製品安全対策(PS)-製造・販売等

製造物責任マニュアル

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製品安全対策(PS)-製造・販売等

集合写真
製造、保管、輸送、販売、廃棄の各段階における製品安全対策はどうあるべきか。

製造段階における製品安全対策

(イ)
外注原材料や外注部品の安全性確保
完成品に組み込まれた部品や原材料に欠陥があり、これが原因となって事故が発生した場合、その欠陥が完成品自体の欠陥と認定される限り、完成品メーカーは製造物責任を負うことになります。完成品メーカーは、これら原材料や部品を自社で製造する場合は、自社の問題としてその部品や原材料の安全対策を実施すべきは当然です。これに対し、部品や原材料を他社から購入している場合は、部品や原材料の製造業者(外注先)に対して、部品や原材料の安全対策を実施させる必要があります。
具体的には、
(a)
外注先に対し、材料や企画についての基準を設定し、これを遵守するよう指導する。
(b)
納入時の品質検査の実施

等の方法があります。
なお、原材料や部品の欠陥により完成品メーカーが製造物責任を問われた場  合に備えて、予め原材料メーカーや部品メーカーに対し、訴訟上の防御活動への協力や訴訟費用ないし損害賠償金の分担を義務づける契約を締結しておくことも重要な対策の一つです。
(ロ)
製造上の欠陥の防止
設計図面どおりの製品が製造されないことによる欠陥を、一般的に「製造上の欠陥」といいます。近年では、製造工程上の品質管理の徹底により、製造上の欠陥による製造物責任が問われるケースは少なくなっているといえます。
製造上の欠陥を防止するためには、
(a)
製造工程における製造設備の不完全ないし老朽化を未然に防ぐ。
(b)
品質管理部門の独立性、専門性を保持する。
(c)
技術水準や品質に関する最新の情報を収集する。
(d)
検査基準の適正化と検査技術の向上を図る。
(e)
製造記録、検査記録を保存する。

等のポイントがあります。

保管、輸送段階における製品安全対策

製造物の製造段階では何らの欠陥がない場合でも、出荷後の保管ないし輸送の段階での物理的、化学的変化により、製造物に欠陥が生じる場合があります。例えば、長期間の保存中の化学変化による製品の爆発、輸送中の振動から当該製品の容器に破損が生じ、そこから外部の毒性物質が混入する等の例が考えられます。
このような事態を防止する方法としては、次のようなものがあります。
(イ)
製品の保管、輸送に関する法規、諸基準を遵守する。
(ロ)
保管、輸送中に生ずるおそれのある危険の分析を行う。
(ハ)
危険分析の結果に基づき、最善の保管・輸送方法を選択する。
(ニ)
保管、輸送を第三者に委託する場合は、上記⑴ないし⑶を前提とした適切な指示と警告を行う。

販売段階における製品安全対策

販売段階においては、主として製品の販売の機会に、消費者に対し製品の誤使用を防止するための教育ないし情報提供活動を行うことにより製品安全対策に寄与することができます。より積極的に、消費者との交流の機関(消費者相談窓口など)を設け、製品の正しい使用方法や事故が生じたときの対処方法等に関する情報を消費者に提供するという例もあります。
また、製品に対する消費者からのクレームに関する情報を、設計・製造部門にフィードバックすることにより、製品安全対策に寄与することができます。

廃棄段階における製品安全対策

近年、廃棄された製造物による人身事故が頻発しています。廃棄された水銀電池の水銀を幼児が誤飲した例、廃棄された冷蔵庫に幼児が閉じ込められて窒息死した例、廃棄したスプレー缶が爆発した例など、枚挙にいとまがありません。
廃棄された製造物に危険が存し、これを原因として事故が発生した場合、当該製造物の廃棄方法又は廃棄製造物の使用方法が、通常予想される形態である以上は、製造者側は製造物責任を問われる可能性があります。
従って、廃棄の段階においても万全の、製品安全対策を実施する必要があります。
具体的には、
(イ)
その製品につき、予想される廃棄の形態を前提として危険分析を行い、これに基づき適切な製品設計を行う(この場合に留意すべき事項としては、廃棄の方法、廃棄時の物性、廃棄後に予想される人為的、物理的、化学的変化、特に環境への影響、廃棄に関する法規制などがあります)。
(ロ)
広告、広報活動により、その製品の正しい廃棄方法を消費者に告知する。
(ハ)
場合によってはメーカー等の費用で廃棄物を回収する。

等の方法があります。

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