調停の知識3|民事調停の申立

調停ガイド

第2

民事調停

2

民事調停の申立

(1)

申立権者

民事調停法2条は、「民事に関して紛争を生じたときは、当事者は、裁判所に申立をすることができる。」と規定しています。
したがって、民事調停を申立てることができるのは、紛争の当事者ということになります。紛争のある契約の当事者や、不法行為で加害者と被害者の間に紛争がある場合のその加害者と被害者などは問題なく「当事者」に当たります。
(2)

申立方法

(イ)
管轄裁判所
民事調停法は、「調停事件は、特別の定がある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。」と規定しています(民事調停法3条)。
したがって、基本的には相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に民事調停を申立てることになります。
もっとも、紛争当事者間で民事調停を申立てる裁判所について合意をしている場合には、その合意の内容に従った地方裁判所又は簡易裁判所にも申立てることができます。
いずれの裁判所が相手方の住所地を管轄しているか等については、裁判所のホームページ又は近くの裁判所の窓口で調べることができます。
(ロ)
申立書
民事調停には、特別な様式はありませんが、典型的な紛争での使い勝手をよくするために、貸金調停、売買代金調停、建物明渡調停、給料支払調停、交通調停、賃料等調停など調停申立書が簡易裁判所に用意してあります。必要なところに書き込むだけできわめて簡単に申立ができるように工夫されています。
(3)

申立書の記載事項

民事調停の申立書には、下記(イ)から(ホ)までの事項を記載する必要があります。
(イ)
当事者の表示
申立人及び相手方の氏名・住所を記載します。また代理人が申立てる場合には、その代理人の氏名・住所を記載します。さらに、申立人又はその代理人は、押印を要します。
(ロ)
作成年月日
民事調停の申立をする日付を記載します。
(ハ)
裁判所の表示
民事調停を申立てる裁判所を記載します。
(二)
紛争の要点
紛争の概要に関して記載します。
(ホ)
申立の趣旨
申立人が、紛争において、望んでいる解決を記載します。
代表的な民事調停の申立書の記載例としては、当サイトの「調停の書式・文例」をご覧下さい。
(4)

申立書の入手場所

民事調停の申立書は、簡易裁判所で入手することができます。また、A4判の用紙に横書きで記載したものであれば、裁判所で入手した申立書でなくても申立書として裁判所に提出することができます。
もっとも、調停・訴訟等に不慣れである場合には、弁護士等に作成を依頼するか、詳しくは「調停の書式・文例」を参照してください。
(5)

提出書類

(イ)
添付書類
民事調停の申立の際には、申立書の他に、資格証明書等及び証拠書類の提出が必要となる場合があります。
(ロ)
資格証明書等
基本的には、民事調停の申立に際して、資格証明書等は必要ありませんが、下記(a)から(c)の場合には、資格証明書等が必要となります。
(a)
紛争当事者が法人である場合
法人の登記事項証明書又は資格証明書が必要となります。
(b)
紛争当事者が未成年である場合
法定代理人である両親が申立をすることになるため、戸籍謄本又は戸籍抄本の提出が必要となります。
(c)
代理人が申立を行う場合
弁護士に依頼する場合には、紛争当事者が弁護士に申立を委任する旨の委任状、弁護士以外に依頼する場合には、委任状に加えて代理人許可申請書が必要となります。
(ハ)
証拠書類
紛争に関する証拠書類がある場合には、その原本又は写しを、申立書と共に提出することになります。
もっとも、申立書と同時に提出することができない場合でも、後日、証拠書類のみを提出することができます。
(6)

申立費用

民事調停の申立に際しては、手数料と郵便切手の費用がかかります。
(イ)
手数料
手数料は、収入印紙で支払うことになります。手数料は、民事調停の対象となっている金額に比例して増加します。しかし、訴訟に比べれば低額で、たとえば50万円の貸金の返還を求める場合は2500円、100万円の貸金の返還を求める場合は5000円、1000万円の貸金の返還を求める場合でも2万5000円です。個別のケースの具体的な手数料の金額については、近くの簡易裁判所の受付相談センター又は弁護士等に相談して下さい。
(ロ)
郵便切手
郵便切手は、紛争当事者に関係書類を送るため等に使用されます。郵便切手の金額は、相手方の人数や書類を郵送する回数などによって異なるため、具体的な金額については、申立をする簡易裁判所に相談して下さい。
(7)

申立書の部数

民事調停の申立に際して申立書は、裁判所用の正本を1部と相手方の人数分の副本を作成し、提出する必要があります。したがって、紛争の相手方が3人いる場合には、正本1部と副本3部の合計4部を提出する必要があります。

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