テナントの入替と専用部分の改修

不動産投資・運用マニュアル

第2

不動産のバリューアップ

集合写真

テナントの入替と専用部分の改修

修繕・リニューアル工事を実施しても、現行入居者が現行賃貸条件のまま賃借し続けている場合は、バリューアップの効果が実現できません。
工事の進捗状況に合わせて、契約更新時期が到来する入居者を中心に賃貸条件の見直し交渉を行います。現行入居者と合意した賃貸条件は、従前の立地環境、建物の市場価値等に基づいて決められたものですから、建物の市場価値が高まれば、それに見合った賃料に増額するのは、当然です。しかし、建物の市場価値等は関係なく、現行賃料の支払いが限度だという入居者(もともと賃貸物件に対する期待のレベルが低い入居者)については、バリューアップした当該不動産とはミスマッチが生じている状態だといえますので、このような入居者については退去も視野に入れた交渉を行います。
入居者が退去して原状回復工事を行う際に、専用部分の改修工事を合わせて行います。
入居者の原状回復工事の負担については、賃貸借契約書において入居時の状態に戻す規定となっている場合が殆どですが、改修工事を行う場合は、従前の原状に戻す費用に相当する金額を入居者から金銭で受領して改修工事に充当します。
新規入居者との賃料交渉においては、賃料を減額することは極力行わないようにし、賃料減額の代わりにフリーレントを活用するようにします。
フリーレントとは、3~6ヶ月間、賃料を無料にする制度をいいます。転居してくる入居者は、移転元の原状回復工事終了までの賃料を負担する必要があり、移転先の当該不動産においても入居工事の期間の賃料を負担する必要がありますので、移転の前後数ヶ月は二重に賃料が発生します。また、移転元の賃貸借契約を解約して移転してくる場合は通常、6ヶ月分の賃料等を違約金として支払って転居しますので、その期間分についても二重の賃料が発生します。これらの二重の賃料が発生する期間の賃料を無料にすることによって入居者の誘致を図ります。なお、フリーレントの場合は、途中解約時にはフリーレント期間の賃料相当額を違約金として支払う特約を賃貸借契約書に入れるようにして、短期で解約されるリスクに対処します。
フリーレントを積極的に活用して賃料減額を回避することが出来れば、一時的に収益は悪化しますが、将来の売却の際には、高い収益力を維持することが出来ますので、有利な価格での売却が可能となります。
バリューアップによって、建物の市場価値が上がったとしても、立地環境等の他の条件の影響を排除することは出来ません。法外な募集賃料を設定した場合は成約にいたるどころか、入居希望者も現れません。入居者に不動産を仲介する事業者は、成約の可能性の低い物件は、はじめから入居者に紹介を避けるためです。
適正な賃料相場を把握するためにも、入居希望者や仲介業者の要請で安易な減額を行わないためにも、バリューアップ後の賃料水準の調査を十分に行います。
賃料水準調査は、現在の管理代行委託会社以外に、大手の仲介会社数社に依頼して行います。
こうした調査に基づいて募集賃料を決定すれば、市場から乖離した賃料設定になる恐れはなくなりますので、自信をもって、入居希望者との条件交渉が行うことが出来ます。