破産手続は申立てにより開始します。申立権者は債務者と債権者です(破産法第18条第1項)。申立ては書面で行う必要があり、書面に記載すべき事項は規則で定められています(破産法第20条、破産規則第13条、第14条)。
法人の破産事件を管轄する裁判所は、原則としてその主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所ですが(破産法第5条第1項)、
など、様々な拡大規定があります。これらの規定はいずれも、破産事件を迅速かつ適切に処理するために設けられているものといえます。
債務者審尋とは、裁判所が破産者の破産に至る経緯、財産状況、負債状況などを知るために、裁判官が会社代表者などから事情聴取する手続です。もっとも、現在では、特に問題がないかぎり、審尋を経ずに破産開始決定が下されることが多くなっています。
破産原因が認められない場合の他、予納金を納付しないとき、不当な目的で申立てがなされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないときは、破産手続開始の申立てが棄却されます(破産法第30条第1項)。
破産手続開始申立てがあった場合、裁判所は、利害関係人の申立て又は職権で、破産手続開始決定がなされるまでの間、債務者の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他必要な保全処分を命じることができます(破産法第28条)。裁判所が保全処分を出した場合、これに反する弁済などの債務を消滅させる行為は、破産手続の関係では無効になります。
また、裁判所は、債務者の財産に対する強制執行等を一律に禁止する包括的禁止命令や(破産法第25条)、保全管理人による財産の管理を命ずる保全管理命令をすることもできます(破産法第91条)。
これらの保全手続は、いずれも破産手続開始決定前に債務者の財産が散逸することを防止するための手続です。
破産原因の存在が認められ、その他上記(ハ)に述べた事由がない場合、裁判所は破産手続開始の決定をします。これにより、破産債権のみならず、財団債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分等の手続がすべて失効します(破産法第42条第1項)。
なお、破産手続開始の決定がなされると、株式会社は解散します(会社法第471条第5号)。
また、裁判所は、破産手続開始の決定と同時に破産管財人を選任し、
を定めます(破産法第31条第1項)。
この例外として、裁判所は、後に述べる異時廃止のおそれがあるときは、(a)および(c)の期間を定めないことができ(同条第2項)、知れている債権者の数その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、(b)の期日を定めないことができます(同条第3項)。
破産管財人が選任されると、以後債務者の財産の管理処分権限は、すべて破産管財人に移ることになります。
債務者自身による破産申立ての場合に、破産財団となるべき財産が極めて少なく、破産手続の費用を償うに足りない場合には、破産管財人は選任されず、破産手続開始と同時に破産手続廃止の決定がなされ、破産債権者に対する配当も行われないまま、破産手続が終了します(破産法第216条第1項)。
なお、この同時廃止手続は、法人については行わないという運用をしている裁判所もあり、このような裁判所においては、会社の破産と会社の代表者の破産を同時に行なう場合に、代表者についてのみ同時廃止とするケースもごく稀でしょう。
破産手続に参加しようとする債権者は、上記(ホ)(a)において定められた期間(「債権届出期間」といいます)に、その債権の額、別除権の内容等を裁判所に届け出る必要があります(破産法第111条)。この期間に債権を届け出ず、後述する一般調査期間経過までに届出を行わなかった債権者は、原則として、破産手続に参加できない、つまり配当を受けられないことになります(例外的に一般調査期間経過後の届出が許される場合として、破産法第112条)。
上記(ホ)(b)において定められた期日に、破産者の財産状況を報告するための債権者集会を開催します。
この債権者集会において、破産管財人は、
の要旨を、それぞれ報告します(破産法第158条、157条第1項)。
破産管財人は、上記(ホ)(c)において定められた期間または期日(「一般調査期間」「一般調査期日」といいます)前の裁判所が定める期限までに、債権届出期間内に届出のあった破産債権について、以下の事項を記載した認否書を作成します(破産法第116条、第117条)。
届出をした破産債権者および破産者は、この認否書に対し、一般調査期間内(または一般調査期日前)であれば、書面で異議を述べることができます(破産法第118条第1項、第2項)。
上記(リ)において、破産管財人が認め、破産債権者からも異議が出されなかった破産債権は、そのまま確定します(破産法第124条)。
他方、破産管財人が認めなかった破産債権または届出をした破産債権者から異議が出た破産債権については、当該破産債権を有する破産債権者は一般調査期間の末日(または一般調査期日)から1ヶ月以内に破産裁判所に破産債権の額等についての査定を申立てます(破産法第125条第1項、第2項)。
この申立てを受けた裁判所は、破産債権の存否及び額等を査定する裁判をし(同条第3項)、裁判書を当事者に送達します(同条第4項)。
破産債権査定申立てについての決定に不服がある者は、裁判書の送達の日から1ヶ月以内に、異議の訴えを提起することができます(破産法第126条第1項)。
このように、権利の存否やその性質、数額等に争いのある破産債権について、通常の訴訟手続よりも簡易、迅速な確定手続が設けられています。
破産手続が開始すると、上記のように破産債権を確定していく手続と並行して、破産財団を調査・管理する必要があります。その第一歩として、破産管財人は、破産者または破産申立代理人から資料の交付を受けるなどして引継ぎを完了し、破産者の財産を正確に把握しなくてはなりません。
会社が倒産状態に陥ると、会社が故意に自らの財産を減少させたり、特定の債権者に対して、債権者間の公平を害するような担保の提供や弁済を行ったりすることがあります。
そこで、破産管財人は、破産者が破産手続開始の前になした財産の処分行為であっても、債務者の財産を減少させる行為(財産減少行為)や、既存の債務についてされた担保の供与または債務の消滅に関する行為(偏頗行為)について、その法的効力を否定することができます。これを「否認権の行使」といいます(破産法第160条ないし第176条)。否認権を行使できる行為の具体的内容、行使方法は、前述した会社更生、民事再生における否認権の行使の場面と同様です。
会社の倒産の場面では、会社の役員に善管注意義務違反などが認められ、当該役員が会社に対して損害賠償責任を負うことが少なくありません。
そこで、破産法では、他の倒産法制(会社更生法、民事再生法)と同様に、裁判所は、破産手続開始前及び開始後において、役員の財産の保全処分をすることができると規定しています(破産法第177条)。
また、破産手続開始決定があった場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、破産管財人の申立てまたは職権により、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができます(破産法第178条)。この裁判が確定すると、給付を命ずる確定判決と同一の効力を有する(破産法第181条)ため、破産管財人が強制執行などの方法によってこの債権を取り立てて、破産財団に組み入れることが可能になります。
なお、実務上は、会社の債務を役員個人が保証していることが多く、この保証債務を履行させることで、実質的に役員としての責任を果たさせるケースも少なくありません。
破産手続の最終目標は、会社の全財産を債権者に配当することです。破産管財人は、この配当に先立ち、破産財団に属する財産を評価し、可能な限り現金化する必要があります。
たとえば、実務上、会社が所有する不動産については、不動産の交換価値以上の担保権が設定されている場合でも、担保権者が別除権を行使して競売にかけるのではなく、破産管財人が担保権者と協議の上、これを市場で売却して(これを任意売却といいます)、処分代金の一部(5~15%程度)を破産財団に組み入れ、残りを担保権者への弁済に充てるという方法が一般的です。これにより配当の原資となる破産財団は組み入れ分だけ増加しますし、担保権者としても、競売の場合、市場での売却価格よりもかなり安く落札されることが通常ですので、このような任意売却に応じることに経済的なメリットがあります。
また、任意売却が破産債権者一般の利益になり、任意売却をしても担保権者の利益を不当に害することがないにもかかわらず、担保権者が任意売却に応じない場合は、破産管財人の申立てと裁判所の許可により、担保権を消滅させる制度もあります(破産法第186条)。
裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければなりません(破産法第217条第1項)。異時廃止の場合も、同時廃止の場合と同様、破産債権者に対する配当は行われません。
破産管財人は、債権調査終了後で、財産の換価終了前に配当をするのに適当な財産があるときは、その裁量によって随時中間配当しうる(破産法第209条)ことが定められています。破産開始から終結までに1年以上の期間がかかる場合などに、中間配当が行われることがあります。
破産管財人は、一般調査期間が経過し、破産財団の換価がすべて終了した後、遅滞なく、裁判所書記官の許可を得て、届出をした破産債権者に対して配当を行います(破産法第195条)。この最終配当においては、配当表の作成、配当公告、配当表に対する異議申立ての制度、異議申立てについての裁判に対する即時抗告、配当額についての破産債権者に対する個別の通知など、比較的厳格な手続が法定されています。
これに対し、配当金額が少ない場合等の簡易配当(破産法第204条)、届出破産債権者全員の同意が得られた場合の同意配当(破産法第208条)など、状況に応じてより簡易迅速な配当方法によることもできます。
裁判所は、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了した後、計算の報告に対する債権者の異議申し立て期間が経過したときは、破産手続終結の決定をします(破産法第220条)。
破産手続が終結すると、裁判所から法務局に対し、破産終結の嘱託登記がなされ、これに基づいて会社登記簿が閉鎖され、会社が消滅することになります。