会社分割の知識13|会社分割の会計実務ー新設分割設立会社の会計処理

企業法務ガイド|会社分割

第2編

会社分割の会計実務

第2

新設分割の会計処理

2

新設分割設立会社の会計処理

(1)
概要
新設分割設立会社においては、権利義務の承継、分割対価の交付、新設分割会社が発行していた新株予約権者に対する新株予約権の交付、という3つの事象の会計処理が必要になります。
(2)
分割会社の権利義務の承継
(イ)
承継する資産・負債の価額
(a)
単独新設分割の場合
新設分割会社の分割直前の帳簿価額を引き継ぐ方法のみが認められます。
(b)
共同新設分割の場合
分割会社ごとに単独新設分割をしたものとみなして仮の会社の計算を行い、その後、各仮の会社が新設合併をしたものとみなして処理をします。
(ロ)
のれんの計上
(a)
基本
新設分割は、帳簿価額を引き継ぐ処理が基本であるため、原則としてのれんは計上できないことになります。
(b)
特別な場合
1)
最初からのれんが計上されていた場合
過去の組織再編等により分割会社に分割前から計上されていたのれんをも適正な帳簿価額で継承することとしたときは、設立会社においてものれんを計上できます。
2)
単独新設分割においてのれんが計上できる場合
イ.
資産としてののれん
「新設型再編簿価株主資本額」<「新設型再編対価簿価」の場合に、その差額を正ののれんとして計上できます。
※「新設型再編簿価株主資本額」=承継財産の簿価純資産相当額
※「新設型再編対価簿価」=設立会社の株式以外の交付財産の帳簿価額
ロ.
負債としてののれん
単独新設分割の場合には必ず新設会社の株式が交付されるため、負債としてののれんは計上されません。
3)
共同新設分割においてのれんが計上できる場合
イ.
資産としてののれん
「新設型再編簿価株主資本額」<「新設型再編対価簿価」の場合に、その差額をのれんで調整します。
a.
分割対価に新設会社の株式が含まれない場合
差額の全部をのれんで埋めることができます。
b.
分割対価に新設会社の株式が含まれる場合
新設型再編対価簿価まではのれんで埋めることができますが、それを超える部分は株主資本で調整されます。
ロ.
負債としてののれん
「新設型再編簿価株主資本額」>「新設型再編対価簿価」の場合に、その差額をのれんで調整します。
a.
分割対価に新設会社の株式が含まれない場合
差額の全部をのれんで埋めることができます。
b.
分割対価に新設会社の株式が含まれる場合
のれんではなく株主資本で調整します。
(3)
設立会社の株主資本
(イ)
単独新設分割の場合
資本金、資本準備金、その他資本剰余金の合計額が「設立時株主払込資本変動額」に合致します。増加資本金、増加資本準備金は、「設立時株主払込資本額」の範囲内で、分割会社が新設分割計画の定めに従い定めた零以上の額となり、残りはその他資本剰余金になります。
(ロ)
分割型新設分割において適当に定めることができる場合
分割型新設分割であって対価の全部が設立会社の株式である場合には、新設会社側において設立時の株主資本の各項目について適当に定めることができます。
(ハ)
共同新設分割の場合
各分割会社が、先ず単独新設分割をしたものと仮定して仮会社の計算を行い、次にその各仮会社が新設合併をすることとして計算を行います。そのような手順での計算に従い、株主資本の会計処理を行うこととなります。

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