収益性の改善と相続税の軽減に最大限に寄与する建築企画案を作成して、いざ建築実行に移行する前に行うべき非常に重要なプロセスが請負業者の選定です。
通常、建築企画段階の資料で工事費の正確な予想をするのは難しく、これは、ハウスメーカー・建設会社が行った建築企画提案の場合も同様です。建築企画段階の予想工事費には多分に安全率が見込まれています。また、一般的に工事費の妥当性の指標として施工面積当り単価(いわゆる坪単価)が用いられ、坪45万円、50万円といった金額だけが取り上げられていますが、実は「施工面積」の算定方法に共通のルールは無く、施工面積の算定を操作すれば、坪単価の数字を下げることができます。ですから、坪単価だけでハウスメーカー・建設会社等の予想工事費の妥当性を判断するのは大変危険です。
ハウスメーカー・建設会社が建築企画を行い、そのまま受注し、請負業者となる場合は、このあいまいな想定工事費がそのまま実工事費ということになり、以後のコストコントロールはほとんど不可能ということになります。一方、通常の設計施工分離方式では、実施設計終了後の着工直前に見積りを行いますので、設計段階での綿密なコストコントロールが不可能です。そのため、建築企画段階で作成した資金計画の検証が着工直前まで行えないこととなり、事業上、非常にリスクを伴うことになります。
そこで、米国式のPM方式(注1)と英国式のD+B方式(注2)を組み合わせた方式が賃貸建物建築には有効です。
建築実行に入る前に精度の高い概算見積ができる資料を作成し、その資料のもとに請負業者数社で入札を行います。同時にVE提案(注3)の受付も行います。入札金額の査定及びVE提案の内容評価を行い、値交渉等を経て、コスト的にも技術・品質的にも最も評価・信頼できる請負業者を内定します。
この方式のメリットは、次のとおりです。
この方式は、建築企画提案から設計・施工まで熟知し、卓越した知識と経験を有する専門家の助力が成功の鍵となります。そのような専門家が、完全に顧客の立場に立って、建築実行の全ての段階で強力な監督・指導力を発揮してはじめて、コストパフォーマンスに秀でた高品質・低価格の賃貸建物を建築することが可能になります。
入札結果・VE内容に基づいて、建築計画を調整し、資金計画・収支シミュレーションを再度行い、事業の安全性を確認して、建築実行に移ります。