任意後見制度5|任意後見監督人の選任基準、欠格事由

成年後見ガイド

第3

任意後見制度

7

任意後見監督人の制度

(2)

任意後見監督人の選任がされない場合

任意後見制度は本人の意思を尊重するための制度ですから、任意後見契約があり、任意後見監督人の選任の申立てがあれば原則として任意後見監督人を選任して、任意後見を開始させなければなりません。そして以下のような例外的な場合にのみ、任意後見監督人の選任がされないこととされています(任意後見法4条1項但書1号から3号)。
(イ)
本人が未成年者である場合
本人が未成年者である場合は、親権者や未成年後見人が付いており、その親権や包括的代理権により十分な保護がされているので、任意後見監督人は選任されません。
(ロ)
すでに法定後見制度が始まっており、これを優先させるべき場合
任意後見制度も法定後見制度も、精神上の障害によって判断能力が不足する人を対象としているので、任意後見契約が結ばれている場合はその重複が問題となります。そして本人があえて任意後見契約を結んでいることから、本人の意思を尊重するために原則として任意後見が優先することになっています。
しかし、任意後見制度は代理権のみを与える制度であるため、本人が判断能力の不足する浪費者である場合などは、同意権、取消権を与えることで本人の行動を制限する必要があります。そこでこのような例外的な場合は法定後見制度を優先させるのが適当であるので、任意後見監督人は選任されないこととされています。
(ハ)
任意後見受任者に、任意後見人となるのにふさわしくない事由がある場合
任意後見受任者に任意後見人になるのにふさわしくない事由がある場合は、任意後見を開始させるべきではないので、任意後見監督人を選任できません。
この任意後見人になるのにふさわしくない事由と言うのは、本人を保護する事務をするのに適当ではない人物を排除するための事由であり、法定後見制度の後見人の欠格事由や解任事由が準用されています。
1)
未成年者
2)
家庭裁判所で解任などをされた法定代理人、保佐人、補助人
3)
破産者
4)
本人に対して訴訟をしている人、その配偶者、その直系血族
5)
不正な行為、著しい不行跡、その他任意後見の任務に適さない事由
(3)

任意後見監督人の選任基準

(イ)
任意後見監督人は、法定後見監督人の場合と同じく、家庭裁判所が諸事情を総合考慮して適当な人物を選任するのが基本です。このときに考慮しなければならない事情について、後見人の規定が準用されているので、同じく後見の規定を準用する後見監督人とも結局は同じです(任意後見法7条4項、民法843条4項)。
1)
本人の心身の状態、生活、財産の状況
2)
任意後見人になる人の職業、経歴
3)
任意後見人になる人と本人の利害関係
4)
任意後見人になる人の意見
5)
その他一切の事情
(ロ)
任意後見監督人になる人
福祉法人などの法人や、親族と法律、福祉の専門家が複数の任意後見監督人となることの有効性は、後見人や後見監督人の場合と同じです。そこで、法人や、複数の人も任意後見監督人になることができます。
また、複数の人が任意後見監督人になったときも、法定後見制度の場合と同じように、家庭裁判所は各後見監督人の権限の定めや、権限を共同して行使することの定めを設定することができます(任意後見法7条4項、民法859条の2)。
(4)

任意後見監督人の欠格事由

任意後見監督人も、任意後見人を監督することで結局は本人の利益を守る人ですから、そうした任務にふさわしくない人はなることはできません。そこで、後見人の欠格事由が準用されています(任意後見法7条4項、民法847条)。後見監督人の欠格事由も後見人の規定が準用されているので後見監督人の欠格事由とも同じことになります。
1)
未成年者
2)
家庭裁判所で解任などをされた法定代理人、保佐人、補助人
3)
破産者
4)
本人に対して訴訟をしている人、その配偶者、その直系血族
5)
行方の知れない人
さらに、任意後見人とあまりに親しい人物はなれあうおそれがあり、監督の事務を十分にすることができないので、後見監督人と同じような欠格事由も決められています(任意後見法5条)。
1)
配偶者
2)
直系血族
3)
兄弟姉妹

目次