法文上必ずしも明らかではありませんが、 始期を明示し、 終期も原則として確定期限で定めなければならないと解されます。
不確定な存続期間を定めた場合は、 賃貸借契約そのものが無効となるのではなく、 契約の更新がないこととする定めが無効となり、 正当事由条項による存続保証のある普通の借家契約になるものと解されます。
なお、 借家人が死亡するまでとする定めは、 不確定期限を定めるものとして定期借家が成立しないかどうかについては争いがあります。 借家人死亡までとする期間の定めは、 借家人を害することが少なく、 貸主も相続がないなら安心して貸せるという点で、 例外的にこのような期限の定めのある場合も定期借家が成立すると解する余地があります。
定期借家契約成立のためには、 建物の賃貸借契約でさえあれば、 当該建物の用途 (業務用か居住用か等)、 地域、 最低存続期間、 最長存続期間、 家賃の高低、 広さ等の制約は全くありません。
前述のとおり賃貸借契約の最長期間を20年とする旨の民法第604条の規定が建物賃貸借契約に適用されないこととなりました。また、本条で存続期間が1年未満の建物の賃貸借契約は期間の定めがないとする借地借家法第29条第1項の規定が定期借家契約には適用されないこととなりました。 この結果、 定期借家契約では、1年未満から20年以上の存続期間の定めのあるものまで、期間の縛りのない契約をアレンジすることが可能となりました。
存続期間満了時に賃貸借契約が終了し、 更新はない旨の定めを賃貸借契約締結の時にすることが必要です。 賃貸借契約を締結した後にこの定めを追加的に付加しても、 その定めは無効です。 この更新拒絶の条項は定期借家契約の重要な部分であり、更新しない旨の契約であることが一義的に明確な文言で記されている必要があります。
なお、定期借家契約に、再契約ができる旨の条項を設けるものがあります。かかる条項があるからといって、すなわち更新拒絶の定めの効力が失われるわけではありませんが、更新拒絶の条項と矛盾しない文言であるか否かについては注意を要してください。
本条の定期借家契約は書面でしなければなりません(要式契約)。 その趣旨は、 借家人が存続期間満了時に契約が終了し、 契約の更新がないことを十分に理解したうえで賃貸借契約に臨むことを確保することにあります。
書面は、 公正証書である必要はありません。 「公正証書による等」 という例示は単に公正証書によることが望ましいという意味に解されます。
定期借家契約が書面によらずに締結された場合については、 法文上何らの規定もありませんが、 賃貸借契約全体が無効となるのではなく、 契約の更新がない旨の定めが無効になると解されます。 したがって、 書面が作成されなかった場合は、 通常の借家契約、 つまり正当事由による存続保証のある借家契約になるものと解されます。