法定後見の内容3

成年後見ガイド

法定後見、任意後見といった成年後見に関する法律相談に、朝日中央綜合法律事務所の弁護士が答えたQ&Aをご紹介します。

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法定後見制度のQ&A

(3)

法定後見の内容3

Q:
成年後見人の職務にはどのようなものがありますか?
A:
1.
財産目録の作成等
成年後見人の職務は、成年被後見人本人の意思を尊重し、かつ、本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、必要な代理行為を行い、財産を適生に管理していくことです。
そのため、成年後見人の就任後の職務としては、成年被後見人の財産調査を行い1ヶ月以内に財産目録を作成して家庭裁判所に提出しなければなりません。また、年間の収支の計画を立てることもその職務です。
2.
他の具体的な職務
他にも、成年後見人は、成年被後見人の預貯金に関する取引、治療や介護に関する契約の締結等、必要な法律行為を行います(実際の介護行為は成年後見人の職務には含まれません)。
また、成年被後見人の財産が他人のものと混ざらないよう管理し、通帳や証書の保管、収支計画の作成などの財産管理もその職務です。
3.
報告
成年後見人は、行った職務を定期的に家庭裁判所に報告し、必要があれば事前に家庭裁判所に相談するなど、家庭裁判所や後見監督人の監督を受けることになります。

Q:
成年後見人と成年被後見人の利害が対立する行為については、どのような解決が図られますか?
A:
1.
利害が対立するケース
成年被後見人の不動産を成年後見人が購入する場合や、成年後見人の債務について成年被後見人が保証人になる場合、成年後見人の債務について成年被後見人の不動産に抵当権を設定する場合などは、成年後見人が成年被後見人の利益を犠牲にして自己の利益を優先させてしまうおそれがあります。
2.
特別代理人
そこで、このような利益が対立するケースでは、家庭裁判所で特別代理人が選任されます。特別代理人はこのような場合において、成年被後見人を代理して成年後見人と契約などを行います。特別代理人の選任申立は、成年後見人、成年被後見人またはその親族や利害関係人においてすることができます。
ただし、後見監督人が選任されている場合は、特別代理人は選任されずに後見監督人が特別代理人の役割を果たします。
以上のように特別代理人等が選任されて利害の衝突を回避する仕組みになっているのです。
3.
保佐人、補助人の場合
保佐人と被保佐人、補助人と被補助人の利害が対立する場合も同様で、特別代理人として臨時保佐人、臨時補助人がそれぞれ選任されます。また、保佐監督人や補助監督人が選任されている場合はその者が特別代理人の役割を果たす点も成年後見人の場合と同様です。

Q:
成年後見人のほかに後見監督人という人が選任されることがあるとききましたが、これはどういうものですか?
A:
1.
成年後見監督人
成年後見監督人とは、家庭裁判所による成年後見人の監督を補う機関で、家庭裁判所が選任する者です。通常は、親族等からの申立てによって選任されますが、家庭裁判所が申立てを待たずに、職権で選任することもできます。
2.
役割
成年後見監督人の職務の中心は、成年後見人が行う後見の事務を監督することです。つまり、成年後見監督人は、成年後見人が任務を怠ったり、不正な行為を行わないよう監督する役割を担います。
(1)
事務の監督
成年後見監督人は、成年後見人による財産の調査および財産目録の調整に立ち会います。そして、何時でも、後見人に対し、後見の事務の報告もしくは財産の目録の提出を求め、または後見の事務もしくは被後見人の財産の状況を調査ができます。
(2)
後見人への同意
また、成年後見人が被後見人に代わって営業、借入れ、不動産の処分等の重要な行為を行おうとする場合には、成年後見監督人の同意を得なければなりません。
(3)
利益対立時の代理
さらに、成年被後見人と成年後見人の利益が対立する場合は成年後見監督人が成年後見人を代理します。例えば、成年後見人が被後見人の所有不動産を買うような場合です。成年後見人が被後見人の利益を犠牲にして自己の利益を優先するおそれのある行為だからです(不当に安い金額で不動産の譲渡を受けるなど)。このような場合には、被後見人の利益を保護するため、成年後見監督人が被後見人の代理人となるのです。
(4)
解任請求
監督の過程において、成年後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事実が判明したときは、成年後見監督人は、成年後見人の解任を家庭裁判所に請求することも可能です。

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