有効に遺言ができるか(遺言能力による有効性の問題)

事業承継マニュアル

第3章

事業財産の承継

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第2

遺言による承継

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有効に遺言ができるか(遺言能力による有効性の問題)

遺言をする時点において遺言者に病気や痴呆、精神障害等があった場合には、遺言能力に問題があるとして遺言の有効性が問題となります。
遺言能力とは、有効に遺言をなす能力のことです。遺言能力は、意思能力があればよいとされており、行為能力があることは必要ではありません。意思能力とは、自分が行 う行為の意味内容や結果について認識することができる能力(事理弁識能力)というこ とで、このような能力が欠ける状態で遺言をしても、その遺言は無効です。
未成年者や、民法上の補助、保佐、成年後見等を受けている人(被補助人、被保佐人、 成年被後見人)は、行為能力が欠ける者として取り扱われていますが、遺言に関しては、 その人が遺言をする時点について意思能力があれば基本的に可能です。そのため、遺言 の有効性に関しては以下のような定めがおかれています。すなわち、満15歳に達した 者であれば遺言能力があり、未成年者であっても満15歳に達していれば、法定代理人 の同意がなくても遺言をすることができます。また、遺言者が成年後見を受けている人 (成年被後見人)であっても、遺言の時に事理を弁識する能力があれば、医師2人以上 の立ち会いのもとに有効に遺言をすることができます。
また、被保佐人及び被補助人が借財や不動産の売却のように民法12条1項所定の行 為をする場合、保佐人または補助人の同意が必要ですが、このような行為を含む遺言を する場合には、同意は不要です。
相続紛争では、遺言の有効性をめぐって、遺言能力の有無が争われることが多々あります。遺言は、オーナーが元気なうちに作成しておくことが望ましいでしょう。

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