離婚、離縁

離婚調停の具体的手続

今回は、離婚調停の申立方法や調停手続の進行方法など、離婚調停の具体的手続についてご説明します。

1 離婚調停の申立て

   

調停は、離婚を希望する方(調停手続では「申立人」といいます。)が、その配偶者を相手方として、家庭裁判所に申立を行うことで始まります。申立ての際には以下の点に留意する必要があります。

  

⑴ 申立先

    

申立先は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。

  

⑵ 必要書類

    

離婚調停の申立てにあたっては、以下のような書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

   

イ 申立書

     

家庭裁判所のホームページには、申立書のひな形が掲載されています。氏名、住所などの情報のほかに、養育費や慰謝料の金額等、相手方に求める内容(「申立の趣旨」)を記載する欄や、申立に至った理由や動機(「申立の理由」)を記載する欄があります。

   

ロ 戸籍謄本

     

申立人及び相手方の記載された戸籍謄本の提出が必要となります。この戸籍謄本は発行から3か月以内のものである必要があります。

   

ハ 年金分割のための情報通知書

     

婚姻期間中、相手方が厚生年金(旧共済年金を含む。)に加入していた期間がある場合には、将来受け取る年金を夫婦で分割するため、年金分割の手続を行うことができる場合があります。

その場合、離婚調停の申立と併せて年金分割の請求を行うことが一般的ですが、その請求を行うためには「年金分割のための情報通知書」が必要となるため、離婚調停の申立ての前に、年金事務所に通知書の発行を請求し、同通知書を取得しておく必要があります。

   

ニ その他、裁判所が提出を求める書類

     

イからハの書類に加えて、事案の内容や各裁判所の運用等によって提出を求められる書類があります。例としては、夫婦に未成年者の子供がいる場合に、親権や養育費など子供の今後に関してどのような希望があるかといった事項を記載する書面(「子についての事情説明書」)の提出を求められることなどが挙げられます。

  

⑶ 申立書提出後の流れ

申立書を提出後、目安として概ね1~2か月くらい後に第1回調停期 日が指定され、裁判所から申立人及び相手方に対し、期日通知の手紙が届きます。 申立人及び相手方は、期日通知に指定された日時に、家庭裁判所に出頭することとなります。その際、ご本人の代わりに代理人である弁護士が裁判所に出頭することも可能です。

 

2 第1回期日

  

⑴ 調停委員会

    

調停においては、裁判官1名及び調停委員2名以上による調停委員会が構成され、調停委員会の指揮のもと、手続が進められます。調停委員は、通常男女1名ずつの2名が選任されます。裁判官は常に調停の場にいるわけではなく、調停委員2名が主に調停を指揮します。

  

⑵ 手続説明

    

調停手続を始めるにあたり、まずは手続の概要について説明がなされます。原則としては申立人と相手方とが同席のもとで説明がなされますが、申立人と相手方の双方に代理人弁護士がついている場合には、代理人から手続の説明を受けていることを前提に、裁判所からの手続に関する説明が省略されることもあります。

    

また、離婚原因としてDVが主張されているケースなど、同席が相当でないと判断される場合は、別々に手続の説明がなされることもあります。

  

⑶ 申立人・相手方の双方からの聞き取り

    

手続の説明が終わると、相手方は一旦退席し、調停委員から申立人に対する聞き取りが行われます。申立人からの事情の聞き取りが終わると、申立人が退席し、今度は相手方からの聞き取りが行われます。

    

その後、何度か申立人と相手方が交替を繰り返し、交互に聞き取りが進められていきます。なお、退席中は、待合室で待機することとなりますが、裁判所には「申立人待合室」と「相手方待合室」が別々に設けられており、双方が顔を合わせることはないような仕組みになっています。

  

⑷ 次回期日の設定

    

交互に聞き取りが行われる中で、申立人及び相手方が離婚すること及び離婚に付随する条件について合意することができれば、第1回期日で離婚調停が成立する可能性もあります。しかし、実際には、相手方が離婚に応じないことや、離婚すること自体には争いがなくとも付随する条件についてなかなか折り合いがつかないことも多く、そのような場合には次回の調停期日が設定されることになります。

次回の期日は、1ヶ月程後に設定されることが多いです。このときには、調停委員から、次回期日までの課題が設定されることがあります。課題の内容は様々ですが、相手方の言い分に対する検討や自己の言い分に関する資料の提出などを求められることが一般的です。

 

3 第2回期日以降

   

第2回期日以降も、第1回の期日と同様、申立人と相手方に対する聞き取りが交互に進められていきます。前回期日で出された課題を元に話し合いを続け、双方の合意点を探ることとなります。場合によっては、双方の意向や根拠資料の内容などを踏まえて、調停委員から合意案の提案がなされる場合もあります。

 

4 調停の終了

  

⑴ 双方で合意ができた場合

    

離婚条件も含め、双方が離婚に合意できた場合、調停成立となり、離婚調停手続は終了します。この場合、裁判官が調停調書を作成し、調停成立時に離婚成立となります。

    

なお、調停が成立した場合でも、離婚届を役所に提出する必要があります。この場合は、調停調書の写しを離婚届に添付することになります。

  

⑵ 合意に至らなかった場合

    

調停手続において話し合いを続ける中で、離婚条件で折り合えなかった場合や、そもそも離婚をすること自体合意できなかった場合など、両者が合意に至ることが困難であると判断される場合には、調停不成立となり、調停手続は終了となります。

    

調停手続が不成立により終了した場合に、申立人がそれでも相手方との離婚を望む場合には、離婚訴訟を提起して、さらに離婚を求めることになります。

離婚調停の具体的手続につきましては、まずは一度、専門家である弁護士に相談することをお勧めいたします。

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