 通常、 訴状、 答弁書、 準備書面による応答を数回行なった後、 当事者の申し出により賃料の鑑定がなされるのが通常です。 多くの場合、 右鑑定結果に基づいて裁判上の和解や判決がなされます。