株式移転の手続

株式交換・移転、会社分割マニュアル

第1章

株式交換・移転

集合写真
第4

株式移転の実務

株式移転の手続

(1)
株式移転計画の作成
株式移転をなす場合,株式移転計画を作成しなければなりません(会社法772条1項)。また,共同株式移転をする場合は,共同して株式移転計画を作成しなければなりません(会社法772条1項)。
株式移転計画において定めるべき事項は,以下のとおりです (会社法773条1項各号。なお,同条2項乃至4項)。
(イ)
完全親会社の目的,商号,本店の所在地及び発行可能株式総数
(ロ)
(イ)のほか,完全親会社の定款で定める事項
(ハ)
完全親会社の設立時取締役の氏名
(ニ)
次の(a)から(c)までに掲げる場合の区分に応じて,当該(a)から(c)までに定める事項
(a)
完全親会社が会計参与設置会社である場合
完全親会社の設立時会計参与の氏名又は名称
(b)
完全親会社が監査役設置会社である場合(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社である場合を含む)
完全親会社の設立時監査役の氏名
(c)
完全親会社が会計監査人設置会社である場合
完全親会社の設立時会計監査人の氏名又は名称
(ホ)
完全親会社が株式移転に際して完全子会社の株主に対してその株式に対して交付するその株式に代わる当該完全親会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該完全親会社の資本金及び準備金の額に関する事項
(ヘ)
完全子会社の株主に対する(ホ)の株式の割当てに関する事項
(ト)
完全親会社が株式移転に際して完全子会社の株主に対してその株式に代わる当該完全親会社の社債等を交付するときは,当該社債等についての次に掲げる事項
(a)
当該社債等が完全親会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)であるときは,当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
(b)
当該社債等が完全親会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)であるときは,当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
(c)
当該社債等が完全親会社の新株予約権付社債等であるときは,当該新株予約権付社債についての(a)に規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についての(b)に規定する事項
(チ)
(ト)の場合には,完全子会社の株主に対する(ト)の社債等の割当てに関する事項
(リ)
完全親会社が株式移転に際して完全親会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該完全親会社の新株予約権を交付するときは,当該新株予約権についての次に掲げる事項
(a)
当該完全親会社の新株予約権の交付を受ける完全子会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下「株式移転契約新株予約権」という)の内容
(b)
株式移転計画新株予約権の新株予約権者に対して交付する完全親会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
(c)
株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは,完全親会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
(ヌ)
(リ)の場合には,株式移転計画新株予約権の新株予約権者に対する(リ)の完全親会社の新株予約権の割当てに関する事項
(2)
事前の開示
完全子会社となる会社において,株式移転計画その他法務省令事項を事前に開示し,株主及び会社債権者等の閲覧に供することが要求されています(会社法803条)。
(3)
株主総会における株式移転計画の承認
株式移転計画について,効力発生日の前日までに,株主総会の特別決議による承認を得ることが必要です(簡易手続による場合を除きます。会社法804条,同法805条)。
なお,株式交換と異なり,株式移転では略式手続は認められていません。
(4)
株式買取請求権
反対株主や新株予約権者には公正な価格での買取請求権が認められます(会社法806条乃至809条)。
(5)
会社債権者保護手続
株式移転を行っても各当事会社の財産は変動しないので,会社法は,原則として会社債権者保護手続を実施することを要求していません。
しかし,会社法は,株式移転について,平成17年改正前商法が認めていなかった新株予約権付社債の承継を認めることとしました。そのため,会社法は,この場合に限り,会社債権者保護手続の実施を要求しています(会社法810条1項3号)。
(6)
登記
株式移転をする場合は,完全親会社となる会社の設立登記をしなければなりません(会社法925条)。
株式移転は設立登記の日に効力が発生します(会社法774条1項)。
(7)
事後の開示
完全子会社については会社法811条により,完全親会社については会社法815条により,株式移転に関する一定の情報の開示の制度が設けられています。
開示する情報の具体的な内容は,法務省令で定められます。

目次