製造物責任対策推進組織

製造物責任マニュアル

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製造物責任対策推進組織

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製造物責任対策はどのような組織体制により推進するのが望ましいか。

製造物責任対策(PLP)推進活動の重要性

ひとたび製造物の欠陥に起因する事故が発生すると、そのメーカーは、製品回収や訴訟対策等のコストを要するのみならず、マスコミ等の報道により企業イメージはたちまち低下し、企業経営に重大な悪影響が生じ、場合によっては企業の命運を左右することにもなりかねません。従って、このような製造物責任の原因となる製品の欠陥や事故の発生を未然に防止し、万一、事故が発生した場合に備え、万全の対策を講じておくことはメーカーにとっては企業経営の根幹にかかわる重大事であるといわなければなりません。そして、いうまでもなく、このような製造物責任対策(以下、PLPといいます)は、全社的に、的確かつ迅速に推進してその実を上げなければ何の意味もありません。
ここに、PLPを全社的かつ効果的に実行するための組織のあり方が問われることになります。

PLP推進のための組織とスタッフ

前述のとおり、PLPの実行はメーカー等にとっては企業の命運にかかわる重大事ですから、当然経営トップみずからが経営幹部に対し製造物責任対策の意義と重要性を理解させ、経営陣が一体となって、これを推進していく必要があります。
そして、経営トップの直接的な指揮のもとに、製品の企画、開発から設計、製造、販売、物流、廃棄に至るまでの全部門の構成員が参加する推進組織が必要となります。この推進組織の名称は、各企業の実態に応じて、例えば品質管理委員会とかPLP推進委員会等さまざまなものが考えられます。この推進組織は、PLPの立案実行に必要な情報を各部門から収集、集約して必要事項を決定しますが、場合によっては製造ラインの中止、変更や市場に流通している製品の回収等、重大な事項を決定し、実施したり、各部門間の利害の調整をする等の役割を担うことになります。そのため、この組織の長には企業の経営陣(役員)が就任することが望ましく、また、その組織のメンバーは企画力、実行力、説得力、リーダシップ、協調性等において抜群の能力を有する人であることが望まれます。

PLP推進組織において協議、決定すべき中心的事項

PLPを推進する組織が担う任務を簡単に分類、整理しますと、次のようになります。
(イ)
各部門からのPLに関する情報の収集、集約、管理
(ロ)
製造物責任に関する法規、規制、業界基準等についての最新の情報の収集と社内への周知徹底
(ハ)
PLPに関する諸システム、社内諸基準(製造安全基準等)、マニュアル(クレーム処理マニュアル、製品回収マニュアル等)の作成
(ニ)
社員及び関連会社社員に対するPLPについての教育、指導
(ホ)
製品の安全管理の実施
(ヘ)
製造物責任防御対策(PLD、クレーム処理、製品回収、訴訟対応等)の実施

以上の事項すべてをPLP推進組織だけで実行していくことは通常不可能ですので、実際には設計部門、製造部門、販売部門等各部門におけるPLP推進のための下部組織によるきめ細かな活動も必要です。

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