法定後見制度の知識8|保佐監督人、補助監督人の制度

成年後見ガイド

第2

法定後見制度

4

後見監督人、保佐監督人、補助監督人の制度

(2)

保佐監督人、補助監督人の制度

(イ)
保佐監督人、補助監督人の制度の必要性
従来の準禁治産制度においては、保佐人は同意権のみを与えられており権限は小さかったことから、後見監督人のように保佐人を監督する人を付けるというような制度はありませんでした。
しかし、改正によって保佐人に取消権や代理権も与えられることになり、その権限が大きくなったので、保佐人を監督する保佐監督人の制度が新たに定められました。
また、今回の改正で新たに設けられた補助についても、同意権、取消権や代理権が与えられることがあるので、権限濫用を防止すべく補助監督人の制度が設けられています。
後見と保佐、補助とは、後見人と保佐人、補助人の権限の大きさは異なりますが、これらの人の監督については、監督の範囲が、監督を受ける人の権限の範囲に応じて変わるだけで、選任や監督事務の内容自体はほとんど同じです。そこで後見監督人の規定の多くが、保佐監督人、補助監督人に準用されています。
(ロ)
保佐監督人、補助監督人の選任
(a)
家庭裁判所は、必要があるときは、申立てにより、または職権で、適当な人物を保佐監督人、補助監督人に選任します(876条の3第1項、876条の8第1項)。職権による選任や、本人の申立てによる選任も認められています。
(b)
保佐監督人、補助監督人の選任基準
ここでは後見人の選任基準が準用されています(876条の3第2項、876条の8第2項、843条4項)。後見監督人の選任基準も後見人の選任基準が準用されているので、結局、後見人、後見監督人、保佐監督人、補助監督人の選任基準はすべて同じということになります。また、法律に決められた事情を考慮することは必要ですが、それ以外の一切の事情も考慮に入れて、家庭裁判所は妥当な人を選べることも同じです。
1)
本人の心身の状態、生活、財産の状況
2)
後見人になる人の職業、経歴
3)
後見人になる人と本人の利害関係
4)
後見人になる人の意見
5)
その他一切の事情
(ハ)
保佐監督人、補助監督人になる人
(a)
後見監督人の場合と同じく、法人や、複数の人を保佐監督人、補助監督人に選ぶことができます。
(b)
保佐監督人、補助監督人の欠格事由
保佐監督人、補助監督人となるのにふさわしくない人を排除するための欠格事由も、後見人の欠格事由が準用されています(876条の3第2項、876条の8第2項、847条)。後見監督人も後見人の欠格事由を準用していますので、これらは後見監督人の欠格事由とも同じです。
1)
未成年者
2)
家庭裁判所で解任などをされた法定代理人、保佐人、補助人
3)
破産者
4)
本人に対して訴訟をしている人、その配偶者、その直系血族
5)
行方の知れない人
さらに、保佐人、補助人とあまりに親しい人物では十分な監督事務ができないので、後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹であることも欠格事由となっており、この点も後見監督人と同じです(876条の3第2項、876条の8第2項、850条)。
(ニ)
保佐監督人、補助監督人の職務
(a)
保佐監督人、補助監督人の主な職務は保佐人、補助人の事務の監督です(876条の3第2項、876条の8第2項、851条1号)。
(b)
保佐人、補助人の解任の申立て
保佐監督人、補助監督人は保佐人、補助人の解任の申立て権者ですので、保佐人、補助人の監督をする中で、違法行為などの不正な行為、著しい不行跡、その他保佐、補助の任務に適さない事由を見つけたときは、家庭裁判所にその解任を申し立てることができます(876条の3第2項、876条の8第2項、846条)。
(c)
保佐人、補助人がいなくなったときの新しい保佐人、補助人選任の申立て
保佐人、補助人が死亡するなどしていなくなったときには、すぐに、新しい保佐人、補助人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。これにより保佐、補助の保護がとぎれないようにすることができます(876条の3第2項、876条の8第2項、851条2号)。
(d)
急迫の事情がある場合の必要な処分
保佐人、補助人が病気などでその事務ができないような緊急の場合には、本人を保護するために必要な行為を保佐監督人、補助監督人がすることができます(876条の3第2項、876条の8第2項、851条3号)。
(e)
利益相反行為についての本人の代理
保佐人、補助人と本人との間の利益相反行為については、保佐監督人、補助監督人が本人を代理して取引をします(876条の3第2項、876条の8第2項、851条4号)。
(ホ)
保佐監督、補助監督の事務の費用、報酬
後見人の費用、報酬の規定が準用されていますので、同じく後見人の規定を準用する後見監督人の場合と同じです。費用、報酬は本人の財産の中から支出されることになります(876条の3第2項、876条の8第2項、861条2項、862条)。
(ヘ)
保佐監督人、補助監督人の辞任、解任
後見人の辞任、解任が準用されています(876条の3第2項、876条の8第2項、844条、846条)。後見監督人も後見人の規定を準用しているので、後見監督人とも同じです。
保佐監督人、補助監督人は正当な事由があれば、家庭裁判所の許可を受けた上で辞任することができます。
保佐監督人、補助監督人に不正な行為、著しい不行跡、その他保佐監督、補助監督の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は申立てにより、または職権で、保佐監督人、補助監督人を解任することができます。

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