利益供与の禁止における「株主の権利の行使」(改正前の第120条第1項)には、責任追及等の訴え、すなわち、代表訴訟の提起も含まれます。
平成26年改正法では、旧株主による責任追及等の訴え(第847条の2)および最終完全親会社等の株主による特定責任追及の訴え(第847条の3)の各制度を創設することにより、適格旧株主または最終完全親会社等の株主は、当該株式会社の株主でなくても、当該株式会社の取締役等に対して責任追及等の訴えを提起することができることとしています。
その結果、当該株式会社の取締役等が、適格旧株主または最終完全親会社等の株主による責任追及等の訴えが提起されないようにするために、当該責任追及等の訴えの提起等に関して、利益の供与をするおそれがあること、また、株式会社が当該責任追及等の訴えの提起等に関して利益の供与をした場合に、当該権利の行使の適正が害されるおそれがあることは、株式会社が株主による責任追及等の訴えの提起に関し、財産上の利益の供与をした場合と同様です。
そこで、第120条第1項を改正し、株式会社は、適格旧株主または最終完全親会社等の株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならないとした。
同様に、970条第1項を改正し、株式会社の取締役等が、適格旧株主または最終完全親会社等の株主の権利の行使に関し、財産上の利益を供与する行為についても、利益供与罪の対象とすることとしました。
また、利益供与罪と同様の理由から第970条第3項を改正し、適格旧株主または最終完全親会社等の株主の権利の行使に関し、財産上の利益を供与することを要求した者を同項の規定による処罰の対象に加えることとしています。