株式交換の知識5|株式交換の法律実務ー会社法4

企業法務ガイド|株式交換

第1編

株式交換の法律実務

第2

株式交換の法律手続と規制

1

会社法

(9)
株式交換の効力
株式交換の効力は、株式交換契約において株式交換の効力発生日と定められた日に、その効力が生じます(会社法768条1項)。もっとも、債権者異議手続が終了していない場合または株式交換を中止した場合には、株式交換の効力は生じません(会社法769条6項)。
株式交換の効力発生日を変更する場合には、変更前の効力発生日前日までに変更後の効力発生日を広告する必要があります(会社法790条)。
株式交換の効力発生日に、完全親会社となる会社は、完全子会社となる会社の発行済株式の全部を取得し(会社法769条1項、2項)、完全子会社となる会社の株主等は、株式交換による対価を取得します(会社法769条3項)。
(10)
事後整備書類
完全子会社となった会社(株式交換完全子会社)は、完全親会社となった会社(株式交換完全親会社)と共同して、株式交換の効力発生後遅滞なく、下記(イ)から(ホ)の事項を記載した書面等を作成する必要があります(事後開示書類。会社法791条1項2号、会社法規則190条)。
(イ)
株式交換が効力を生じた日
(ロ)
株式交換完全子会社における株式買取請求手続、債権者異議手続、及び新株予約権買取請求手続の経過
(ハ)
株式交換完全親会社における株式買取請求手続及び債権者異議手続の経過
(ニ)
株式交換により株式交換完全親会社に移転した株式交換完全子会社の株式の数(株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式の種類及び種類ごとの数)
(ホ)
上記(イ)から(ニ)に掲げるもののほか、株式交換に関する重要な事項
株式交換の当事会社は、作成した事後開示書類等を効力発生日から6か月間、その本店に備え置かなければなりません(会社法791条2項、801条3項3号)。
効力発生日に株式交換完全子会社の株主、新株予約権者であった者、株式交換完全親会社の株主、一定の場合の債権者は、これらの事後開示書類等の閲覧、謄写等を請求することができます(会社法791条4項、801条5項、811条4項、815条6項)。
(11)
株式交換無効
株式交換の無効は、各々の効力発生日から6か月以内に、訴えをもって主張することができます(会社法828条1項11号)。
同訴えを提起することができる者は、当事会社の株主、取締役、株式交換を承認しなかった債権者等になります(会社法828条2項11号)。一方、同訴えの相手方となる者は、当事会社の双方となります(会社法834条1号)。
株式交換の無効を主張するためには、無効事由が必要となります。
この無効事由について、会社法は一切規定していませんが、株式交換契約の内容が違法である場合、総会決議に瑕疵がある場合、債権者保護手続が実施されていない場合等が無効事由に当たると考えられています。
株式交換の無効判決の効力は、第三者にも及び(対世効。会社法838条)、将来に向かってその効力が生じます(将来効。会社法839条)。すなわち、当該無効判決前になされた株式交換に関する行為は有効であるが、当該無効判決後に将来に向かってその効力を失うことになります。
(12)
差止請求
差止請求とは、略式手続に限らず、株式交換において、完全親会社となる会社が完全子会社となる会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する会社(特別支配会社)である場合で、かつ、当該株式交換が法令又は定款に違反する場合、もしくは、株式交換の条件が著しく不当であるため、完全子会社となる会社の株主が不利益を受けるおそれがある場合には、当該株主は当該株式交換の差止を請求することができるという制度です(会社法786条2項)。