法定後見の内容5

成年後見ガイド

法定後見、任意後見といった成年後見に関する法律相談に、朝日中央綜合法律事務所の弁護士が答えたQ&Aをご紹介します。

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法定後見制度のQ&A

(3)

法定後見の内容5

Q:
被保佐人が単独でできなくなるのはどのような行為ですか?
A:
保佐開始の審判がなされると、本人は、被保佐人と呼ばれ、保佐人が選任されます。この場合、本人は被保佐人と呼ばれ、被保佐人は、民法13条に列挙されている一定の法律行為をするときは、保佐人の同意が必要になります。被保佐人は基本的には自ら法律行為をすることができますが、上記の民法所定の行為については単独ですることができません。仮に、同意のないままなされた場合は保佐人が取消すことで(または追認することも可能)本人の財産の保護が図られます。
民法13条に列挙されている法律行為は次のものです。
(1)
元本を領収し又は利用すること
(2)
借財又は保証をすること
(3)
不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること
(4)
訴訟行為をすること
(5)
贈与、和解又は仲裁合意をすること
(6)
相続の承認もしくは放棄又は遺産の分割をすること
(7)
贈与の申込を拒絶し、遺贈を放棄し、負担付の贈与の申込を承認すること
(8)
新築、改築、増築又は大修繕をすること
(9)
民法第602条に定めた期間をこえる賃貸借をすること

Q:
補助の制度を利用した事例を教えてください。
A:
本人が軽度の認知症で、長男が補助開始の審判を申立て、補助人になった次のような事例があります。
本人は、最近米を研がずに炊いてしまうなど、家事の失敗がみられるようになり、また、長男が日中仕事で留守の間に、訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所に補助開始の審判の申立てをし、併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与の審判の申立てをしました。
家庭裁判所の審理を経て、本人について補助が開始され、長男が補助人に選任されて同意権が与えられました。その結果、本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には、長男がその契約を取り消すことができるようになりました(最高裁判所「成年後見関係事件の概況」より)。

Q:
補助人の職務にはどのようなものがありますか?
A:
1.
補助人の職務
補助人の職務は、被補助人本人の意思を尊重し、かつ、本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に対し、適切に同意を与え、本人の行為を取り消したり、代理権を行使したりすることです。そして、それらの内容について定期的に裁判所に報告することも含まれます。
2.
具体的な職務
補助人は同意権付与の申立が認められれば、被補助人が審判で認められた行為(重要な財産行為の一部に限ります)を行う際に同意をすることや、被補助人が補助人の同意を得ないでこの行為をした場合はこれを取り消すことができます。たとえば、介護の契約や預貯金の取引などが同意の対象となる行為とされます。 また、代理権の付与の申立が認められれば、これを行使することができ、認められた代理権の範囲内で被補助人の財産の管理権を行使します。
3.
家庭裁判所との関係
補助人は、行った職務を定期的に家庭裁判所に報告し、必要があれば事前に家庭裁判所に相談するなど、家庭裁判所や補助監督人の監督を受けることになります。

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