離婚の知識3|別居調停、氏と戸籍

離婚、離婚財産分与ガイド

離婚の知識3|別居調停、氏と戸籍

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別居調停とは何ですか

別居調停というのは、すぐに同居することは難しい夫婦で、当分の間様子をみるため、別居することや子供の面倒をどちらがみるか、生活費(婚姻費用)の支払いをどうするかなどを決めて成立させる調停で、これは離婚ではなく夫婦のままであることが前提です。
ただ、結果的に元のさやにおさまるケースもあれば、前記(3)(ロ)(c)のケースのように離婚に至ることもあります。
別居調停は、離婚を求めて申立てた調停でも、円満調整を求めて申立てた調停でも、当分の間別居するという形で二人が合意すれば、別居調停として、中間的な解決ですが調停成立となります。
具体的には、例えば、「当事者双方は当分の間別居する。相手方は申立人に対し、別居期間中の婚姻費用として、平成○○年○○月○○日から当事者双方の同居又は婚姻解消に至るまで毎月末日限り、月額○万円を申立人の指定する銀行預金口座に振込む方法により支払う」というような条項を定めることになります。あわせて、子供との面接交渉(面接交渉については「親権・監護権」のところの面接交渉の項を参考にして下さい)などについて定めることもあります。
なかには、すぐには自分からは離婚は困難と考えている有責配偶者が、子供が成人ないしそれに近くなるのを待ちつつ、別居の一種の実績作りと考えて別居調停をする場合もなくはないと思います。
もっとも、それでも、別居調停に際しては、先ほどの条項例のように、ふつう生活費を月々いくら支払うというようなことを決めますので、“実績作り”と考えている配偶者だけが“得”をするというわけでもありません。
別居していても離婚するまでは夫婦ですから、経済力のある方あるいは大きい方が、経済力のない方あるいは小さい方に対して、もし経済力の少ない方が子育てもしているなら子供の養育費も含めて、生活費(「婚姻費用」、調停などでは略して「婚費」という言い方もしています)を支払うことになります。家庭裁判所などでは「婚姻費用の分担」、「婚費分担」などと言っています。
婚姻費用については、離婚してからの子供の養育費のところで書きました養育費と同じような算定表(婚姻費用算定表)が作られていますので、自分の場合はどれくらいになるか目安を掴みたいときはこの算定表を参考にされるといいでしょう。
婚姻費用算定表はインターネットでも検索可能です。詳しくは養育費のところを参考にしてみて下さい。
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離婚すると氏(苗字)や戸籍はどうなりますか

例として、鈴木さんが田中さんと結婚して田中姓を名乗ったあと離婚したケースを考えてみましょう。
鈴木さんが田中さんと結婚して田中姓を名乗ったあと離婚した場合、離婚した旧姓・鈴木さんは、田中の氏を継続して使用することができますし(これを“婚氏続称”といっています)、鈴木の氏に戻ることもできます。
最近は、旧姓に戻ると、運転免許証や年金手帳、預金通帳、各種保険証書など、公的・私的な書類などの名義を書き換えなければならないこともあり、また離婚したことが周りにわかってしまいやすいことなどから、婚氏続称の方法をとることが多いようです。
もし旧姓・鈴木さんが離婚した場合、離婚の届出だけを出すと、民法の原則は旧姓に戻るとなっています。この場合は、旧姓の鈴木に戻ってもとの戸籍に入る(復籍)することになるのが原則です。但し、旧姓で新戸籍を作ることもできます。
それで、もし結婚中の田中姓を使い続けるとすれば、使い続けることの届出が必要です。この届出をするには、別れた元配偶者の同意などは要りません。旧姓・鈴木さんの意思だけでできます。
この届出のことは、戸籍法77条の2に規定されていますので、実務上は戸籍法77条の2の届出などといわれています。
この戸籍法77条の2の届出は、離婚の届出と一緒に出すこともできます。この場合は、旧姓・鈴木さんについて田中の氏で新しい戸籍が作られます。
また戸籍法77条の2の届出は、離婚の際一たん旧姓の鈴木に戻ったとしても、離婚から3か月以内なら届出をすることができます。この場合、離婚の際には鈴木に戻っていますが、田中姓となります。その場合には、田中姓の戸籍に更正するか(鈴木さんが筆頭者で一人だけの戸籍であった場合)、離婚に際して鈴木姓に戻ったときの戸籍で鈴木さんが筆頭者でない場合(例えば親の戸籍に戻ったとき)などには、新たに田中姓の戸籍を作ることになります。
子供は、氏を同じくする親の戸籍に入ることになりますが、婚氏続称しても、つまり例えば鈴木さんが母親であるとして、子の親権者となるとともに田中姓をそのまま使うことにしても、何も手続をしないと、子供は父である田中さんの戸籍に入ったままとなります。子供を母の戸籍に入れようとすると、子の氏の変更という手続が必要です。これらについては、「親権・監護権」の子の氏の変更のところを参考にして下さい。
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離婚届を勝手に出されるおそれのあるときはどうしたらいいですか

協議離婚届は、たとえ“偽造”であっても窓口でそれを見抜くことはなかなか困難で、そのまま受け付けられてしまうおそれがあります。
もし勝手に離婚届を出されそうなときは、あらかじめ書面で離婚届が出ても受理しないよう本籍地の市区町村長(戸籍役場)に申し出ておくと離婚届は受理されません。これを「不受理申出」といっています。
不受理申出の用紙も戸籍役場にあります。ただし有効期間は6か月ですので、不受理申出をしてから6か月たっても勝手に離婚届を出されてしまう心配のあるときはもう一度不受理申出をしておく必要があります。