任意後見制度の概要2

成年後見ガイド

法定後見、任意後見といった成年後見に関する法律相談に、朝日中央綜合法律事務所の弁護士が答えたQ&Aをご紹介します。

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任意後見制度のQ&A

(1)

全般2

Q:
任意後見制度の場合、家庭裁判所は任意後見人に対しどのような監督を行うのですか?
A:
家庭裁判所による任意後見人の監督は、任意後見監督人を介して間接的に行われます。
家庭裁判所は定期的に任意後見監督人から任意後見人の事務についての報告を受けていますが、必要があれば、任意後見監督人に対し次のようなことを命じることができます(任意後見契約に関する法律第7条3項)。
1
任意後見人の事務に関する報告(解任事由の有無も含みます)
2
任意後見人の事務や本人(被後見人)の財産状況の調査
3
任意後見監督人の職務について必要な処分
さらに、家庭裁判所は、任意後見人に不正などがある場合は、関係者の請求によって任意後見人を解任することもできます。
このように家庭裁判所の監督は間接的ではありますが、任意後見人に対する最終的な監督権といえます。

Q:
任意後見人には報酬を支払わなくてもよいのでしょうか?
A:
任意後見人に報酬を支払うか否かは、本人と任意後見人になることを引き受けた者との話し合いによります。一般的には、任意後見人を第三者に依頼した場合には、報酬を支払うのが普通ですが、身内の人が引き受けた場合には、無報酬の場合が多いという傾向があります。報酬を支払う場合は、本人の財産の中から支払われることになります。
ちなみに、任意後見契約が無報酬の場合には、将来本人に万一のことがあったときには、任意後見人になった者により多くの財産を相続させたり、財産を遺贈したりするなどして任意後見人の無報酬での事務処理の労に報いるということも考えられます。

Q:
任意後見契約が登記されているのに、家庭裁判所が法定後見の開始の審判をするのはどのような事情がある場合ですか?
A:
任意後見制度は法定後見制度よりも本人の意思を尊重する制度であるため、原則として法定後見制度に優先します。
ところが、家庭裁判所は、任意後見契約が登記されている場合でも、「本人の利益のため特に必要がある」と認めるときに限り、後見開始等の審判ができることになっています(任意後見契約に関する法律10条)。具体的に「本人の利益のため特に必要がある」事情とは次のような場合です。
(1)
本人が任意後見人に与えた代理権の範囲が狭くて必要な法律行為が行えない場合この場合、本人から代理権の範囲を追加してもらいたくても、本人の判断能力が低下していて無理な場合は、裁判所に法定代理権を与えてもらうことが必要になります。
例えば、当初は予定していなかったものの、本人の生活費のため自宅を売却せざるをえない状況になった場合、そのような権限を追加する必要があります。
(2)
本人について同意権、取消権による保護が必要な場合任意後見においては本人も契約を締結することができる能力がある間は、自らした契約により消費者被害にあったりすることがあります。このような場合、法定後見制度の契約の取消権により本人を保護すべき場合があります。
(3)
任意後見人が適性を欠く場合任意後見受任者が本人に対して訴訟をし、またはした者およびその配偶者並びに直系血族である場合は、通常、経済的にも感情的にも対立関係にあるといえ、任意後見人として適切といえません。また、任意後見受任者に不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある場合も同様です。

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