解散請求事例

会社支配権紛争の予防と解決マニュアル

第3

会社支配権紛争の事例研究

集合写真
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解散請求事例

(1)

事案の概要

Y社は、 兄弟であるA、 B、 Cが株式を3分の1ずつ保有し、 共同して経営にあたってきました。 長兄Aが死亡し、 その子Xが株式を単独相続しました。 Xは、 大学卒業後、 大手民間企業に就職して働いていたものですが、 これを退職して、 Y社への経営参加を求めてきました。 B、 Cは、 Xは業務の実情に疎いとして、 Xの介入に抵抗しました。 A子飼いの従業員の中にはXに同調する者もおり、 社内の対立から業務が著しく停滞する結果となりました。
そこで、 XはY社の解散を株式会社に請求しました。
(2)

解決

本件は、 B、 C又は第三者によるX所有株式の買取り等によって円満解決を図ることが望ましい事案です。
しかし、 双方折り合わず、 裁判所の判決を求めるしかありませんでした。 判決においては、 Xの請求は棄却されました。
(3)

コメント

株式会社は、 多数の株主で構成され、通常の株主は会社を継続していくことが利益になると考えることが通常です。 このため、 株主が解散請求を行使する場合の要件も厳格に制限されています(会社法第833条)。
一方で、株主が過半数の株式を制することができず、 会社経営に参加できない場合であっても、 その株主は株式を売却換金して出資した財産を回収すればよく、会社を解散させる必要性は存在しないといえるでしょう。 株式会社において株主の解散請求が認められるのは、 会社の損害、 ひいては株主の損害を回避するために他に方法がない場合です。
それゆえ本件におけるXの請求は、 もともと認められ難いものであったといえますし、それは Xが従来からY社の経営に参加していた場合でも同様です。
なお、 仮にXがY株式の50パーセントを保有し、 B、 Cが残る50パーセントを保有しているという場合であったならば事情が異なります。 即ち、 このような場合には、 株主総会における取締役選任もできず、 多数決原理による結着はつきません。
また、 一方が株式を売却して会社を離脱することを強いられる理由もありません。
このような場合には、 会社の解散しか解決の方法はなく、 Xの解散請求は認められることになるでしょう (東京地裁平成元年7月18日判決)。