会社分割の知識15|会社分割の税務実務ー分割当事会社の法人税の取扱い1

企業法務ガイド|会社分割

第3編

会社分割の税務実務

第2

分割当事会社の法人税の取扱い

1

原則的取扱い

会社分割は原則として、移転をした資産負債は分割時の時価により分割承継法人に譲渡され、分割承継法人は時価による受け入れ処理を行うことになります。したがって、分割法人は分割前事業年度の所得の金額の計算上、移転をした資産負債に係る譲渡利益額又は損失額を、益金の額又は損金の額に算入することになります。
分割承継法人においては、基本的に課税関係は発生しません。
分割型分割における分割法人株主については、分割法人株式を時価により譲渡し、その対価である資産の交付を受けたものと考えます。その資産の価額のうち、その分割法人の資本金等の額を超える部分の金額は、見なし配当としての課税を受け、見なし配当以外の部分もキャピタルゲインとして課税されます。ただし、分割承継法人の株式以外の資産の交付を受けなかった場合には、旧株を簿価により譲渡したと考え、課税の繰延が行われます。
2

適格分割の取扱い

会社分割が下記(1)~(3)のいずれかに該当する場合には、適格分割となり、資産等の移転が帳簿価額により行われたものとされます。
つまり、分割承継法人においては移転資産等の受入価格は分割法人における帳簿価額とされ、分割法人においては資産負債を帳簿価額により譲渡したものとされ、譲渡損益の計上が繰延べられます。適格分割型分割に該当する場合には、分割法人が有していた利益積立金額は移転する分割事業に係る純資産の割合に応じて分割承継法人に引き継がれます。
適格分割型分割における分割法人の株主については、分割法人株式を簿価により譲渡し、分割承継法人株式を分割法人株式の簿価により取得したと考えるため、譲渡損益の計上は繰り延べられ、課税関係は発生しません。分割法人の利益積立金額も分割承継法人に引き継がれるため、見なし配当課税も発生しません。
(1) 
100%完全支配関係のある会社間の分割の場合
(イ)
一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に所有している関係、又は、二の法人が同一の者によってそれぞれ発行済み株式等の全部を直接又は間接に所有されている関係であり、分割後も分割法人と分割承継法人との間に当事者間又は同一者による完全支配関係が継続すると見込まれること。
(ロ)
移転資産の対価は、分割承継法人の株式のみであり、金銭等の交付が無いこと。
(ハ)
分割型分割については、分割法人の株主に交付する分割承継法人の株式は、分割法人の株主の持分に比例していること。
(2)
50%超100%未満の支配関係のある会社間の分割の場合
(イ)
一方の法人が他方の法人の発行済株式等の50%超100%未満を、直接又は間接に所有している関係、又は、二の法人が同一の者によってそれぞれ発行済み株式等の50%超100%未満を直接又は間接に所有されている関係であり、分割後も分割法人と分割承継法人との間に当事者間又は同一者による支配関係が継続すると見込まれること。
(ロ)
次の全ての要件に該当するものであること。(事業継続要件)
(a)
分割法人の分割事業に係る主要な資産負債が分割承継法人に移転すること。なお、その資産負債が分割事業について主要なものであるかどうかは、その事業を営む上での重要性のほかに、その種類・規模・事業内容等全てに勘案して判定するものとします。
(b)
分割法人の分割直前の分割事業に従事する従業者の約8割以上が、分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれること。
(c)
分割法人の分割事業が分割承継法人において分割後も引き続き営まれることが見込まれること。
(ハ)
移転資産の対価は、分割承継法人の株式のみであり、金銭等の交付が無いこと。
(ニ)
分割型分割については、分割法人の株主に交付する分割承継法人の株式は、分割法人の株主の持分に比例していること。
(3)
共同事業を営むための分割の場合
共同事業を営むための適格分割は、上記2つの企業グループ内の組織再編には該当しない分割のうち、下記共同事業要件、事業継続要件、株式保有要件の全てを満たすものをいいます。
(イ)
分割法人の分割事業と分割承継法人が分割前から営む事業のいずれかが、相互に関連するものであり、次のいずれかの要件を満たすものであること。(共同事業要件)
(a)
それぞれの事業に係る売上金額、従業者数等の規模がおおむね5倍を超えないこと。
(b)
分割法人の役員等と分割承継法人の特定役員のいずれかが、ともに分割後も分割承継法人の特定役員となることが見込まれること。
(ロ)
次の全ての要件を満たすものであること。(事業継続要件)
(a)
分割法人の分割事業に係る主要な資産負債が分割承継法人に移転すること。なお、その資産負債が分割事業について主要なものであるかどうかは、その事業を営む上での重要性のほかに、その種類・規模・事業内容等全てに勘案して判定するものとします。
(b)
分割法人の分割直前の分割事業に従事する従業者の約8割以上が、分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれること。
(c)
分割法人の分割事業が分割承継法人において分割後も引き続き営まれることが見込まれること。
(ハ)
次の場合に該当するものであること。(株式保有要件)
ただし、その分割が分割型分割であり、かつ、分割法人の株主等が50人以上である場合には、この要件は不要となります。
(a)
分社型分割の場合
分割法人が分割により交付を受ける分割承継法人株式の全部を、分割後も継続して保有することが見込まれること。
(b)
分割型分割の場合
分割承継法人の株式等の交付を受ける分割法人の株主等の80%以上が、その分割承継法人株式の全部を継続して所有することが見込まれること。
(c)
移転資産の対価は、分割承継法人の株式のみであり、金銭等の交付が無いこと。
(d)
分割型分割については、分割法人の株主に交付する分割承継法人の株式は、分割法人の株主の持分に比例していること。

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