製造物を「業として」、「製造、加工又は輸入」した者が製造業者として責任を負います。
「業として」製造物を製造、加工又は輸入する者が責任主体となります。周知のとおり、現代社会における製造物の大量生産、大量流通という現象の下で、製造物の製造販売を「業として」なす者は、製造物の製造販売に基因して生じる損失リスクを、製造物の価格に転嫁することにより分散解消することができるのに対して、製造物の消費者ないし利用者は、製造物の欠陥から生じた損失の全部を自己負担しなければならないというアンバランスな状態が存在しており、これを是正すべく製造物の消費者ないし利用者の保護を図る有力な方法として、製造者側の無過失責任を認めるべきであるとの議論が生じ、これが発展して製造物責任法の制定に至りました。このような経過からすると、製造物責任の主体を「業として」行う者に限定したのは、至極当然であるといえます。
そして、このような立法の背景を考慮すると、ここにいう「業として」とは「反復継続して」という意味であり、「営利性を有すること」は要件とならないと解すべきであると思われます。したがって、公益法人並びに国及び地方公共団体も責任主体となり得ます。
また、事業規模の大きさも問われません。
製造物を「製造」、「加工」、「輸入」する者が責任主体となります。このうち、「製造」及び「輸入」については問題の生じる余地は少ないといえます。
「加工」については製造物責任法の立法過程において、単純な乾燥や冷凍が「加工」に該当するかどうかが問題とされました。政府見解では、「加工」とは、「動産を材料としてこれに工作を加え、その本質は保持させつつ、新しい属性を付加し、価値を加えること」をいい、単なる切断、冷凍、乾燥は「加工」には該当しないとされています。これに関し、イシガキダイをアライ、兜焼き等にして客に提供した行為が「加工」に当たると判断された事例(東京地判平14.12.13 判時1805・14、判タ1109・285)がありましたが、この判決の中で、裁判所は「加工」について次のとおり判示しております。「法にいう「製造又は加工」とは、原材料に人の手を加えることによって、新たな物品を作り(「製造」)又はその本質は保持させつつ新しい属性ないし価値を付加する(「加工」)ことをいうものと解するのが相当である。そして食品の加工について、より具体的にいえば、原材料に加熱、味付けなどを行ってこれに新しい属性ないし価値を付加したといえるほどに人の手が加えられていれば、法にいう「加工」に該当するというべきである。」と判示し、具体的な調理方法については、「(イシガキダイの)内臓を除去して3枚におろし、身、腹す、兜、中骨に分けて、身の部分を氷水で締めてアライにして原告らに提供したほか、兜や中骨の部分を塩焼きにし」て提供した行為を「加工」に該当すると判断しました。
自動車の製造会社の地域販売会社が、実質的な製造会社に当たるかどうかが争われた事例(札幌地判平14.11.22判時1824・90)がありました。原告は、被告Y1は、被告Y2の製造する自動車の北海道における販売を専属的に引き受けていること、被告Y2の100パーセント子会社であること、「○○」という名称において共通し、パンフレットにおいて被告Y1の名称が大きく記載されていることを理由に、実質的な製造会社である旨主張しましたが、裁判所は、被告Y1が実質的な製造業者に該当しないとの判断を示しました。自動車の販売会社が全国各地に存在し販売のみをを行っていることは周知の事実であることから、妥当な判断であるといえます。