境界関係の整備

不動産投資・運用マニュアル

第2

不動産のバリューアップ

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境界関係の整備

購入不動産と隣地との境界線を民民境界線といい、購入不動産と道路、河川等公有地との境界線を官民境界線といいます。資格ある測量士、家屋調査士が作成した確定実測図に基づいて、隣地の所有者と民民境界線を確認して同意し、双方が押印したものを境界確認書といいます。官民境界線につき、公有地を所轄する官庁から明示を受けた書類を官民査定書といいます。購入不動産と境界を接する全ての隣地との境界確認書と全ての公有地との官民査定書がある場合に、境界が確定していることになります。
不動産を購入する際には、売主側にて、売買決済引渡前に境界確定を終了させるのが原則です。しかし、境界確定作業には、通常、最低3ヶ月程度の期間を要し、隣地が共有地等の場合は、さらに時間が掛かります。従って、境界確定を購入の絶対条件にした場合には、他の購入希望者が、境界確定を条件としていない場合や、売主が売り急いでいる場合には、購入が困難となります。
そういった場合には、売買契約書に、決済後○○ヶ月以内に、売主の負担と責任で境界確定作業を行うことを特約として盛り込むようにします。その期間内に売主が境界確定を終了しなかった場合は、違約解除の対象となります。売主によっては、境界確定を売主の負担と責任にすることについて、承諾しない場合がありますが、その場合は、隣地とのトラブルが発生していないか確認が必要となります。隣地との関係に問題がなく、かつ、境界確認書の取得に障害がないようであれば、専門家に相談の上、境界確定を条件としない、売買契約の締結も検討します。
いずれの場合も、売買決済後、出来るだけ早期に境界確定を完了させます。時間が経つと、売主の協力が得にくくなったり、隣地の所有者に相続が発生したりする等、境界確定にとってのマイナス要因が増えることになります。売買契約の特約で売主の責任と負担となっている場合も、境界確定作業が売買決済後になれば実際に境界立会い等を行なうのは買主となりますので、買主が売主をリードしていくことが重要です。
将来の売却を考えた場合、購入検討先が行なうデュー・デリジェンスの中で、境界確認書、官民査定書が揃っていることが重要なポイントとなります。境界確認書、官民査定書が揃っておれば、デュー・デリジェンスにおける評価が上がりますので、不動産売却が有利に行なえることになります。
従って、不動産のバリューアップのためにも、必ず、境界確定は行なう必要があります。
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