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地代・家賃増減額

賃料増減請求の権利行使の方法

2018.04.02

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1.はじめに

借地借家法が適用される土地の賃貸借及び建物の賃貸借において、賃貸借契約の期間中に、土地の賃料の増減請求(同法第11条)、建物の賃料の増減請求(同法第32条)が認められていることについては、前回ご紹介したとおりです(以下、両方を併せて、単に「賃料増減請求」といいます。)。
では、賃料増減請求の権利行使の方法にはどのようなものがあるでしょうか。

2.意思表示

(1)意思表示の方法

賃料増減請求は、相手方に対する意思表示によって、行うことができます。つまり、賃料増額請求の場合は、賃貸人が賃借人に対して意思表示をします。他方、賃料減額請求の場合は、賃借人が賃貸人に対して意思表示をします。
この意思表示は、口頭によって行うこともできますが、後日訴訟になった際に立証を容易にするため、書面を用いて行うことが一般的です。また、裁判例によれば、賃料を増額又は減額する根拠を示したり、金額を明らかにしたりする必要は必ずしもないと解されています(東京地判昭和42年4月14日判タ208号186頁。旧借地法の事案。)。
もっとも、この意思表示は、その趣旨及び形式において、賃料増減請求の行使として確定的に賃料の増減を求めるものであることが一義的に明らかであることが必要であると解されています(東京地判平成6年2月7日判時1522号111頁)。

(2)賃貸人が複数名いる場合

賃貸人が複数名いる場合には、賃料増額請求の意思表示は、共有物の管理行為に当たることから(民法第252条本文)、共有者の持分の過半数によらなければならないと解されています(東京地判平成14年7月16日金融法務事情1673号54頁)。

(3)賃借人が複数いる場合

賃借人が複数いる場合には、賃貸人からの賃料増額請求の意思表示は、賃借人全員に対してする必要があります。仮に、賃借人の一部に対してなされたに過ぎない場合には、賃料増額請求を受けた賃借人との関係においても意思表示の効力が生じないと解されています。

3.調停前置主義

賃料増減請求がなされたにもかかわらず、相手方との間で話合いがまとまらない場合には、訴訟を提起することになります。もっとも、裁判所に賃料増減請求の訴えを提起しようとする者は、訴えを提起する前に民事調停の申立てをしなければなりません(民事調停法第24条の2第1項。これを調停前置主義といいます。)。
仮に、賃料増減請求の調停を申し立てることなく訴えを提起した場合、訴えを提起された裁判所は、原則として、その事件を調停に付さなければならないとされています(同条第2項本文。)。もっとも、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、調停に付さず、訴訟の審理を開始することもあります(同項ただし書)。
調停前置主義が採られている理由は、借地借家法が適用される賃貸借契約は、長期間にわたって継続するのが通常であり、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が重要であることから、可能な限り話し合いにより解決することが望ましいと考えられているためです。

4.訴訟

賃貸人と賃借人が調停手続において話し合いをしても合意に至らなかった場合、調停は不成立となり、賃料増減請求の訴訟を提起することができます。
賃料増減請求訴訟においては、裁判所が選任した鑑定人による賃料の鑑定評価が極めて重要であり、当事者は鑑定評価額によって、裁判所が判決をする場合の結論をある程度予測することができることから、鑑定評価額又は鑑定評価額を合理的に修正した金額により、和解が成立する場合が多いといえます。和解が成立しない場合、最終的には裁判所の判決により、相当な賃料が定められます。

5.おわりに

本稿では、賃料増減請求の権利行使の方法についてご紹介いたしました。賃料増減請求は、賃貸人と賃借人の利害が真っ向から対立し、容易に決着しないことが多いことから、訴訟を見据えて、入念な準備をすることが重要です。賃料増減請求をご検討されている方は、解決に向けて適切に行動することができるよう、権利行使の前の段階で専門家である弁護士に相談することをお勧めいたします。

このトピックス記事執筆の弁護士

田中 真之

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