現行民法の原則と事業承継

事業承継マニュアル

第3章

事業財産の承継

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前章でご説明しましたように、会社支配の根幹は株式(持分)による議決権支配にあります。そこで、事業承継にあたっては、株式を後継者にどのように承継させるかという法 形式について検討することが、実務上たいへん重要な問題となってきます。また、財産の 承継という点では、事業用財産がオーナーの個人所有である場合には、事業に必要な財産 が後継者ないし会社に承継されて支障なく事業に使用できるよう、前もって考えておかね ばなりません。そこで、ここでは、このような財産の承継について法律がどのような枠組 みをもっているのかについて、ご説明します。
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法定相続による承継

遺言書を作成するなど一定の行為をすることにより、特定の財産を特定の人が受け継ぐようにすることもできます。しかし、そのような行為を特に行わなかった場合には、 民法の定めどおりに相続が行われます。これを法定相続といいます。
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現行民法の原則と事業承継

相続に関する法律の枠組みは、民法(相続編)に示されています。ここでは、亡くなった人を被相続人、被相続人が所有していた財産を相続財産、相続財産に対して相続分 をもつ地位にある人を相続人と呼んでいます。また、相続人が複数あるとき、それらを 共同相続人と呼びます。
相続が始まり相続人が相続財産を承継する時点のことを、「相続開始時」と呼びます が、民法は、被相続人が死亡した時点を相続開始時としています。このように、理論的 には被相続人が亡くなった時点で相続財産は相続人に承継されるのですが、複数の相続 人がいる場合、その意味は、相続財産が相続人の共有状態になるということを示します。 共有とは、各相続人が持分割合というかたちで相続財産に対する権利をもっているもの の、それを自己の完全な所有物として使用したり処分したりするには、財産を各人に分 割する等、一定の手続をとらなければならないということです。
世間一般の相続争いは、遺言書が遺されていない場合、遺産分割をめぐる紛争として 表れます。各人が相続する割合が法律で決まっていても、現金を相続したい者、株式を 相続したい者、各相続人の希望は多様であり、現実問題として、これらを調整するのは容易ではありません。

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