株式移転の知識3|株式移転の法律実務―会社法2

企業法務ガイド|株式移転

第1編

株式移転の法律実務

第2

株式移転の法律手続と規制

1

会社法

(5)
株式買取請求権等
(イ)
株式買取請求権
株式買取請求権とは、株式移転に反対する株主が、会社に対して、自己の所有する株式を買い取るよう請求することができる権利をいいます。
(ロ)
株式買取請求権の手続
株式移転に際して、完全子会社となる会社は、株主に株式買取請求の機会を与えるため、株式移転承認決議の日から2週間以内に、株式移転をする旨、新たに設立する会社の商号及び住所、並びに、他に完全子会社となる会社がある場合には、その会社の商号及び住所を通知又は広告することになります(会社法806条3項、4項)。
株主は、株主総会(種類株主総会も同様です。)に先立って、完全子会社となる会社に対して、株式移転に反対する旨の通知をし、かつ、株主総会において株式移転に反対した場合には、株式移転の効力発生日の20日前からその前日までの間に、株式買取請求権を行使することができます(会社法806条)。
なお、株主総会の決議を要しない場合及び議決権を有しない株主も、株式買取請求権を行使することは認められており、この場合には、株式移転に反対する旨の意思表示をする必要はありません。
株式買取請求権の効力は、完全親会社となる新設会社の成立日に生じます(会社法807条5項)。
株式の買取価格は、「公正な価格」とされており、この買取価格について、株主と会社との間で協議が調った場合には、当該会社は、完全親会社となる新設会社の成立日から60日以内にその代金を支払わなければなりません(会社法807条1項)。
一方、株式の買取価格について、完全親会社となる新設会社の成立日から30日以内に、株主と会社との間で協議が調わない場合には、株主または会社はその日から30日以内に、裁判所に対し、株式の価格決定の申立てをすることができます(会社法807条2項)。完全親会社となる新設会社の成立日から60日以内に、同申立がない場合、その後、株主は、いつでも株式買取請求を撤回することができます(会社法807条3項)。
(ハ)
新株予約権の買取請求
株式移転に際して、完全子会社となる会社の新株予約権者に対して、完全親会社となる新設会社の新株予約権を交付する場合に、完全子会社となる会社の新株予約権の内容として、そもそもこのような取扱を予定していない場合又は予定していた条件と異なる取扱を受けるような場合には、当該新株予約権者は、会社に対して、自己の所有する新株予約権を買い取るよう請求することができる権利をいいます。
株式移転に際して、完全子会社となる会社は、新株予約権者に新株予約権の買取請求の機会を与えるため、株式移転承認決議の日から2週間以内に、株式移転をする旨、完全親会社となる会社の商号及び住所、並びに、他に完全子会社となる会社がある場合には、その会社の商号及び住所を通知又は広告することになります(会社法808条3項、4項)。
新株予約権の買取請求をし得る新株予約権者は、上記通知又は広告の日から20日以内に、新株予約権の買取を請求することができます(会社法808条)。
なお、新株予約権付社債の場合、新株予約権の買取を請求するときは、原則として、社債についても合わせて買取を請求しなければなりません。
新株予約権の買取請求の効力は、完全親会社となる新設会社の成立日に生じます(会社法809条5項)。
新株予約権の買取価格は、「公正な価格」とされており、この買取価格について、新株予約権者と完全子会社となる会社との間で協議が調った場合には、完全子会社となる会社は、完全親会社となる新設会社の成立日から60日以内にその代金を支払わなければなりません(会社法809条1項)。
一方、新株予約権の買取価格について、完全親会社となる新設会社の成立日から30日以内に、新株予約権者と完全子会社となる会社との間で協議が調わない場合には、新株予約権者または完全子会社となる会社は、その日から30日以内に、裁判所に対し、新株予約権の価格決定の申立てをすることができます(会社法809条2項)。完全親会社となる新設会社の成立日から60日以内に、同申立がない場合、その後、新株予約権者は、いつでも新株予約権の買取請求を撤回することができます(会社法809条3項)。
(6)
債権者保護手続
株式移転に際して、完全子会社となる会社の新株予約権付社債の社債権者は、完全子会社となる会社から完全親会社となる会社に、新株予約権付社債が承継される場合には、当該株式移転に対して異議を述べることができます(会社法810条1項3号)。
完全子会社となる会社は、1か月以上の期間を定めて、下記(イ)から(ハ)の事項を官報に公告し、かつ知れてる債権者に対しては個別に催告をする必要があります(会社法810条2項)。もっとも、上記官報に加えて、定められた日刊新聞紙または電子広告により、広告する場合には、上記催告は不要になります(会社法810条3項)。
(イ)
株式移転をする旨
(ロ)
完全親会社となる会社の商号及び住所
(ハ)
他の完全子会社となる会社の商号及び住所
債権者が上記債権者異議申述期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該株式移転について承認をしたものとみなされます(会社法810条4項)。
一方、債権者が上記債権者異議申述期間内に異議を述べたときは、当該会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託することが必要になります。もっとも、当該株式移転をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでありません(会社法810条5項)。