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税務訴訟

相続税と贈与税(親族間で財産を売買するときの注意点)

2018.03.01

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贈与税の役割

そもそも、贈与税は、相続税の回避をさせないために納税者に課す税金という側面があり、相続税を補完する役割をもっています。そのため、贈与税に関する規定は「相続税法」の中に定められています。
この贈与税の「相続税の補完機能」という性質から、贈与税は、「個人」から財産を無償でもらったときに課せられる税金となっています。会社など「法人」から財産をもらったときは、「贈与税」はかかりませんが、「所得税」がかかります。

ケース

Aさんが息子のBさんに対し、不動産を相続または贈与によって移転したいと考えている場合を見ていきます。
AさんがBさんに土地を自分の死後に相続させた場合、Bさんには相続税が発生します。また、AさんがBさんに土地を生前に贈与した場合、Bさんには贈与税がかかることになります。
一方、AさんがBさんに対し、不動産を売買契約によって有償で譲渡した場合、譲渡を受けたBさんには、不動産取得税、印紙税、登録免許税等の税金しか課税されず、相続税や贈与税といった高い税率の税金は課せられません。
そこで、Aさんとしては、Bさんが贈与税や相続税を負担するのを避けるために、わざと売買契約の形をとり、低い価格でBさんに不動産を譲渡し、贈与税や相続税を発生させないという方法をとることが考えられます。
しかし、相続税法第7条には、著しく低い価格の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産を譲り受けたときに、その対価と財産の時価との差額に相当する金額をその財産を譲り受けた者が「贈与により取得したものとみなす」という規定があり、上記のような課税逃れができないようになっています。
ところが、この「著しく低い価格」や「時価」といった要件について、法律上の定義がないため、しばしば、国と納税者の間で争いが生じます。

土地の低額譲渡が争われた東京地方裁判所平成19年8月23日判決は、相続税法第7条の「時価」「著しく低い価格」の解釈について以下のように判断しました。

(1)「時価」の解釈について

「時価」について、国側は客観的評価額を指すと主張し、一方の納税者側は財産評価基本通達が採用する路線価方式による価格、すなわち相続税評価額であり、地価公示価格の80%程度の価格であると主張しました。
これについて、裁判所は、路線価方式は画一性・公平性のために採用されているものに過ぎず、相続税贈与税回避を防ぐという相続税法第7条の趣旨からすれば、「時価」は客観的評価額のことを指すと判断し、国側の主張が認められました。

(2)「著しく低い価格」の解釈について

他方で、「著しく低い価格」の解釈について、裁判所は以下のように判示しました。
「相続税法第7条は、一般に財産の時価を正確に把握することは必ずしも容易ではなく、しかも、同条の適用対象になる事例の多くを占める個人間の取引においては、常に経済合理性に従った対価の取決めが行われるとは限らないことを考慮し、租税負担の公平の見地からみて見逃すことのできない程度にまで時価との乖離が著しい低額による譲渡の場合に限って課税をすることにしたものであると解される。そうすると、同条にいう「著しく低い価額」の対価とは、その対価に経済合理性のないことが明らかな場合をいうものと解され、その判定は、個々の財産の譲渡ごとに、当該財産の種類、性質、その取引価額の決まり方、その取引の実情等を勘案して、社会通念に従い、時価と当該譲渡の対価との開差が著しいか否かによって行うべきである。」
この事件では、時価の80%程度の価格で不動産の譲渡が行われていましたが、裁判所は、このような相続税評価額は、土地を取引するに当り一つの指標となり得る金額であり、経済合理性のないことが明らかな対価ということはできず、本件においては「著しく低い価格」に該当しないと判断し、納税者側勝訴の判決を言い渡しました。

(3)他の判例

一方、横浜地裁昭和57年7月28日判決は、相続税評価額1,140万円の土地を500万円で売却した場合及び、相続税評価額1,280万円の土地を700万円で売却した場合について、共に「著しく低い価格」の譲渡に該当すると判断し、納税者側の敗訴となっています。
いずれにせよ、親族間で不動産等の高額な財産を売買する場合には、「低額譲渡」とみなされないよう注意する必要があります。

このトピックス記事執筆の弁護士

菊池 博道

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