M&Aによる会社売却は、 基本的にはオーナー (株主) が変わるだけですので、 原則として従業員との間で法律上問題が生じることはありません。
しかし、 新たにオーナーになる買主が、 従前の従業員を整理することをM&Aの条件に付けることもありますので、 その際にはやはり前述した整理解雇の問題が生じます。
M&Aで会社を売却する場合、 定款に株式譲渡制限の定めがあれば、 株式の譲渡について取締役会(取締役会非設置会社の場合は株主総会)で承認を得る必要があります (会社法第139条第1項)。
M&Aに否定的な取締役が過半を占めていれば、 株主総会で役員構成を変える必要がありますし、 それができない場合、 この手法が採れないこともあります。
また、 買主は、 原則として全役員の辞任を要求しますので、 この点からも取締役全員の意思の一致が必要となります。
M&Aで会社を売却する場合、 通常買主は全株式の譲渡を要求します。
従って、 M&Aに反対する株主が一人でもいれば、 相当以上の対価を出してでも当該株式を買取る必要が生じますし、 それでも応じない株主がいれば、 基本的にはM&Aは不可能となります。
なお、 前述のとおり、 ここでも真の株主を確定する作業が不可欠です。
M&Aは株式を譲渡することによって会社を売却するものですから、 所有不動産等については特に問題となりません。
もっとも、 買主から所有不動産等についてa.担保権の抹消、 b.賃借権の解消、 c.境界の確定等を要求されることは十分考えられます。
なお、 社長等従前の役員は会社の債務について連帯保証している場合が多いので、 金融機関と交渉して、 予め解消しておく必要があります。