交通事故

交通事故被害にあったときに請求できる損害について(7)

前回は,被害者が交通事故で亡くなられた場合に考えられる代表的な3つの損害(1死亡逸失利益,2死亡慰謝料,3葬儀費用)のうち,1死亡逸失利益について説明しました。
今回は2死亡慰謝料について説明します。

1 死亡慰謝料

⑴ 死亡慰謝料は,被害者本人分の慰謝料と,被害者と近しい関係にあった遺族固有の慰謝料とがあります。

⑵ 被害者本人分の慰謝料は,被害者本人が死亡する直前に感じたであろう苦痛や無念等の精神的苦痛に対して認められる慰謝料のことをいいます。

そのため,被害者の相続人が被害者に代わって慰謝料を請求します。

⑶ 他方,遺族固有の慰謝料は,遺族が被害者を失ったことによって被った精神的苦痛に対して認められる慰謝料のことをいいます。

そのため,被害者の相続人でない場合であっても,被害者と近しい関係にある場合は,慰謝料が認められます。

例えば,被害者に子供がいた場合,被害者の子供が相続人となり,被害者の両親は被害者を相続しません。そのため,被害者の両親は被害者本人分の慰謝料を請求することはできませんが,被害者の両親固有の慰謝料は請求することが可能です。

2 死亡慰謝料の具体的な額

⑴ おおよその基準

裁判所は,被害者が一家の支柱である場合は3000万円前後の慰謝料を,一家の支柱でない場合には2500万円前後の慰謝料を認めている場合が多いと言えます。

なお,上記金額は,被害者本人分の慰謝料と遺族固有の慰謝料とを合わせた金額です。

被害者本人分の慰謝料と遺族固有の慰謝料との比率は,9:1から8:2程度で認められている場合が多いですが,事案に応じてその割合は様々です。

⑵ 慰謝料額を増減させる要素

事故の対応が悪質であるか否か,加害者が遺族に謝罪しているか否か,被害者と一緒に生活していたか否か,被害者に致命的な落ち度はなかったか等,様々な要素によって慰謝料額は増減されます。

死亡慰謝料は,被害者の属性によって一定の額が定まります。

しかし,慰謝料額の減額を許さず,増額を認めさせるためには,被害者の属性以外の様々な要素を主張立証する必要がある一方,主張立証には専門性が要求されます。

したがって,まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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