任意後見契約の当事者

成年後見実務マニュアル

第3

任意後見制度

集合写真

任意後見契約の当事者

(1)

任意後見契約によって委任する人(委任者)

委任者について、法律では特に制限は設けられていません。未成年者であっても任意後見契約の委任者になることができます。もっとも、未成年者は、親権者、または未成年後見人といった人によって保護されることが予定されていますので、未成年者である間には任意後見は始まらないものとされています。その前段階の、任意後見契約を結ぶことまではできるということです。
また、法定後見制度による保護を受けている人も、任意後見契約を結ぶことができます。確かにすでに法定後見制度によって後見人などが付けられていますが、本人の意思を尊重する見地から、法定後見と任意後見が重複するような場合は原則として任意後見が優先するものとされていますので、意味がないということはありません。
さらに、精神障害者や知的障害者について、親が亡くなった後の保護、いわゆる「親亡き後」の保護にも、任意後見契約が有効に活用されることが期待されます。
(2)

任意後見契約により委任される人(受任者)

受任者についても、特に法律で制限は設けられていません。本人が自己の意思で自由に信頼できる人を選ぶことができます。法定後見制度における後見人等に専門職が就くことが多い今日において、気の知れた人に委任できるという点は、任意後見制度の利点の一つといえます。
もっとも、任意後見が始まるときに、任意後見人を選任する審判があり、そこで欠格事由にあたればその人は任意後見人になることはできません。いくら本人が自分の意思で選んだとはいえ、およそ他人を保護するという後見事務を果たせないような人物を任意後見人に選任しても、本人のためにならないことは明らかだからです。
(イ)
法人
法人が任意後見人となることで、その組織力を生かし、また福祉法人などであればその専門性も生かせるという利点は、法定後見の場合と同じです。そこで、法人が任意後見人となることも認められています。
(ロ)
複数の人
複数の人が任意後見人となれることで、親族と、法律、福祉の専門家が協力してより十分な保護ができるという利点は、法定後見の場合と同じです。そこで、複数の任意後見人も認められています。そして、法定後見の場合は、家庭裁判所が各後見人の権限や、権限を共同して行使しなければならない定めをすることができましたが、任意後見では当事者が特約を登記することで、このような定めをすることができることになっています。